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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第一章 まだまだダンジョン配信者として駆け出しのころ

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第56話 PMCのみなさんです

 強そうな冒険者たちを探すために、私たちは街中を散策していました。


 どこかに強そうなパーティーいないかなぁーっと。


 お、発見!


 場所は定食屋です。テーブル席が十個ぐらいあるお店に、元帝国兵だらけのパーティーがいました。


 彼らは肉と野菜を煮込んだスープを食べていまして、料理酒とコンソメの香りが食欲をそそりますね。


 はい、お腹すきました。


 じゃなくて、元帝国兵だらけのパーティーですけど、腕っぷしが強いだけじゃなくて、帝国における防衛力のアウトソーシングといわれています。


 読者の脳内にある言葉を借りるとPMC(民間軍事会社)ですね。


 そんなPMCのみなさんは、私たちをちらっと見ました。


「なんだいお嬢さんたち、もしかして、おれたちを雇いたいのか?」


 私は、スカスカの財布を堂々と見せつけてやりました。


「自慢じゃないですが、そんなお金ないですねっ!」


「本当に自慢じゃないことを、そんな堂々といわれてもなぁ……」


 PMCのみなさんは、まるで野良犬を哀れむような目線で、私たちを見ました。


 ははは、もはやこういう視線にも慣れましたよ。


 でも大丈夫、以前と比べたら収入は増えましたから、少なくとも野宿はしなくなりました。


 まぁ元々の収入が低すぎるから、貧乏なままですけどねー。


 それはさておき、僧侶のレーニャさんが、PMCのみなさんのテーブルに片方の肘を載せました。


「あんたら強いわけじゃん? 四天王のダンジョン攻略しないの?」


 PMCのリーダーが、つまらなさそうに答えました。


「誰かに雇われたら攻略する。自分たちじゃ行かないな」


 戦士のアカトムさんは、ぽんっと手のひらを叩きました。


「つまり誰かに雇われて、四天王のダンジョンに挑戦したことがあるんだね?」


「もちろんあるさ。そんなに強くなかったよ、あの四天王っていうのは」


 やっぱり強くないんですねぇ、四天王。でもなんでそこまで弱くなったんでしょうか。


 どうやら武道家のシーダさんは、私と同じ疑問を持ったらしく、PMCのみなさんに質問しました。


「強いパーティーは、みんな四天王を弱いという。なぜだ?」


 PMCのサブリーダーが、ビールを飲みながら教えてくれました。


「だってあいつら、倒されるたびに新しいやつが補充されるだろ。だからもはや腕自慢のモンスターじゃなくて、そのへんにいる普通のザコモンスターでも四天王になれちゃうんだよ」


 なんていうかこう、末期的な組織の臭いがぷんぷんするんですけど、魔王軍って本当に大丈夫なんですか?


 うーん、そうなってくると、強い冒険者にしてみれば、四天王を倒しても、うま味がないのかもしれないです。


 だって肩書きだけが立派で、中身はザコモンスターなんですから、たいした経験値もゴールドも持ってないわけですし。


 だから私は別の角度でPMCに質問しました。


「ってことは、もしかしてPMCのみなさんは、ここ最近四天王と関わってないんですか?」


「いや、それがあるんだよ。最近、ダンジョン配信が流行ってるだろ? となると名誉欲を優先したパーティーが、オレたちを雇って、四天王のダンジョンを攻略するわけだ」


「でもそれってPMCを雇った冒険者たちが赤字になるんじゃないですか? 四天王クエストの成功報酬と、配信で得られる広告収入を足しても、PMCを雇う費用とほぼ同じぐらいでしょうし」


「ヒント、冒険者が金持ちだと、損益より名誉が優先する」


 なるほど、お金に余裕のあるパーティーであれば、採算を度外視できますから、利益の少ないダンジョン攻略にPMCを雇えるんですね。


 ぴこーんっと閃きましたよ、応援配信を成功させるための秘訣を。


「PMCにお願いがあるんですけど、その名誉欲が優先したお金持ちパーティーから依頼を受けたら、私たちを同行させてくれませんか? みなさんのことをチアガールみたいに応援したら、それ以降ダンジョンの入り口で待機してますから」


「それって新たな寄生配信だろ? お前らは冒険者ギルドで四天王クエストを受注しておけば、俺たちが四天王を倒した時点でクエストクリアの判定になるわけだし」


 ぎくっ……さすがにPMCのリーダーをやっているだけあって、私の腹黒作戦を綺麗に見抜いてきましたね。


 ですが私は、お金持ちパーティの性格を分析することで、押し切ることにしました。


「お金持ちパーティーは、採算度外視でPMCを雇うような性格なんですから、女の子に応援されるのも好きなはず。そうやって応援されたことで気分が良くなれば、PMCに支払う報酬だって増加するはずですよ」


 お金持ちパーティーは女の子に応援されて気分がよくなる→PMCは報酬が増えて懐がほくほくになる→私たちは応援配信が成功する。


 全員がウインウインの関係じゃないですか。決して悪くない話なんですよ、PMCにとっても。


 PMCのリーダーは、野菜スープを飲み干しながら、結論を出しました。


「お前らの同行を許可するかどうかは、依頼主であるお金持ちパーティー次第だ。だから当日に顔合わせして、もし断られるようなら、応援配信とやらは諦めろよ」


 やりましたね、とにかく第一段階はクリアですよ。


 あとはお金持ちパーティーに気に入られるかどうかですが、腹黒マインドで騙してやろう……じゃなかった、説得してやろうじゃありませんか。

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