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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第二章 そろそろダンジョン配信者が板についてきて、お金儲けもぼちぼちやれるようになったころ

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第126話 お客さん、予約票があるのに、なんで列に割り込むんですか?

 パティシエ見習い生活二日目スタート!


 本日は感謝祭当日なので、受取の人が多い日ですね。


 繁盛すると売上増えますけど、その分忙しくなるので大変です。


 戦士のアカトムさんと武道家のシーダさんはお菓子作りのセンスがあったので、厨房でケーキ作成を手伝っています。


 僧侶のレーニャさんは不器用なので、行列をさばく役割になりました。私はそれのお手伝い。


 なおレーニャさんですが、地団太を踏みながら怒っていました。


「なんでお客さんって真っすぐ並んでくれないわけ!?」


 そうなんですよねぇ。予約票を持っているはずなのに、なぜか真っすぐ並ぼうとしないで、前に前に殺到してくるんですよね。


 レーニャさんですが、別の意味でも怒っていました。


「そもそもなんであたしだけ行列をさばく仕事なのよ! そりゃ料理は壊滅的に下手だけどさ、それにしても失礼な扱いだわ!」


 そう思うなら料理うまくなればいいでしょうに。


 まぁ行列さばく仕事だって大事ですよ。ほら後ろの方でケンカ起きましたし。


「お前割り込んだろ」「そっちが割り込んだのよ!」


 やれやれ、めんどうな客。


 私はケンカする二人の間に入ると、お店の立て看板を槍みたいに構えて、強引に距離を引き離しました。


「予約票がありますからね、どちらが先でも確実に手に入りますよ」


 彼らはぶつくさ文句を言いながら元の列に戻りました。


 恒例行事とはいえ、そんな殺気立たなくていいと思うんですが、まぁお祭りっていうのは良い方向にも悪い方向にもテンションを上げてしまうものですから。


 ああそうそう、いまおもしろいお客さんを発見しました。


 読者のみなさん覚えていますでしょうか、結構前に協力してくれた女性で、闇市で働いている元帝国海兵隊のミシェールさんです。


 うちの父の元部下ですね。


 ミシェールさんは闇市の関係者ですから、配信画面に映すわけにはいかないので、一時的に画像にモザイクかけて、音声をミュートしますね。


「ミシェールさん、普通にお店くるんですね」


 ミシェールさんは、いつもより紅潮した顔で答えました。


「前回の競馬勝負のときに、優先チケットもらえなかったけど、感謝祭の予約はすでにしてあったからね」


「そんなにうちのお店のお菓子好きだったんですね」


「当たり前だよ。世界で一番うまいシフォンケーキがあるからね」


 そうなんですよ、シフォンケーキの評価は本当に高くて、世界中にファンがいます。


 原材料にこだわったわけじゃないんですけど、製法にはこだわっているはずなので、そこが高評価のポイントでしょうか。


「そうだミシェールさん、お父さんと久々に会ったんですけど、普通に働いてましたよ。指名手配されているのが嘘みたいに」


「そりゃまぁあれだけ身体能力高い人なら、衛兵に追われても走って逃げきれちゃうからねぇ。指名手配されても意味がないっていうか……」


 はい、レベルが高いとスピードのステータスも伸びますから、衛兵では捕まえられないんですよね。


 下手すると馬に騎乗した騎兵に追いかけられても逃げ切ります。


 まぁいいんじゃないでしょうか、事情があって指名手配されたわけですし、どうも皇帝も一枚噛んでいそうな陰謀がありそうですし。


「もしかしてミシェールさん、うちのお父さんが海軍の将官殺したとき、なんか秘密抱えてそうとか思いました?」


「あの将官、マジのクソゴミだったから、死んですっきりしたぐらいしか感想がなくてねぇ。でも…………なんか裏にありそうな感じはちょっとだけあったよ」


 やっぱりなんかあるんですね、お父さんが指名手配されていることに。


「ムーンライトセレナーデ、っていう合言葉を皇帝に伝えられましてね、なんか心当たりありますか?」


「それ、かつて皇帝が所有してた競走馬の名前じゃないの?」


「えっ、競走馬の名前!?」


 VITで競馬データベースを検索したら、本当にありました。


 第24代目のダービー馬です。


 血統構成を見た感じ、完全なる突然変異です。本来ならダート走ってそうな種牡馬と牝馬の組み合わせなのに、なぜか芝走ってダービー勝ってますから。


 でもなんでそんな突然変異のダービー馬を、合言葉に選んだんでしょうか


 うーん、謎が深まるばかりですね。

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