第88話 ついにプロローグの場面がやってきました
下り坂があります、私たちのすぐ目の前に。
しかも下り坂は、途中から分岐しています。
真っすぐ降りるルートと、右側に降りるルートに。
もし悪知恵洞窟の外に出たいなら、真っすぐ降りるだけでよかったんです。
しかし問題が発生しました。
真っすぐ降りるルートを、ただひたすら進もうと思ったら、ごろごろと左側から謎の音が聞こえてきました。
そう、この物語のプロローグである、モンスターの糞を詰め込んだ樽が転がってきたんです。
なにが厄介かって、樽が転がってくるタイミングは、完全にピンポイントで私たち低レベルパーティーを狙っていることでした。
「私たち狙い!? つまりこの集団で一番弱いやつを標的にしたんですね……!」
私たちは、隊列の前後に挟まれているせいで、前にも後ろにも逃げられませんでした。
糞だらけの樽に押し潰されないようにするためには、強豪冒険者の隊列から離れて、右側のルートに逃げるしかありませんでした。
背に腹は代えられません。
私たちは生き残るために、右側ルートの下り坂を駆け下りることになりました。
「なんて悪知恵の働く連中なんですか!」
私は下り坂を駆け下りながら、絶叫しました。
「どうせなら普通の丸い岩を転がしてくれたほうがマシだったわ」
僧侶のレーニャさんは、ひーひーと息を切らせながら逃げていきます。
「あんな不衛生な樽が直撃したら、病気になっちゃうよ」
戦士のアカトムさんは、ぞぞぞっと肩を震わせながら逃げています。
「あの樽は殴り壊せないな、中身が汚すぎて」
武道家のシーダさんは、やれやれとため息をつきました。
もし樽から逃げるだけであれば、いくら弱小パーティーである私たちでも、どうにかなりそうだったんです。
でも事態は、さらに悪化します。
下り坂の中継地点に、モンスターが待ち構えていたんです。
モンスターの装備は、鋭い槍でした。
きっと下り坂を駆け下りる私たちを、リーチのある武器で側面攻撃するつもりですね。
もし無防備な状態で、側面攻撃なんて喰らってしまったら、ギャグ物語にあるまじき犠牲者が出ちゃいますよ。
そんなことさせません、絶対に。
うちのパーティーのリーダーは私なんですから、他でもない私が仲間を守らないと。
「みなさん、私が担当していた荷物を頼みます」
私は運んでいた荷物を仲間たちに預けると、でいやーっと待ち伏せモンスターに体当たりしました。
すでに覚悟も決まっていたし、そもそも仲間を守るためには迷う時間がなかったんです。
だから私の体当たりは、レベル1の遊び人にしてはクリーンヒットして、モンスターは後ろにごろごろ転がっていきます。
というか、どうもモンスターは、私みたいな弱いやつが体当たりしてくるとは思わなかったらしく、防御行動を遅れたみたいですね。
そのせいで、私の体当たりは、想定より効果的になってしまいました。
私は肩からモンスターの懐に潜りこむ形になり、そのまま勢いでぐんぐん後ろに押し込むことになって――小柄な岩場に激突。
その衝撃で岩場が崩れてしまい、なんと私たちは崖下に落下してしまいます!?
ええええええ!?
なんでさらにピンチに陥るんですか!?
*CMです*
工事現場やコンサート会場で、トイレの施設に困ったことはありませんか?
そんなあなたに、錬金術師と魔法使いが共同で開発した『移動式ワープ装置付きトイレ』です。
このトイレに垂れ流したものは、すべて別の地点に転送されるので、タンクの処理が必要ありません。
設置も簡単で、ただ台座に置くだけ。
これで大規模現場のトイレ問題も解決ですね。いつだってトイレはあなたのそばに、ペルマレ水道業です。




