第114話 ドラゴンだってうんちすることを証明する回!
はい、戻ってまいりました、ペスカータン山!
本日、うんち回でございます。
配信のコメント欄も、大盛りあがりです。
『クソみたいな配信だ』『まさにクソだ』『クソったれだな』
はい、クソだらけになります、なんてお下品な!
そんな汚いノリはさておき、呪いの大元を解消したおかげで、ペスカータン山のイナズマストーンは、すっかり臭いが消えていました。やりましたね!
なろうドラゴンのプラテスは、イナズマストーンを鷲づかみすると、まずは一回かじりました。
「長い間、誰にも食べられてなかったから、味が熟成してるねぇ。いまどきこういうイナズマストーンも珍しいんじゃない?」
彼が試食している間に、他の冒険者たちが、わらわらと集まってきました。
「うわー、本当にドラゴンがイナズマストーン食べてる」「すげー、これって貴重な機会だよなぁ」「これだけ難しいクエストをこなすなんて、ユーリューたちって、ただのアルバイトだらけの配信専業パーティーじゃなかったんだ」
いやはや、そういう評判だったんですね、我々。
アルバイトだらけの配信専業パーティー。
なにも間違ってないのがおもしろい!
こんなパーティーじゃ、絶対に魔王なんて倒せませんよ、はっはっは。
…………まぁそんなことはどうでもいいんです。
評判なんかより利益ですよ。あとはなろうドラゴンのプラテスがうんちするのを待つだけです。
おパンツ配信のリーダーで吟遊詩人のジェナーディですけど、配信カメラの前で地団太を踏んでいました。
「きぃいいいいいい、ユーリューみたいなタチの悪い腹黒女に負けるのが一番腹が立ちますわ!」
おやおや、これは演技じゃなくて、本気で悔しがっていますねぇ。
ははは、気分がいい。打算的な美少女には屈辱の表情がお似合いですよ。
と私が勝ち誇っていると、ばさばさと翼が、はためく音が連なりました。
何事かと思って空を見上げると、ドラゴンが五十体ぐらい飛来してきました。
「おいしそうな匂いがする!」「熟成したイナズマストーンの香りだ!」「こんなところにレアスポットがあったんだな、気づかなかったわ」
ただでさえ遭遇率の低いドラゴンが、これだけ集まってくるのはレアすぎるでしょう。
そんなレア現象を起こしてしまうぐらい、イナズマストーンって、胃薬でありながら、珍味みたいな扱いなんでしょうね。
というわけで、ペスカータン山に合計五十一体のドラゴンが集まって、ばくばくばくばくばく、とイナズマストーン食べ放題祭り開始ですよ。
すごい勢いで石がなくなっていきます。地面を掘り返す勢いが強すぎて、あたりが砂っぽくなってきました、けほけほ。
うちのパーティーの武道家であるシーダさんが、なにかに気づいたらしく、ぽんっと手を叩いて、こんなことを言いました。
「これだけの数のドラゴンが、いっせいに便秘を解消したら、すごいことになるんじゃないか?」
ドラゴンの巨体は、人間の何十倍と大きいわけですね。
そんな生き物たちが便秘になったら、何百リットル、いや何千・何万リットルのうんちがたまっているんじゃないでしょうか。
それがもし、いまこの瞬間に、どばーっと解放されるとしたら?
……あれ、もしかして非常事態。
私たちのパーティーだけじゃなくて、他のパーティーたちも、さーっと青ざめました。
「「「うんちの洪水で溺れ死ぬ!?!?!?!?」」」
そんな最悪のエンディングなんて絶対にごめんですよ!?
というわけで、我々は脱兎のごとく下山を開始しました。
もうすでに背後からは、ぶりぶりぶりぶりーっと元気のいい排泄音が聞こえてくるじゃないですか。
でも振り返ったらおしまいです。
一歩でも足が停まれば、うんちの洪水に飲み込まれてしまうので。
*CMです*
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