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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第79話 ダンジョンに新しい抜け道が生まれていたら、そこから先は実質新しいダンジョン

 抜け道の存在が発覚したわけですが、前監督がどこに脱出したのかは、まだわかっていません。


 僧侶のレーニャさんは、PMCのみなさんに質問しました。


「ねぇねぇPMCのおじさんたち。抜け道がどこに繋がってるか知ってる?」


 PMCのリーダーが、水筒の水を飲みながら答えました。


「さすがにわからないし、いきなり確かめるのは危険だぞ。もし抜け道の先が、モンスターの巣に繋がっていたら、パーティー全滅の可能性が出てくるからな」


 たしかにそうですね。未知の領域を探索するのは、PMCのみなさんでも危険です。


 だからこそ、私は気になるポイントがありました。


「そんな危険な場所に前監督が逃げ込んだとしたら、モンスターに食い殺されていませんか?」


「当然、その可能性だってある。なんにせよ、お前たちは抜け道を探索するべきじゃない。パーティー全体のレベルが低すぎるんだから、調査が完了するのを待ったほうがいい」


 ふーむ、どうするべきなんでしょうね。


 クエストの成功報酬が莫大なので、是が非でも前監督の潜伏先を確定させたいわけですよ。


 もちろん映画の撮影も続行したままですし、そちらの報酬だって欲しいわけです。


 ダンジョン配信の広告収入だって、クエストを成功させれば、注目度が集まって高額になるでしょうし。


 ……いや待ってください。名案を閃きました。


 私たちは、それなりに注目されはじめたダンジョン配信者なんですから、それを逆手に取ればいいわけですよ。


「PMCのみなさん、これから新しい仕事が入ってくると思うので、我々のキャンプでしばらく待機しましょう」


「ダンジョンの前で待機って、いったいなにをするつもりだ?」


「ここのダンジョンに新しいルートが開拓されて、そこにお宝や新規モンスターがいるかもしれないと、うちの配信で宣伝するんです。こうすれば、他のダンジョン配信者たちが、話題性を求めて攻略を開始します」


 さっそく私はVITを利用して、お知らせ欄を更新しました。


『海洋都市ブランザの東にあるダンジョンに、新規ルートが開拓されました。まだ掘削跡が真新しいので、未開封の宝箱やモンスターの巣が眠っているかもしれませんよ』


 あっという間に閲覧数が増えまして、話題はまたたく間に広まり、海洋都市ブランザを拠点とした冒険者たちが、東のダンジョンを攻略するための準備を始めました。


 とくにダンジョン配信者たちの反応は敏感であり、まるでハイエナみたいな勢いで東のダンジョンに向かっているそうです。


 PMCのリーダーは、拍手喝采しました。


「商売上手だなぁ、お嬢さん。たしかにうちの依頼が増えそうだ。VITを起動したまま、キャンプで待機しておこう」


 こうしてうちのパーティーと、PMCのみなさんで、焚き火を囲むことになりました。


 PMCのサブリーダーが、焼いた舞茸をかじりながら、使い古した世界地図を取り出しました。


「そういやお嬢さんたち、勇者パーティーと親しかったな。あいつら本気で魔王を倒すために、いろいろ準備してるみたいだぞ」


 世界地図のど真ん中に、魔王城の存在する孤島がありました。


 私は、PMCのみなさんから感じる物静かなプレッシャーから、決意みたいなものを感じました。


「もしかしてPMCのみなさんも、魔王退治の旅に同行するんですか?」


「旅っていうより、帝国軍と協力して、勇者パーティーを中心とした討伐隊を結成するんだ。そこにうちも組み込まれる」


「へー、それだけ戦力を揃えたら、さすがの魔王もおしまいでしょう。ようやく世界は平和になるんですね」


「魔族がいない世界という意味であれば、平和だ。しかしモンスターは消えないし、人間同士の争いも絶えない。それは平和じゃないな」


「世知辛い話ですねぇ。まぁ私たちみたいな弱小パーティーは応援することしかできないですが」


 私がケラケラ笑いながら保存食の干し肉を焼いていると、PMCのリーダーが茹でた大豆を食べながらこう言いました。


「案外、お前たちみたいな注目されてない冒険者こそが、うっかり魔王退治の立役者になるかもしれないな」


 いやぁ、さすがにありえないでしょう。だって私はレベル一の遊び人ですよ。勇者にも英雄にもなれませんよ。


 という感じで、ダンジョン前に待機していたら、PMCのメールボックスに、東のダンジョンを探索するための護衛依頼がバンバン入ってきました。


 PMCのリーダーは、ぽんっと膝を叩いてから、そろばんを弾きました。


「これだけ大量の仕事をこなせたら、しばらくは楽な暮らしが出来るな。本当にありがとう、ユーリュー」


「はっはっは。実家が商売やってますからね。こういうのは得意なんですよ。というわけで、我々もこの波に乗りますよ。これだけ大量の冒険者が同時に探索してくれるなら、我々みたいな弱小パーティーであっても、モンスターの巣で生き残れるでしょうから」



 *CMです*


 帝国衛生局から生活お役立ち情報です。キノコ類は必ず火を通しましょう。たとえ毒が入っていなくても、生のまま体内に入れてしまうと、みなさんの健康を損なうことになります。

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