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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第82話 おばけのフリをしましょう

 我々の背後から、自然湧きしたモンスターが接近中です。


 私たちは、仲間の足手まといにならないように、ずっと隠れていたわけですが、こうなってくると話は別です。


 なんせ私たちの前方にあるモンスターの巣では、PMCを筆頭にした強豪冒険者たちが絶賛交戦中でありまして、彼らの背後を守らないといけません。


 いくら弱い私たちであっても、やるときはやらないといけないわけですね。


 不幸中の幸いは、自然湧きしたモンスターが弱いことでしょう。


 我々の背後を狙うモンスターも弱ければ、それを防ごうとする私たちも弱い。


 どんぐりの背くらべ対決なわけですが、だからこそ作戦で上回らないといけません。


「私たち弱いので工夫しましょう。みなさん、なにかいいアイデアはないですか?」


 私が小声で呼びかけたら、僧侶のレーニャさんが悪い顔で挙手しました。


「悪口を言いまくって怒らせるのよ。そうすればムキーって顔が真っ赤になって、きっと足が止まるわ」


 その意見に対して手を挙げたのは、戦士のアカトムさんでした。


「悪口をいったら挑発になっちゃうじゃないか。むしろ怒ってこっちに突撃してくるよ」


 うん、私もそう思います。もっと別の角度からアプローチしたほうがよさそうです。


 と思った矢先に、きびきびと手を挙げたのは、武道家のシーダさんでした。


「おばけのフリをして呪いの言葉をかけよう。うちの地元のモンスターたちは迷信に弱かった。ここの自然湧きモンスターたちも、うちの地元のモンスターと種別が一緒だから、通用するかもしれない」


 おおっ、基本的に脳みそ筋肉のシーダさんが、有効な作戦を考えてくれましたよ。


 逆に考えれば、どれだけパワーがすべての人であっても、経験則さえあれば賢い作戦を作れるわけですね。


 というわけで、おばけのフリ作戦を開始します。


 私たちは岩場の裏側に隠れると、敵に姿を発見されていないことを利用して、不気味な声を出しました。


「ひきかえせー」「呪われるぞー」「この道を進むと不幸が訪れるぞー」「毎日便秘になったり、毎日段差につまづいで転ぶようになるぞー」


 抜け道を前進中のモンスターたちは、呪いの言葉に驚いたらしく、びくりと肩を震わせました。


「な、なんだこの不気味な声は……」「まさかこの抜け道、呪われてるとか?」「ゴースト系のモンスターが住み着いたって報告もないし……」「じゃあ本当に呪い?」


 効果は抜群でした。


 やりましたね、武道家のシーダさん。あなたの地元での経験は、ここの土地でも有効でした。


 ただしモンスターたちは、前進する速度を緩めただけで、停止したわけではありません。


 さらに恐怖をあおることで、彼らを足止めしませんと。


「この道を進んだAさんによると、なんと水虫になったそうです」「肩こりがひどくなって、めまいもしてきたってさ」「便秘がひどすぎて一週間出てないみたいだよ」「睡眠不足注意報」


 モンスターたちは深刻な顔で悩むと、ついに足を止めました。


「そんなに悪いことが起こるのかぁ、困ったなぁ」「でもなんでいきなり新しい道が生まれて、しかもそこが呪われてるんだ?」「最近マジックアイテムがここを通ったから、あれのせいじゃないか?」


 ん? いまさらっと重要な情報が出てきませんでしたか?


 マジックアイテムがここを通った?


 もしかしてそれって、共犯者である映画の前監督が、マジックアイテムを持って、ここを通り抜けたってことじゃないですか?


 私の第六感が告げているんですが、前監督が持っているマジックアイテムこそが、今回の事件のキーポイントですよ。


 もしかして私たち、低レベルパーティーにふさわしくない、激重案件に首を突っ込んでるんじゃないですか?


 **CMです**


 最近肩が重い。便秘がひどい。急に水虫になった。


 これらの症状に心当たりのある方々、もしかして呪いにかかっていませんか?


 当社の開発した解呪の聖水を飲めば、どんな呪いも一発で解けます。


 みなさんの快適な生活によりそう、パパラス製剤です。

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