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レベル1からレベル5までしかいない低レベル女の子パーティーなんですけど、ダンジョン配信を始めたら冒険の収入より広告収入が上回りました  作者: 秋山機竜
第二章 そろそろダンジョン配信者が板についてきて、お金儲けもぼちぼちやれるようになったころ
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第107話 強くてモテまくりのドラゴンになろう!

 臭い石板の正体は、ドラゴン執筆のなろう小説でした。


 …………反応に困りますねぇ。


 ドラゴンが小説を書くのは、まぁわからなくもないんですよ。


 圧倒的に長寿だし、高度な頭脳を持っているし。


 でもまさか、なろう小説を書くとは、うーん……。


「領主、この石板、どう受け止めればいいんです?」


 領主ポンポは、石板の材質を虫眼鏡で分析しました。


「かなり古いものではあるんだけど、それって人間の寿命換算だから、ドラゴンの寿命で逆算すると、現在青年期のドラゴンが、学生時代に書いた小説になるんだよ」


「それって……このなろう小説を石板に書いたドラゴンは、いまもどこかの空を飛んでいるってことですか?」


「うむ、間違いない。若いころの黒歴史を山に埋めて、いまもどこかで飛んでいるはずだ」


 ドラゴンにも黒歴史があるし、それを恥ずかしいものだと認識したので、山に埋めたんですね。


「しかしそうなってくると、執筆者の性格も気になりますね。小説の内容が作者の人格を現すとは限りませんが、もしタイトル通りのドラゴンだとしたら……?」


「そっとしておいてあげたいねぇ。ドラゴンにも力の上下関係があるわけだし」


 もし腕っぷしが弱くて、社会的な地位も低いドラゴンが、小説を書いて鬱憤を晴らしていたとしたら……


 そういう性格の生き物って、黒歴史のことを忘れていないと思いますね。


 と推理した次の瞬間、バサバサと大型の飛行物体が翼をはためかせる音が街中に響きました。


 まさかと思って領主の館の窓を開けると、青い鱗のドラゴンが町の上空を旋回していました。


 やっぱり黒歴史を覚えていたんですね、石板なろう小説の作者であるドラゴンは。


 そんな彼は、領主の館の庭にズシンっと大げさな音を立てて着陸すると、まるで咆哮を上げるように叫びました。


「人間め! 僕の黒歴史を掘り返すだなんて、いったいどういうつもりなんだ!?」


 さてどうやって説明したものですかねぇ。下手に怒らせたらドラゴンブレスでこんがり焼かれてしまいそうですし。


 とりあえず正直に伝えてみましょう。


「私たちは冒険者なんですが、そもそもこの臭い石板の正体がなろう小説だとは知らなかったんですよね」


「読んだんだな、これを読んだんだな、お前ら! 絶対に許さんぞ!」


 いやまだタイトルしか知らないんですが、彼のリアクションから推測するところ、タイトル通りの内容なんでしょうね。


 かわいそうに。


 たとえヒエラルキーの下層に位置していても、女子にモテたいと思うことは、種族を問わず男子の宿命なんでしょう。


 うんうん、男子はそういう部分で苦労しているんですねぇ、たとえドラゴンであっても。


 と、私たち人間側が同情していると、青い鱗のドラゴンがブチ切れました。


「その石板を返せぇ、嫌味な人間どもめぇええええ!」


 ドラゴンは巨大な手を伸ばして、領主の館の窓というか壁をぶち抜いてしまいました!


 うわぁ、やっぱりドラゴン強すぎますぅ!



 *CMです*


 もしもドラゴンに壁を破壊されてしまったら、我らアンズ建築におまかせください。


 ただ修復するだけではなくて、ドラゴンの爪痕を有効活用して、あなただけの個性的な自宅を手に入れられます。


 それが役所であれば、観光名所にもできるでしょう。


 逆境に強い建築会社、アンズ建築でした。

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