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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第78話 賢い選択のように思えて、実は遠回りしていたことってありますよね

 ダンジョンの出入口付近にキャンプを設営することになりました。


 我々、ダンジョン配信を始める前は貧乏野宿勢だったので、火を起こしたりテントを張る手つきも慣れたもんですよ。


 そうやってキャンプを設営している横で、他のパーティーたちが次々とダンジョンに潜っていきます。


 僧侶のレーニャさんが、焚き火用の枯れ枝を集めながら、他のパーティーを観察しました。


「これだけたくさんのパーティーが潜ってるってことは、もしかしてこのダンジョンそこまで難しくないの?」


 戦士のアカトムさんは、ダンジョンの地図に書き込んである冒険者ギルドのお役立ち情報を拝見しました。


「どうやらこの地域のパーティーにとっては、経験値稼ぎとか、冒険の練習とかしやすいみたいだね。内部構造も複雑じゃないし、モンスターも強くないし」


 武道家のシーダさんは、近くの川で魚を確保してくると、ダンジョンの入り口に顔だけ突っ込みました。


「モンスターの気配が少ない。人間の気配のほうが多いぐらい。ちょっと不思議なダンジョンだな」


 ふーむ、一体全体どういうダンジョンなんでしょうか。このあたりは我々が普段活動していない地域ですから、いまいち勝手がわかりません。


 そうやって困っていたら、知り合いの大人たちが近づいてきました。


 以前、協力関係になった、PMCのみなさんです。どうやら駆け出し冒険者たちに雇われたみたいですね。


 PMCのリーダーが、私たちに手を振りました。


「おや、お騒がせパーティーのお嬢さんたちじゃないか。なんだってダンジョンの入り口にキャンプを設営してるんだ?」


 私は詳しい事情を話しました。前監督を追っていること、自分たちの受けたクエストのこと、出入口で待ち伏せることにしたこと。


 そうしたらPMCのリーダーが、ニヒルに笑いました。


「人間の犯罪者を追うとなれば、たしかに出入口で待ち伏せるほうが賢明だな」


「こうやって再会したのもなにかの縁だと思うので、PMCのみなさんにお願いがあるんですよ。前監督みたいな素人が、このダンジョンで生存できるかどうか調査してくれませんか?」


「それなら情報として教えられるぞ。ひっきりなしに冒険者たちが経験値稼ぎにくるせいで、モンスターの自動湧きが間に合ってないんだよ。だから素人であっても、簡単に生存できる」


 まるで乱獲されて絶滅寸前になった動物みたいに、このダンジョンのモンスターたちは数が足りなくなったみたいですね。


「なら少々報酬を払うので、もしPMCのみなさんが、この動画の男をダンジョン内で発見したら、我々に教えてください」


 私は前監督の動画データをPMCのリーダーに見せながら、20ゴールドほど支払いました。


「この男を見つけるだけでいいのか? クビを切断して持ってくるぐらいなら、これぐらいの報酬でやってやるさ。素人の人間なんて、モンスターと比べたら、ただの的だからな」


 PMCのみなさんは、涼しい顔で各々の武器を引き抜きました。すっかり殺る気まんまんです。


 さすがに元帝国兵の集まりだけあって、対人戦に慣れているんでしょうね。


 しかし私たちはクエストの内容を忠実に実行しないといけません。


「いえ、衛兵隊から受けたクエストは、発見するだけでいいとあったので、おそらく殺してはいけないんだと思いますよ」


「なるほど、衛兵隊にしてみれば、貴重な情報源だから、生け捕りにしたいんだな。わかった。姿だけ探してくるよ」


 がんばってください、強いおじさんチームであるPMCのみなさん。


 いやはや、コネが広がると、仕事がやりやすくなりますねぇ。


 PMCのみなさんは、きちんと強いですから、確実にダンジョンの隅々までチェックしてくれるでしょう。


 という感じで、我々は焼魚を堪能しながら、一時間ほど野宿しました。


 やがてPMCのみなさんが、駆け出し冒険者たちの経験値稼ぎの手伝いを終わらせて、出入口に戻ってきました。


「お前らに悪い知らせがある。ダンジョンの一部分に新規で掘削した跡があった。たぶんあれは抜け道だ。つまりお前らの追っている前監督とやらは、すでにダンジョンの外に脱出してるぞ」


 ええええええ!?


 せっかく追い詰めたと思ったのに、実は逃げられちゃってたんですか!?


 *CMです*


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