第73話 新馬戦の穴馬を探せ
次のレースは新馬戦ですね。
トレーニングされてきた若い馬たちが、初めて競馬で走ります。
どの馬も落ち着かない様子で、誘導馬の後ろを、ひょこひょこついていくのが可愛いですね。
そんな若い馬たちですが、追い切りの様子や、走破時計は公開されているので、有力馬はわかっている状態です。
そんな情報わからんぜよ、という人たち向けに説明しておくと【有力厩舎の管理馬に一流のジョッキーが乗っていれば一番強い】と思ってください。
「それにしても新馬戦ですかぁ。普段の私であれば、リスク高すぎてスルーするんですが、今日は回収率勝負ですからねぇ。しかも残り二レースだけですから、勝負するしかないですね……」
新馬戦は不確定要素が多いので荒れやすいんですよ。
なんせレース未経験の馬たちのよる初めての競馬ですから。
緊張などのメンタル面が原因で、本来の力で走ることができず、有力馬が馬券圏外に飛んでしまうことが多々とあるんです。
だからといってデータを捨ててしまうと、完全運要素の勝負になってしまい、回収率は落ちるばかりですから。
やっぱり競馬新聞を読まないといけません。
まぁうちのパーティーは貧乏なので、そのへんに落ちていた競馬新聞を使いましょう。
なんで有料の新聞が地面に落ちているかというと、馬券を外しまくって財布の中身が空っぽになった人が、自暴自棄になって捨てていくからですね。
環境は大切に! 賭ける金額は常識の範囲で!
という感じで、私が拾った競馬新聞を吟味していると、ガンギマリのトキさんは、フライドチキンを食べながら不敵に笑いました。
「ひーっひっひっひ、新馬戦をスルーしてもいいんだよ、ユーリュー。まぁあたしは普通に当てるけどねぇ……!」
「トキさん、さては隠し玉の情報持ってますね?」
「けっけっけ。毎日競馬場に入り浸ってると、いろいろ情報も手に入るのさ」
ハッタリじゃなくて、ガチでしょうね。ガンギマリのトキさんは、ただのギャンブル狂じゃなくて、ちゃんと稼げるギャンブラーですから。
おそらくこの新馬戦が、トキさんにとっての勝負レースのはずです。
きっと荒れた配当の馬券をまんまとゲットして、回収率勝負で優位に立つはずですよ。
こうなったら、奥の手を使いましょう。
七割ぐらい予測を捨てて、着順が荒れることを前提に馬券を買うんです。
三連複の五頭ボックスで買うんですが、一頭だけ完全ランダムで組み込みましょう。
こういうときは、まるでギャンブルに興味がない人に選んでもらうのが適任です。
武道家のシーダさんです。
さてシーダさんですけど、競馬場にあるトランポリンや騎乗練習用の木馬で遊んでいました。
「ユーリュー、競馬場って、馬券を買わなくても、結構おもしろいな。」
武道家は身体能力が高いので、競馬用の木馬で綺麗にバランスを取りながら、手綱をしっかりと押し出せていました。
「勝負師だけが楽しめる場所になると、どんどんコンテンツが先細りしますからね。こうやって親子連れやカジュアル層を引き込むことで、競馬の印象を良くしつつ、将来のギャンブラーを育成することが目的ですよ」
「ユーリュー、冒険者よりお店を経営するほうが向いてるんじゃないか?」
そりゃあ、私がおばさんになって、体力的に冒険者をやれなくなったら、実家の洋菓子店を継ぐと思いますけどね。
でもいまは若いんですから、冒険者を続けたいんですよ。
「私の人生設計なんて横に置いておくとして、シーダさん、この出走表から一頭だけ適当に選んでください」
「なら、こいつにする」
シーダさんは、十二番人気の馬を選びました。
この馬ですが、調教データは平凡ですし、管理している厩舎も成績がよくありません。
でも馬の血統から考えて、練習をサボっているせいで追い切りの走破タイムが悪い可能性があります。
乗っているジョッキーも、意外性のある騎乗で有名な人でした。
アリですね、こういう馬を荒れる予測で買うのは。
この判断が吉と出るか凶と出るか、次回のお楽しみに。
*CM*
ERAからお知らせです。ボックス買いについてご説明いたします。
特定の頭数を選んでいただきますと、そのうちの組み合わせをすべて購入する買い方です。五頭選びまして、三連複のボックスを買いますと、合計で十点の投票になります。
このように広い範囲で購入するので、的中しやすくなる反面、かけ金も増えるので、常識の範囲内で賭けてくださいね。




