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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第85話 撤退か、前進か

 私たちが追っていた窃盗犯・前監督は、魔王軍の関係者である可能性が濃厚だとわかりました。


 彼の正体が何者にせよ、私たちには荷が重そうです。


 だって低レベルパーティーですし?


 配信のコメント欄だって同意見でした。


『やめたほうがいいよ』『無理する必要ないじゃん。他に強い冒険者なんていくらでもいるし』『そうだよ、PMCにクエスト引き継いでもらえばいいじゃん』『報酬はなくなるけど、命のほうが大事だ』


 ちょうどPMCのリーダーが、私に提案しました。


「今回のクエストは、こちらで引き継ぐから、お前たちは街に帰ったほうがいい」


 他の強豪冒険者たちも同意見でした。


 私たちには、二つの選択肢がありました。


 一つ、今回のクエストをPMCに引き継いでもらって、この道を引き返すこと。


 二つ、彼らと一緒に、モンスターの巣の先まで突入してしまうこと。


 まぁ常識で考えれば、引き返すべきでしょうね。


 だって私たちは足手まといですから。


 でもパーティーの行動を、私の独断で決めるわけにもいかないので、仲間たちと相談しました。


「私個人としては、撤退一択ですが、みなさんどうですか?」


 僧侶のレーニャさんは、むーっと悩みました。


「この先の道は楽しそうなんだけど、でも危ないのよね、どう考えても」


 レーニャさんは、半分賛成で半分反対ですね。好奇心を優先するか、それとも命を優先するかです。


 戦士のアカトムさんは、肩をすくめました。


「ボクは撤退に賛成。他の冒険者の足を引っ張りたくないし」


 アカトムさんは撤退一択です。ただしその動機は命が惜しいからではなくて、他のパーティーの足手まといになりたくないという騎士の家系らしい理由でした。


 武道家のシーダさんは、ちょっと不満そうでした。


「前監督も捕まえたかったし、この先の道も見てみたかった」


 シーダさんは、ちゃんとした冒険をしたいわけです。だって彼女は、うちのパーティーでは唯一のちゃんと強い人ですし、潜在能力だってありますから。


 というように、パーティー全員の意見が出揃えば、私たち四人の意見がちょっとずつズレていることがわかります。


 これまで私たちは、基本的な行動方針が一致してきたんですけど、究極の選択になったら、少しずつ意見が分かれてしまいましたね。


 だからといって、多数決で安易に決めたくないですね。


 大事なことなんですから、きちんと四人で話し合いたいところです。


 しかし熟議するだけの時間がありません。だってここダンジョンのど真ん中ですから。


 だから私は武道家のシーダさんに頭を下げました。


「シーダさん、申し訳ありません。私はパーティーのリーダーとして、PMCにクエストを引き継いでもらって、撤退しようと思います」


 四人全員で撤退するためには、もっとも強硬な意見を持っているシーダさんを説得しないといけません。


 そのためには、リーダーとして頭を下げる必要があると判断しました。


 もしこのお願いが通用しないなら、もしかしたらシーダさんはパーティーを抜けてしまうかもしれません。


 さて肝心のシーダさんですが、ぶーっと鼻息を鳴らしつつ、こくりとうなずきました。


「わかってる。ちゃんと一緒に帰る」


 どうやら納得してくれたみたいです。私は喜びのあまり、シーダさんを抱きしめました。


「ありがとうございます、シーダさん」


「我は昔から考えるのが苦手だ。だから難しいことは、ユーリューの意見を優先することにしてる」


 仲間に信頼してもらえることも、一種のチームワークなんでしょうね。


 というわけで、私たちは安全を優先して、抜け道を引き返そうとしました。


 ――次の瞬間、私たちが通ってきた抜け道が、ゴゴゴっと地鳴りを響かせながら閉じてしまったのです。


「……えええええ!?」


 と絶叫したのは、私たちだけではなく、この場にいる全員でした。


 だって敵地のど真ん中で、退路が消えてしまったんですから。


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