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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第76話 たとえ第六感が冴え渡っていても、無茶な賭け方をしてはいけません

 では、私が最後のレースで選択する、とっておきの買い方をご紹介しましょう――――


 それは運頼みです!


 えっ、この期におよんでテキトーに買うなんてバカげてるって?


 はっはっは、そんなことないんですよ。


 だって私、運のステータスが高いわけじゃないですか?


 ならそれを利用しようと思ったわけですね。


 というわけで、僧侶のレーニャさんの選んだ馬を三着固定にして、残りの一着と二着の馬は運まかせでフォーメーションを組みました。


 これで当たるはず。だって職業:遊びにとしての第六感がビンビンに反応していますからね。 このレースで、なにか大きなイベントが起きる、と。


 しかし、ガンギマリのトキさんが、私の買い方を鼻で笑いました。


「甘いねぇ。砂糖菓子よりも甘ったるいねぇ。そうやって最後は運まかせになって、すっからかんの素寒貧になるやつを何人も見てきたよ」


 私は、ちょっとだけムッとしながら、言い返しました。


「いいんですよ、甘くて。うちの実家は洋菓子店ですし。っていうか。そういうトキさんは、最終レース、どんな賭け方をしたんです?」


「このレースこそ、メルールの乗った一番人気の馬が、一着でゴールインさ。返し馬を見てごらんよ。あんな万全な仕上げは、めったに見られないからねぇ……くっくっく」


「競馬に絶対はない。定番のセリフが、いまのトキさんに刺さると思いますね」


「普段のレースであれば、あんたの小賢しい意見に賛同するところだが、このレースに関しては、下馬評通りの決着さ。帝国陸軍の厩舎で働いてきた経験が、ビンビンに反応してるからね」


「そこまで自信があるなら、手持ちの軍資金全部メルールの馬に賭けてくださいよ。私もフォーメーション買いに全額賭けますから」


「全額だって!? そんなバカげた賭け方できるはずないだろう。これだから小娘ってやつは……」


「えっ? できないんですか? 軍の厩舎で働いてきて、定年後は毎日競馬やってるのに? はー、実は臆病者だったんですねぇ、トキさんってば。とんだチキンおばあさんですこと」


 私が軽く挑発したら、ガンギマリのトキさんは目を真っ赤にするほど、いきりたちました。


「上等だ小娘! あたしも全部賭けてやるよ! メルールの馬に単勝一点勝負!」


 やりました、挑発が綺麗に成功して、トキさんがやってはいけない賭け方をしました。


 これは勝利の予感。ふぅー、私ってば、遊び人としての才能が恐ろしいですねぇ……。


 というわけで、運命の最終レース開始です!


 はい、開始はしたんですよ。


 でも、開始した瞬間に、いろいろな意味で終戦しました。


 私とトキさんの買った馬たちは、全頭スタートを失敗して出遅れたんです。


「えぇ……?」「嘘だろ……」


 私とトキさんは馬券を握りしめた姿勢で、まるで氷の彫像になったみたいにフリーズしました。


 しかもレースはスローペースの前残り競馬になりました。


 私とトキさんの買った馬たちは、最後の直線に入っても、まったく順位を上げることができず、馬券圏外のままレースは決着してしまいました。


「…………ギャンブルは甘くないですねぇ」


 私は外れ馬券を眺めながら気づきました。


 職業:遊び人としての第六感がビンビンに反応していたのは、購入した馬たちの全頭出遅れを予感していたからですね。


 なーんで私は幸運の予感だと勘違いしちゃったんでしょうねぇ……もし不幸の予感だと気づいていたら、このレースを賭けないだけでトキさんに勝てたのに。


 ガンギマリのトキさんも、空っぽになった財布を見下ろして、大きなため息をつきました。


「小娘のバカな挑発に乗って、せっかくの儲けを全部台無しにしちまった。やれやれ、あたしもまだまだ青二才ってことか」


 ギャンブルは怖いですねぇ。どれだけ細心の注意を払っていても、ちょっとした興奮から財布の中身が空っぽになってしまうんですから。


「ところでトキさん、二人とも財布が空になったら、回収率勝負はどうするんです?」


「あー…………たしかに共倒れの結果は考えてなかったねぇ……まぁ情報を教えてもいいか、おもしろい勝負もできたし」


「それはありがたい。元監督はどこに逃げ込んだんです?」


「ダンジョンだよ。この街の東にあるやつ。それ以外のところで発見報告も聞いてないし、ダンジョンに潜伏することで、ほとぼりが冷めるのを待っているんだろうさ」


 ほほー、ダンジョンに逃げ込んだんですか、前監督は。


 いいですね、ダンジョン配信モノのネット小説らしい展開になりました。


 というわけで、次回からダンジョンに潜ることになります。こうご期待。


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