表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/111

第1話 まずは自己紹介から。私の名前はユーリュー、職業は遊び人です

 ダンション配信のきっかけを語るためには、約一か月ほど前にさかのぼる必要があります。


 当時の生活状況から触れるとして、ついでに私たちの自己紹介もしていきましょう。


 まず私から。名前はユーリューです。性別は女の子なんですが、よく男の子に間違えられます。原因はわかっています。


 背が高くて、顔のパーツが凛々しいタイプで、ショートカットの髪型と黒ぶち眼鏡が似合っていて――そしてなによりも貧乳だからです。


 はー、貧乳は基本的に損ですね。男子にちやほやされないし、あまりにも小さすぎるとドレスも似合わないし。もし私の胸がもう少しだけ大きかったら、あれこれ得する場面もあったでしょうに。


 さてそんなボーイッシュな私ですが、職業は遊び人です。


 いやギャグじゃなくて、本当に遊び人という職業で冒険者ギルドに登録されています。


 だから装備は遊び人用のジャンプスーツで、得意技は手品です。それといって得意な武器はありません。重たい防具も装備できないですし。


 なかなかふざけた職業ですが、私の求めているステータスである運の値が一番高かったので、これを選びました。


 戦闘向きのスキルなんて持っていない職業ですが、私は前向きに考えています。だって遊び人は、高レベルになると賢者に転職できますからね。


 というわけで、明るい未来を目指して、野宿の準備でもしますか。


 そう、野宿です。


 私たちは、中継都市ハーギヤという交易の中継地を冒険の拠点にしているんですが、うちのパーティは貧乏なので、宿に泊まるお金がないんですね。


 だからといって都市の内部で野宿をすると、公共空間の税金を払えと役人がうるさいので、外壁の外で野宿しないといけません。


 というわけで、私たちは外壁沿いに陣取ると、四人で手分けして、野宿の準備を始めました。


 私の役割はテントの設営です。手ごろな石ころをトンカチ代わりにして、テントの杭を固定していきます。


 額に汗しながら野宿の準備をしているとき、都市の内部から料亭で提供しているコースメニューの香りが漂ってくると、実にイラっとします。


 ですが料亭が悪いわけじゃなくて、お金を持ってない私たちが悪いんですから、じゃあ置き引きとか、スリとか、当たり屋でもやって一儲けしようかなぁ、と心の中の悪魔が騒ぐわけですよ。


 しかし犯罪に手を出したら、もはや冒険者ではなくて、山賊の亜種なので、ぐっと我慢しましょう(ただし冒険者になる前に、複雑な事情があって、やむなく当たり屋をやったことは白状しておきます)


 とにかく大切なことは、心の内側に溜め込んだ怒りと不満を『いつか絶っっっ対に成り上がってやるから覚悟しとけよ!!!!』と気合に変換することです。


 なんて偉そうなことを言いましたが、私たちは住所不定無職なので、地元住民にしてみれば、怪しい連中なわけですよ。


 となれば、地方都市の衛兵が、見回りにやってきました。


「そこのお前、こんなところで野宿するんじゃない」


 私の本音としましては『うるさいですねぇ、国王の犬風情が。私たちがどこで野宿しようが勝手でしょう』と言いたいところです。


 しかし、それをいってしまったら、最悪豚箱行きですし、そもそも彼だってお仕事で巡回しているわけですから、もっともらしい言い訳をすることにしました。


「衛兵さん、私たち貧乏な駆け出しパーティーなんです。路銀が底をついてしまって、宿に泊まるお金もありません。どうか見逃してください、およよよ~……」


 手品で鍛えた小技により、衛兵から見えない角度で目薬を取り出して、己の目玉に数滴――およよよ~と泣いたフリをしました。


 私ってば、遊び人らしく演技派ですね。


 さて衛兵なんですけど、どうやら私の演技が突き刺さってしまったらしく、やや困った顔をしてから、ため息混じりで巡回に戻りました。


 やりました! 私の演技で国王の犬を追い払いましたよ!


 えっへん、私ってば偉い。


 さて、私の担当であるテントの設営は終わらせたので、あとは仲間たちが担当した仕事が終わるのを待つだけですね。


 噂をすればなんとやら。仲間たちが続々と戻ってきたわけですが、彼女たちの紹介は、次回に持ち越しですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ