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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第二章 そろそろダンジョン配信者が板についてきて、お金儲けもぼちぼちやれるようになったころ
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第111話 競輪で回収率勝負をしよう!

 というわけで、ドラゴンの背中に乗って、競輪場にやってきました。


 ――おっと言い忘れていました、領主ポンポはさすがに屋敷に戻してきましたよ。だって公務をサボって賭場にいたなんて知られたら、いくら閑職でもシャレにならないですからね。


 というわけで、私たちだけがドラゴンの背中に乗った状態で、上空から競輪場を見下ろしました。


 アーモンドみたいな楕円形の建物がズシンっと置いてあって、なんだかちょっと食欲をそそられますね。


 はい、空腹なんです、保存食のクッキー食べますね、ぽりぽり。


 腹ごしらえも終わったので、競輪場に話を戻すんですけど、建物のサイズは競馬場と比べると小柄ですね。


 この小ささは武器になっていて、都市部みたいな限られた立地条件でも建設できます。


 我々が来訪した競輪場は、まさに帝都の郊外に建設されたものなので、毎日お客さんでごった返していました。


 そんな場所に、突然二体のドラゴンが飛来したので、お客さんもスタッフも大騒ぎになりました。


「ドラゴンが競輪場に?」「っていうか、ドラゴンってギャンブルするんだな」「しかも競輪やるんだ、渋い」


 衛兵たちが集まってきて、二体のドラゴンに質問しました。


「人里で暴れるつもりではないのだな?」


 なろうドラゴンのプラテスが、めんどくさそうに答えました。


「競輪でギャンブルするだけだよ。そのために人間用のお金も用意した」


 金貨袋には、ずっしりとゴールドが入っていました。


 どうやってこれだけの大金を用意したかといいますと、ドラゴンのおばばが溜め込んでいたんです。


 さすがドラゴン族、金銀財宝を溜め込むことが日々の習慣ですね。


 それはさておき、衛兵の偉い人は金貨袋で目の色を変えました。


「ほほぉ、それだけお金を使ってくれるなら、我々人間側としても願ったり叶ったりだな。ドラゴン殿の幸運を祈るよ」


 お金が儲かるなら、たとえお客さんがドラゴンであっても構わない。


 さすが帝国、商魂たくましいですねぇ。


 うちの配信のコメント欄も、盛り上がっていますよ。


『ドラゴンが相手でも容赦なくむしりとる。これが帝国スタイルだ』『ギャンブル怖すぎ……』『ざわ、ざわ』


 いいですねぇ、もはや視聴者のみなさんも、ギャンブル勝負に慣れてきましたね。


 さて衛兵たちが持ち場に戻ったあたりで、なろうドラゴンのプラテスが、私に小声で問いかけてきましたよ。


「いくら君のアドバイスがあるからといって、いきなりギャンブルして当たるものなのかい?」


「大丈夫、競輪のルールに慣れたら、あなたは私より当てられるようになりますよ」


「その根拠は?」


「競輪で行われるライン戦は、選手の性格と人間関係が大きく関わってくるんです。だから小説を書いているあなた向きなんですよ」


 キャラの性格と人間関係を突き詰めていくのが創作ですよね。


 だから小説家のドラゴンは、人間ドラマでレースが動く競輪向きというわけです。


 そんな競輪で回収率勝負を行う相手――意地悪ドラゴンですが、ついさきほど名前を知りまして、テケアでした。


 意地悪ドラゴンのテケアは、胡散臭そうに競輪場を見下ろしました。


「競輪は、どんなルールで走っているんだ?」


 はい、遊び人である私が説明しましょう。


「競技用自転車でトラックを周回して、一着から三着までの着順でギャンブルします。ライン戦がありますから、実質チーム戦です」


「なんで一着から三着まで決める競技なのに、チーム戦になるんだ?」


「メタな発言をしますと、競輪誕生当初はライン戦がなかったんです。ところがケーイチ・ナカノという天才が勝ちまくりましてね。彼を倒すためにフラワーラインが生まれました。それがきっかけでライン戦が標準化されました」


「なんでラインを組むと、天才を倒せるようになるんだ?」


「ライン先頭の選手が風を受けて、後方の選手たちの疲労を軽減。二番手の選手がブロックを担当して、天才の脚力を削ぐ。三番手の選手が、経済コースであるインを守る。この連携技で天才も倒せるようになりました」


「一着を争う競技のはずだが、それだとライン内部の選手と、どうやって一着争いをするのだ?」


「最後の直線前後からライン戦が終わって、そこから個人戦になるんですよ」


「地味に難しいな。やっぱり競馬で勝負したほうがよかったんじゃないか?」


「慣れてしまえば、競馬より競輪のほうがわかりやすいんですよ。なんにせよ、まずは一度賭けてみましょう。そうしないとなにも始まらないので」


 というわけで一発目のレースいってみましょう。


 *CMです*


 競輪管理委員会です。毎年競輪選手募集中!


 十代の若者から三十代の中年まで、新しい挑戦を待っています!


 学歴不問、前職不問、自転車をうまくこげれば稼げる仕事、それが競輪だ!

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