98.挙式
「ねぇ、テツさん。どうかな?」
ヒラッと振り返り、ドレスを見せてくれているのはアリーだ。
可憐なその姿に俺は、すっかり虜になってしまっている。
「あぁ。綺麗だよ。誰よりも綺麗だ」
「もう。テツさんったら」
なにやらピンクの雰囲気を出している。
だが、その雰囲気を出しているのはここだけでは無い。
「レイさん! すごく綺麗だぜ!? この世で一番綺麗だ!」
「ふふっ。そう? ショウはいつもそう言ってくれるから嬉しいわ」
「当たり前のことを言ってるだけだぜ?」
ショウもタキシードの様なものを着て、レイもドレスを着ている。
それぞれの場所でみんなおめかしをしているのだ。
「ヒロさん……私は綺麗ですか?」
「当たり前だよ? でも、ホントに僕なんかで良かったの?」
「僕なんかではありません! ヒロさんだから良かったんです!」
マリア王女は一際豪華なドレスを着ている。
それは仕方のないこと。
今準備しているこの挙式はヒロとマリア王女の結婚を祝う式なのだが。
マリア王女の意向でテツとショウも一緒に式を上げたらどうかと提案があったのだ。
俺は、アリーに確認したら二つ返事でやりたいと返事を貰い。
ショウはまだ、プロポーズをしていなかったが、俺が気づいた時にはいい感じになっていて。
式を共に上げるとこになったのであった。
「それでは、始まりますよー!」
「「「はーい」」」
使用人に案内されてアリーをエスコートして外に出る。
巨大な教会のようなところが見えた。
聖ドルフ国は宗教国家という事もあり、巨大なステンドグラスがある教会のような所がある。
今回はそこで三組合同の挙式を行うのだ。
三組が正面に並ぶ。
参列者は沢山いる。
ベルンの人の殆どが来てるんではないかというくらい街の人が押しかけた。
そして、召喚された中では仲間はずれのようになってしまったアケミだが。
襲撃をされた際は彼氏といて、守るために戦っていたんだとか。
今回は彼氏と参列している。
イフト達紅蓮の炎と、フルル達の暁ももちろん参列している。
パンパンッ!
魔法が空へと打ち上がり、会の始まりを告げる。この世界での挙式は、そんなに長くやることは無いらしい。
神父のような人が出てきてお辞儀をする。
「王女様、ヒロ様、この度はご結婚おめでとうございます。ご友人もおめでとうございます」
まぁ、俺達はついでだからしょうがない。
扱いが少し雑な気もするが、何も言うまい。
なにより、マリア王女が不機嫌だ。
大方、ヒロの友人を無碍にしたとでも思っているんだろうが、仕方がないことだ。
一国民でもない俺達と王女の結婚なのだから、差が出て当たり前だ。
大人な俺はお辞儀で対応する。
「いついかなる時もお互いを尊重しあい、添い遂げることを誓いますか?」
「「「誓います」」」
「それでは、誓いのキスを」
それは聞いてないぞ。
アリーを見ると目を瞑り待っている。
ここは俺が行かない訳にはいかない!
気合を入れていざ。
「チュッ」
ゆっくりと目を開けると照れたような、はにかんだ笑顔のアリーがいた。
もう最高です。
みんな顔が赤くなっている。
ショウなんか既に茹でダコの様に顔を赤くして湯気を上げている。
「それでは、皆様に幸あらん事を……」
神父が最後の言葉を終えて去っていく。
すると、騎士団が出てきた。
なにやら物々しい雰囲気に皆が気圧される。
俺はニコニコしていた。
あの騎士団長は何を言うのか楽しみだからだ。
「この度は、我らが姫と英雄達の挙式だ! みんなー! 飲んで食べろー! 宴だー!」
「「「おおぉぉぉぉ!」」」
はははっ。
やっぱり。楽しいこと大好きだからな騎士団長。
そこからは飲めや、食べれやと賑やかになった。王城からのシェフが作った料理はどれも美味しく。
ガイさんはめちゃくちゃ食べてミリーさんに叩かれていた。フルル達もここぞとばかりに料理をかき込んでいる。
俺とアリーも酒を少し飲みながら食事を摘んで来る人来る人と話をしている。
少し落ち着いたのは夕方頃だろうか。
昼頃に始まった会だからだんだんと皆疲れてきたのだろう。
親父達はまだまだ元気な様子だが。
「テツさんは、お父さん達に混ざらなくていいんですか?」
「あぁ。綺麗なアリーを見ていたいからな」
「もう。みんなが居る前で恥ずかしいです」
「大丈夫だぞ? 事実だからな」
「もう……テツさんたら」
頬に両手を当てて照れているアリー。
その姿も可愛く。
愛おしい。
「アリー。改めて、礼を言うよ。ありがとう」
「ふふふっ。なんですか? 改まって?」
「俺は、この世界に最初は罪を償うためだけにきた。それが、アリーと出会って。俺が人を好きになって良いんだろうかって……悩んだ時期もあった……」
少しアリーの顔が暗い顔になる。
「そんな時もありましたね」
「そんな時に救ってくれたのはアリーと、ミリーさん。そして、俺でいいって言ってくれたガイさん。街の人達もか。沢山の人に支えられているだなって思った」
「ヒロさんが抜けてますよ?」
「ははは。たしかに、ヒロもだな。あいつも召喚されなきゃ会えなかったわけだから。奇跡だ。神様がヒロを寄越してくれたんだろうか」
「それは分からないですけど、良かったじゃないですか。親友に会えて」
「あぁ。まぁ、殺したの俺なんだけどな」
「それは置いておいて!」
アリーが怒った顔になる。
「すまん。そうだな。この世界にこれて感謝しかないな」
「私はテツさんに感謝してますよ? テツさんが居なきゃ、たぶん私は今生きていません。というか、ベルンはなかったでしょう」
以前に神が少し現れた時、そんな事を言われた。ベルンの人達を救ったことで償いは終わったと。
そこからだろうか。
少しアリーと居てもいいのかなと思い始めたのは。
「感謝しています。ありがとうございます」
頭を下げるアリー。
「俺は自分の好きな人達を守っただけだ。世界を守ることは出来ない。けど、手の届く範囲で自分の大切な人達は守りたかった。守れてよかった」
「ふふっ。この国でも、英雄ですね?」
「そう言って貰えて有難いな」
「ガハハハ! お前達は仲がいいな!」
乱入して来たのはガイさんだった。
「もう! 行かないでって言ったのに! ごめんね! テツくん!」
ミリーさんも追いかけてきたみたいだ。
「いいですよ。俺がアリーを独り占めしてるから」
「はっ。テツ。俺達に遠慮するこたぁねぇ。俺達はもう家族だ」
「そうよ? 遠慮なんかいらないって前から言ってるのに!」
ムスッとした顔をするミリーさん。
ガハハハと笑っているガイさん。
「では、改めて、父さん、母さん、これからも宜しくお願いします!」
「ガハハハ! ドンと来い!」
「……母さん……母さんて……」
ミリーさんがウルウルしている。
「テツさん、大好きです! ずっと一緒です!」
アリーが太陽のような笑顔で微笑んでくれた。
俺はこの太陽の元、これから生きていく。
これで元殺し屋の第二の人生も幸せの絶頂でお話は終わりです!
これからどうなんっていくんでしょうか。
みなさん、読んでいただいて有難う御座いました!




