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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第90話 イケメンだからといって、デリカシーがあるわけではない

 なんで勇者パーティーの盗賊が、いきなり私を助けにきたんでしょう?


 いやもちろん大変ありがたいのですが、それはそれとして謎ですね。


「なんで勇者パーティーが、このダンジョンに……ってその前に、モンスターに包囲されてるんですよ!?」


 私は怪我した足首をかばった姿勢で、ずらりと並んだモンスターたちを指さしました。


 しかし盗賊イシュタルは、片方の眉毛をぴくりと上げるなり、けらけらと笑いました。


「なんだお前、見えてないのかよ」


「見えてないって、なにがです?」


「あいつら、とっくの昔にバラバラだ」


 まるでタイミングを合わせたかのように、私たちを包囲していたモンスターたちは、ばらばらの細切れに切断されて、ただの肉片になりました。


 ……いったいなにが起きたんでしょう。超常現象ではないと思いますが。


 地面に散らばっているモンスターの肉片を観察すると、やけに綺麗な切断面であることがわかりました。


 これは鋭利な刃物で切断した傷口ですね。


 しかもただ斬ったのではなく、とんでもないスピードで斬らないと、こういう傷口にはならないでしょう。


 ――鋭利な刃物で、超スピードの切断――


 ようやく私は、盗賊イシュタルがなにをやったのか理解しました。


「私ごときでは認識できない超スピードで、モンスターたちを斬り捨てたんですね。ちなみに、どのタイミングで斬ったんです?」


「お前に声をかけたときだよ」


 つまり前回の更新の時点で、すでにモンスターたちはバラバラ死体になっていたわけですね。


 さすが世界で一番素早い男、と言いたいところですが、いくらなんでも常識外れすぎるでしょう。


 と思ったからこそ、ステータス表示の問題点に気づきました。


「イシュタルのステータスって、スピードの値がカンストしていますけど、これって数値の上限表記がバグってるだけで、実際はもっと早いんですか?」


「いいことに気づいたな。俺様は馬より足が速いんだぜ」


「はぁ? じゃあ競馬に出られるんですか?」


「おうよ。許可が出るなら、スプリント戦で馬と勝負してやるぜ」


「バカじゃないんですか、と言いたいところですが……こちとら死にかけたところを助けてもらった身なので、バカにできないのが悔しいですね」


「ほほぉ、珍しく、しおらしいじゃないかよ。その姿勢に免じて、足首を怪我したお前を、おんぶで運んでやるぜ」


 おんぶ!?


 それって密着するってことですよ!?


 は、恥ずかしい……!


 っていうか、なんで私が、こんなやつにおんぶされなきゃいけないんですか。


 いくら見た目が男の子っぽくても、中身はれっきとした乙女ですからね。


 でもケガして歩けないのは事実なので、しぶしぶイシュタルにおんぶしてもらいました。


 その瞬間、このノンデリ男は、とんでもないことを言い出しました。


「今日のお前、相当汗臭いから、マジで死にかけたんだな」


「なんであなたにはデリカシーがないんですか!?」


 まったくもう、女の子に汗臭いなんてそのまま言うやつ初めてみましたよ。


 しかもイシュタルのやつ、さらに頭がボケていました。


「なんだぁ? 死にかけたことは事実なのに、それを指摘されたらプライドが傷ついたのかよ?」


「そっちじゃありません!」


 レベル一の遊び人が、そんなことでプライドが傷つくはずないでしょう。


 まったくもう、こんなやつに常識を期待するだけムダです。


 さっさと謎を解いたほうが有意義ですね。


 なんで勇者パーティーが、このダンジョンにいるのかを。



 *CMです*


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