表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第二章 そろそろダンジョン配信者が板についてきて、お金儲けもぼちぼちやれるようになったころ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/128

第124話 パティシエは大変な仕事ですよ、肉体的にもメンタル的にも

 というわけで、我々は洋菓子店でしばらく働くことになりました。


 よりによってこの時期に。


 めっっっっっちゃ忙しいんですよ、もうすぐ地元のお祭りがあるので。


 読者のみなさんが暮らしている時代であれば、冷蔵庫とか冷蔵車があるので、もっと楽にお菓子を作れるんですけど、この物語の世界ではまだ開発されてないですからね。


 ってことは、生鮮系の食材を素早く仕入れて、素早く調理するっていうのが必須技術になります。


 それも大量に、均等な品質で、作らないといけません。


 厨房は、ちょっとした戦場になっていました。


「砂糖とバター! 砂糖とバターを適切な温度管理で! ほらそこ、もたもたしてる暇はないわよ!」


 ひょろっとした見た目のお母さんが、最前線の指揮官みたいな表情で、お菓子職人たちを鼓舞していました。


 なんだか懐かしいっていうか、息苦しいっていうか、めんどうっていうか。


 お菓子作り、実は手間暇かかるんですよねぇ。


 パティシエって言葉、やけにおしゃれで華やかな響きがありますけど、立派な肉体労働ですからね。


 素材を運ぶためには筋肉使いますし、一日立ちっぱなしですし、素早く仕事しないと温度管理をミスすることになって形状と味が変化しちゃいますから。


 まぁ私は慣れてますけどね。子供のころから手伝ってましたから。


 そんじょそこらのパティシエよりお菓子作るの上手なんです。


 レベル1の遊び人である私が持っている、ゆいいつの強スキルですね。


 ただし冒険にはなんの役にも立たないので、しくしくしく。


 とにかく素人では、そう簡単に手を出せない分野なので、お手伝いになったうちのパーティーのみなさんがやれる仕事は限定的でした。


 容器の準備とか、廃棄物の運搬とか、予約待ちのお客さんの誘導とか、まぁ雑用ですね。


 僧侶のレーニャさんは、お菓子作りのイメージが変わったらしく、軽く目を回していました。


 「なんでお菓子作りみたいなキツい仕事が、女子の憧れの仕事になってたわけ?」


 はい、ありがちなやつですね。


 お菓子作りの表面的なイメージでパティシエになったものの、そのハードな仕事内容にびっくりして退職しちゃうやつ。


 この店舗でも、まぁまぁ発生するパターンですよ。


 だから生き残ったパティシエは例外なくタフな顔つきをしています。


 戦士のアカトムさんは、もうすっかり手順を覚えていました。


「立派な肉体労働だねぇ。これは大変だ。でもちょっと楽しいかも」


 どうやらアカトムさんはパティシエというか調理作業のお仕事に適性があるみたいですね。


 この調子であれば、冒険者辞めたあとも、飲食店で働けますよ。


 武道家のシーダさんは、労働というより基礎トレーニングとして認識したみたいですね。


「腕や足腰の筋肉を鍛えられる。あとは反復作業をこなすことで精神の鍛練にもなりそうだ」


 仕事内容の把握としては正解なんですが、シーダさん地味に味音痴というか、なんでもおいしいといってしまうタイプなので、パティシエ適性はないと思います。


 それにしても、こうやって地味で大変な肉体労働をやっていると、ダンジョン配信者として成功してお金持ちになりたいと思ってしまうのは、人間として正常なメンタルでしょう?


 いやまぁ我々は弱小パーティーですから、いまだに配信の収支が合わなかったときはアルバイトしてますから、こういう労働は慣れっこではあるんですが。


 やっぱ短期間でドギャーっと稼いでお金持ちになりたいですよ。


 いまはイナズマストーン売り切るために奔走していますが、この案件が終わったら、超大手配信者になるために、特大の視聴者数を稼げそうなネタをやりたいですね。


 冒険者としてやれることで、最大の配信ネタってなんでしょうか。


 ………………魔王城で配信とか?


 だって魔王は死なないけど弱いやつってわかったじゃないですか。


 うまく潜り込めたら、絶対おもしろいですよ。


 視聴者だって喜んでくれるはず。


 でも以前、魔王の配下が関わったクエストで、盗賊イシュタルに助けてもらったときなんて、リスク背負いすぎて私死にそうになりましたし。


 パーティーも、そこそこギスギスしましたし。


 うーん、困りましたねぇ。


 私一人で死ぬなら、ただのリスクを背負った結果でしょうけど、パーティーメンバーを巻き込むわけにもいかないですし。


 そんなときでした、勇者パーティーからVITを通じてメッセージが届いたんです。


【魔王城の偵察をするために大規模パーティーを組んでいる。君たちは兵站を担当するチームに入ってくれないか?】


 チャンスですよ、これ! 

 

 せっかくですから、手配師に担保として預けているイナズマストーンも、こちらの現場で売ってしまいましょう!


 *CMです*


 パティシエ養成学校開校のお知らせです。


 憧れの仕事についてみたいけど、師匠を紹介してもらえなくて困っているあなたに朗報です。


 帝都にある料理文化省が、伝統的なお菓子作りを広めていくために、パティシエ向けの学校を開設しました。


 いまなら入学金無料! 寮も完備!


 *なお養成学校卒業後は、いきなりパティシエになれるわけではなく、軍隊での調理補助を担当してもらいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ