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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第61話 今回の配信のリザルト

 さてみなさんお待ちかね、今回の配信のリザルトです。


 いくら儲かったんでしょうね?


 私は、元学長の魔人とまた会う日までーとお別れしてから、その場で報酬の計算を始めました。


「まずメインクエストをクリアした報酬が5000ゴールドで、サブ目標を達成しているのでプラス2000ゴールド。合計7000ゴールドですよ」


 僧侶のレーニャさんが、景気の良い数字に反応して、口笛を吹きました。


「四天王クエストだけあって、成功報酬がすごいことになってるじゃない」


 そうなんです。いくら中身がザコモンスターであっても、四天王クエストは成功報酬が高めに設定されているので、おいしいんですよね。


 しかも今回はサブ目標まで達成しているので、よだれが垂れそうになるほど効率よく稼げました。


 ただしダンジョン配信者としては、ちょっとアレな数字が残っていることも、私は仲間たちに告げました。


「その代わり、広告収入が少ないんですよ。たったの200ゴールドです。だってRTAはタイムアタックなんですから、成功すれば配信時間が短くなりますからね」


 RTAという珍しい題材で配信をやったので、最大瞬間風速で1000人近くお客さんが集まったんですけど、配信時間はたったの二十分ですから、広告収入に繋がらなかったんです。


 うーん、難しいですね、広告収入で稼ぐというのは。


 戦士のアカトムさんも、VITに表示された広告収入の欄と、にらめっこしました。


「RTAが成功するとお客さんが集まる反面、配信時間が短くなって広告収入が減る。RTAが失敗すると配信時間は長くなるけど、お客さんが集まらないから広告収入も減る。つまりRTAはクエスト報酬が高いときしか使えないってことか」


 現時点では、そう結論するしかないですねぇ。

 

 ただし、お客さんに過去配信のログを再生してもらえれば、そこから広告収入も増えますから、応援配信RTAを成功させたことは間違いなく黒字に繋がりますよ。


 だってこれだけ珍しい題材、他の配信者たちはやってこなかったわけですし。


 武道家のシーダさんは、ゆっくり化していたときの名残を惜しむように、アゴのあたりをさすりながら提案しました。


「成功報酬が高いクエストを狙い撃ちして、ひたすら応援配信RTAを続ければ、あっという間にお金持ちになれそうだな?」


 と、思うじゃないですか?


 ところがどっこい。ああいうおいしい作戦は神様に対策されるんですよ。


「みなさん、こちらをご覧ください。私たちの二番煎じをやろうとしている他の配信者の群れです」


 私は自分のVITで、現在配信中の番組一覧を表示しました。


 ほとんどのパーティーが応援配信RTAをモノマネしていました。


 そのうち、もっとも視聴者を集めているのが、吟遊詩人でお色気配信の元祖ジェナーディです。


 彼女たちはお色気が持ち味ですから、露出の激しいチアガールの格好で応援配信しています。


 フレーフレーと応援するだけでおパンツが見えるし、ちょっと前屈みになると胸の谷間が見えますねぇ。


 相変わらずといいますか、男性視聴者の諸君ちょっと正直すぎないかといいますか、私なんて貧乳すぎて前屈みになっても谷間ができないぞチクショウと言いますか。


 ……まぁいいでしょう。そんなことより、ジェナーディは私の行動を模倣して、ぽんぽんを振りながらその場で回転、薬草の入れ替えを行いました。


 しかし虚無空間に落ちません。


 ジェナーディは、素の表情で驚きました。


『どういうことでしょう……腹黒遊び人は、この動きをするだけで虚無空間に落ちたのに?』


 なぜジェナーディが虚無空間に落ちなかったのか、私はパーティーの仲間たちに説明しました。


「神様がバグを修正したんです。私がバグを悪用したので、それを他の冒険者たちに真似されたくないから」


 もしあらゆる冒険者が、バグでボスモンスターを倒せるようになると、レベルの意味もステータスの意味も消えますからね。


 僧侶のレーニャさんも、他の配信者が応援配信RTAを失敗する風景を見て、むむむっと悩みました。


「応援配信RTAが対策されても、普通の応援配信ならできるでしょう? 入口でダラダラしてるだけで、クエスト報酬もらえるし、めっちゃおいしいと思うんだけど」


 私は即座に否定しました。


「いやそれがですね、私たちのパーティーでは、応援配信は不可能になりました。なぜならジェナーディたちが、応援配信はセクシーな衣装でやるものだとイメージを書き換えてしまったからです」


 戦士のアカトムさんは、思い当たることがあったらしく、最近スタートしたプロ野球の配信チャンネルを開きました。


「プロ野球のチアガールと同じ原理だね。容姿に対するハードルがガンガン上がって、普通の女の子は出番が消えるっていう」


 プロ野球のチアガールも、冒険者の応援配信も一緒ですね。


 応援される側のパーティーも可愛い女の子じゃないとクエストの同行を許可しなくなるし、配信を見ている視聴者たちの満足度も容姿に左右されるわけですから。


 うーん、競争の世界という感じですね。


 せっかく私が応援配信っていう新ジャンルを作っても、そこにより適正が高いパーティーが参戦してくれば、発案者である私が太刀打ちできなくなるっていう。


 まぁいいでしょう。だってお色気配信のジェナーディーが適正ということは、私には向いていなかったってことですから。


 武道家のシーダさんは、挙手しました。


「次はどんな配信をやるんだ? 普通にダンジョンを攻略して、それを配信するか?」


 うーん、どうしましょう。普通にやってもいいんですけど、以前も利用したアスレチック渓谷みたいなお手軽なダンジョンって意外にないんですよ。


 もっとああいう感じの初心者でも通いやすいダンジョンが増えてくれればいいんですが。


 と悩んでいたら、うちのVITチャンネルに、衛兵隊から連絡が入りました。


 どうやら映画の撮影所で発生した事件の捜査を手伝ってほしいみたいですよ。


 しかもただ手伝うだけではなく、配信しながらやってほしいそうです。


 ふーん、おもしろそうじゃないですか。


 というわけで、次回から刑事ドラマっぽいノリが始まります。お楽しみにー。

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