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転生したら前世チートで無双する  作者: ゆる弥


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64.新しい人生の始まり

「おう! テツ! 戻ったんだってな!?」


 慌ただしく家に入って来たのはジンさんだ。

 誰かから知らせを聞いて飛んできたのだろう。


「はい。帰還しました。そして、アリーが……目を覚ましました」


「あぁ。良かったな。本当によかった」


 ジンさんも目をウルウルさせている。

 自分の娘のように可愛がっていたアリーが寝たきりになってたんだ。

 相当心配だっただろう。


 バタンッとまた玄関の扉が開いた。

 続いて入ってきたのはサナさんであった。


「アリー!」


「サナちゃん!」


 二人でがっしりとハグをしている。

 それを俺達は微笑ましく見守る。

 サナさんもアリーが眠る前までは一緒にご飯に行ったり、買い物しに行ったりしてたからな。


 心なしかサナさんの頬が痩けている気がする。

 ずっと気になってゆっくり休めていないのかもしれない。


「アリーが目が覚めてよかった。私はやっぱりアリーが居ないとダメみたい。生きていけない!」


「ふふふっ。サナちゃんは大袈裟だなぁ」


「大袈裟じゃないよ? ご飯も喉を通らなかったんだから!」


 そういう事か。

 だからやつれたのか。

 いきなり入って来たら頬が痩けていて何事かと思ったものだが、合点がいった。


 サナさんも相当心配していたのだろう。

 仲のいい親友と呼べる者が寝たきりになって、でも自分は何も出来ないという状況は俺が思うより辛いのかもしれない。


 俺は自分で動いてアリーを助けるために魔王を倒しに行けた。

 その間はその事に集中していたから。

 気が紛れたというか。

 自分のすべきことをしたというか。


「ごめんね。サナちゃん」


「ううん! 目を覚ましてくれてありがとう! テツくん! ありがとね!」


 サナさんが俺の手を取り両手でガッチリと包み込む。

 柔らかい手の感触が手から伝わる。

 女性にこんなに手を握られたことがあっただろうか。


「い、いや……俺はアリーを助けるためにした事だから」


「うん」


 サナさんが見つめてくる。

 どういう状況だろうか。


「はいおしまーい! サナちゃん離れようか?」


 ニコニコしているが背後からは黒い何かを感じる。恐ろしい。

 サナさんから離れさせられる。



 


「ん?」


 真っ白な空間にいた。


「俺は、また死んだのか?」


「違うわい。ちょっとしたお知らせじゃ」


「おしらせ?」


 お知らせのためにわざわざこの空間に連れてきたのか?

 アリー達はどうなった?

 無事か?


「そう慌てるでない。あの子達は無事じゃ。ちょっと時を止めて、お主の意識を連れてきた」


「そう……なのか」


「それでのぉ、おしらせというのはのぉ……」


 随分もったいぶった言い方をするな。

 そんなに何か言い辛いことだろうか。

 あっ、というかこの思っていることも筒抜けなのか。

 考えていても意味が無いな。


「その通りじゃな。なに。別に勿体ぶってなどおらん。お主の今回の人生における償いというのがのぉ。終わったんじゃ」


 終わったとは?

 この世界で生きることが償いになると言った。

 それが終わったということはやはり死ぬ?


「違うわい。そのままの意味、償いが終わったのじゃ」


「俺は、何もしていないぞ?」


「そなた、どれだけの人を救ったと思う? 例えば、ゴブリンから救出した女性。盗賊からこの街の人と冒険者を守り。少年少女を弟子にして死なぬ位強くした。最初に救った女性もじゃな」


「アリー……か?」


「うむ。これまで救ってきた人達は前世でお主が殺したものの子として産まれるはずだった魂じゃ」


 なんと。

 ミリーさんも、アリーも、フルルも。

 ジンさんも、サナさんも、ダンもウィンも……。


「その者達はお主が転生しなければこの世界で早くに死ぬ運命じゃった。しかし、お主が現れたことにより運命が変わったんじゃ」


「ベルンの人達は長く生きれるんだな?」


「そうじゃな。この世界の寿命の位は生きるじゃろう」


 それを聞いて安心した。

 俺が役に立てたのか。

 本当に良かった。


 この人生がベルンの街の人達の運命を変えることが出来た。

 その事実が俺の心に残っていた氷を溶かしてくれた。


「そうか……良かった」


「今も好きに生きているのじゃろうが、改めて言う。好きに生きよ! この人生に! 幸多からんことを!」





「……ツさん!? テツさん!?」


「はっ!」


 気が付くと目の前にはアリーがいた。


「どうしたんですか? 具合悪いですか?」


 上目遣いで聞いてくる。

 俺の理性はもう制御不能だった。


 そのままガバッと抱きしめて。

 アリーの首に顔を埋める。

 女性独特の香りなのだろうか。

 とてもいい香りがする。


「テツさん? どうしたんですか?」


 俺の背中を優しくトントンっとしてくれた。

 凄く心地よく。

 そしてすごく温かい。


 アリーの首が濡れている。

 肩を伝って背中に流れ落ちる。

 いったいこの水滴は何だ?


「テツさん? また何か思い詰めてるんですか? 何も泣くことないですよ?」


 俺は、泣いているのか。

 こんな幸せな思いをしていいのか。

 そんな気持ちでいっぱいだったから出た涙かもしれない。


「すまない。嬉しくてな」


「ふふふっ。何がですか?」


「アリーの笑顔が見れたことがだ。なぁ、アリー。俺とずっと一緒に居てくれないか?」


「前にも言いましたよ? もちろんです!」


 ニカッと笑うその笑顔に俺の心は満たされる。


 俺の償う人生は終わりだ。


 これからの人生はこの世界の人達の為に生きよう。

 

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