表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/128

第83話 腹黒遊び人のひとりごと

 私たちは、おばけに偽装することで、背後から接近してくるモンスターたちの足止めに成功しました。


 しかし、まだ油断はできません。だって倒していませんし。


 いくら自然湧きしたモンスターが弱いといっても、私たちの実力では倒せるかどうか怪しいわけですね。


 となれば、追い返したいですねぇ。なにかしらの工夫を施すことで。


 なにかいい方法ありませんかねぇ、と思案しているとき、ふと足元に転がっている空瓶や空袋に気づきました。


 これって、PMCを筆頭とした強豪冒険者のみなさんたちが、モンスターの巣で交戦する際に使用した消耗アイテムの残骸ですね。


 薬草、マジックポーション、敏捷性向上の豆、他にもいろいろとアルケミーなものが転がっています。


 そう、アルケミーなんですよ。


 消耗アイテムって、錬金術師たちが合成しているわけですから、原料と合成式が存在するわけですね。


 ってことは、使い終わった直後の空瓶や空袋には、ほんのわずかに中身が残っているわけですよね?


 はい、私はこれらを利用して、新しい物質を合成しようと思います。


 あー、ちなみにここから先の手順は、モザイク処理かけますからね。


 いろいろな意味でアウトなことをするので。


 ぱぱぱっとモザイク処理を施してから、さっそく合成開始。


 空瓶と空袋の残り物を、特定の手順で混ぜ合わせていきます。


 数十秒ほど作業したら、あっという間に完成ですね。


 僧侶のレーニャさんが、私の手元をのぞきこんで、おやっと首をかしげました。


「ねぇユーリュー。それってもしかして、教会で禁止されてるアレなんじゃ……」


「いいですかレーニャさん。これは冒険に有用なアイテムです。それ以上でも、それ以下でもありません」


 知らないことが幸せなこともあるわけですね。


 というわけで、私はおばけのフリを続けながら、さっそく合成したばかりのブツを投げつけることにしました。


「たたりじゃー、モンスター神のたたりじゃー」


 八墓村の祟りっぽい口調で、私はぽいっと【****】(モザイク処理済み)を投げつけました。


 すると合成したばかりの薬品が気化して、もわんっと紫色の煙が広がると、それをモンスターたちは吸い込んでしまいました。


 彼らの目つきは変化して、狂気を含むようになります。


 あー、狂気なんて上品な言い方だと、それっぽくないですね。


 はい、彼らはラリったのです。違法な薬物を鼻と口から吸引したことで。


「た、祟りだ!」「モンスター神が怒っているが!?」「本当だモンスター神が見える、本当に見えるぞ!」「引き返さないと、この道!」


 彼らは幻覚におびえると、武器も防具も投げ捨てて、一目散に退散していきました。


 はははー、というわけで、私が投げつけた薬品は、違法薬物ですね。


 ダウナー系のやつで、強烈な幻覚を見るので、法律で禁止されています。


 なんでそんなものを合成できるんだと、誰もが疑問に思うことでしょう。


 読者のみなさんだって、私のことを白い目で見ています。


 配信のコメント欄だって、私に呆れていました。


『ユーリュー、お前……』『そんなモノを合成できるってことはだな?』『おいお前、いつどこでその合成手順を覚えた?』


 読者のみなさんも、コメント欄のみなさんも、落ち着いてください。


 私は犯罪者じゃありません。


 なぜなら、ドラゴンクエスト3の有用アイテムに毒蛾の粉があるからです。


 あれの効果って【敵一体を混乱させる】ですよね!?!?!?


 ほら! いま私が敵に投げつけた薬品と同じ効能じゃないですか!


 ドラクエの勇者が使うと有用なアイテム。


 私みたいな腹黒の遊び人が使うと違法な薬物。


 はー、まったく世の中は差別と偏見だらけですよ、やれやれ。


 というわけで、次回の更新をお楽しみに。


 えっ、どこで合成方法を覚えたのかって?


 …………ほら、うちのお父さん、指名手配犯じゃないですか。


 *CMです*


 帝国薬品管理部からお知らせです。


 違法な薬品の使用および売買は禁止されています。もちろん合成も禁止されています。


 そもそも薬品の合成が許されているのは、帝国に登録した錬金術師だけです。


 いいですか、無許可も違法であれば、無登録も違法ですからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ