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やっと使えるよ!

「くっ!」


 僕は取り敢えずサマンサギルド長、イヴァン副ギルド長、そしてデライラを土魔法のバリケードですっぽり包み込んだ。これでコカトリスの視線のスキルから守る事が出来るだろう。


「ノワール、アーテル! 先にコカトリスを片付ける!」

「はい!」

「承知!」


 視線が武器だというなら対処方法はある。多分世界でも僕とノワールにしか出来ない方法だ。


(この空間を完全なる闇で覆い尽くせ)


 そう念じると、元々薄暗い坑道の中の闇がどんどん濃くなり、やがて目というパーツが一切役に立たない完全な暗闇に包まれた。

 よく『夜目が利く』という話を耳にするけど、あれは僅かながらでも光が差している場合の話だったり、普通の人間には見えない波長の光を感じる事が出来る場合の話だ。


「ショーン! 何がどうなってるの!?」


 状況が分からないうちに、僕の魔法によって土のドームに包まれたデライラの声がする。


「コカトリスがいる! 大人しくしてて!」


 これでデライラだけではなく、サマンサギルド長やイヴァン副ギルド長も状況を把握しただろう。あんな魔物が複数いる上に、シルバーランク以上の魔物がわらわらと上がってきているのでは、この人数じゃ対処のしようがないのは分かってくれるだろう。


「何とかできるのね?」

「今やってます」


 念を押すようにサマンサギルド長が叫ぶけど、出来るも何もやるしかない。この人達は()()()()()敵じゃないからね。死なせる理由がないからね。


「ノワール、アーテル、出来るか!?」

「もちろんです!」

「問題ない」


 完全なる暗闇で空間を覆う魔法。だけどそれで僕達の視界まで奪われたのでは本末転倒だ。僕は暗闇を足下から徐々に明るくしていく。これで魔物の下半身はしっかり見えるし、種類も判別可能だね。だけど奴らの視界はまだ暗闇のまま。

 ここからは一方的に屠るだけ。そして僕が眷属たちに命じたのは『コカトリスだけを狙え』だ。

 僕が走る。ノワールも走る。アーテルも走る。それぞれが一番近いコカトリスの元へと。今は他の人の目がないから遠慮の必要がない。

 アーテルが胴体に風穴を開けて行く。移動のついでにオーガを倒していくのも忘れない。

 ノワールが一蹴りでコカトリスを爆散させる。次のターゲットまで影に潜って瞬間移動。こちらは時間当たりの効率重視だ。

 僕は闇属性魔法を使う。魔物が立つ地面の影が、質量を持って槍のように突き刺していく。広範囲魔法にして敵だけを襲う反則的な魔法だ。

 影を支配をするのは闇。そして僕は闇を司るウィザード。闇には形がない。だからどんな形状にもできる。

 こんなもの、普通に見せたら僕はどう思われるだろう?

死神かな?

 悪魔かな?

 

「ご主人様、コカトリスは殲滅しました」

「よし、魔法を解くよ」


ノワールの報告を聞いて、闇の魔法を解除する。あたりの視界が回復すると同時に、三人を覆っていた土魔法のドームも解除した。


「……なんだこりゃ」


 開口一番、唖然としたイヴァン副ギルド長が呟いた。他の二人は声も出ないようだね。

 それもそうか。視界に広がるのはコカトリスだけじゃなくて、オーガやオーガが率いていたゴブリンの軍勢の死骸の山だったから。

 闇魔法を全開で使うのが楽しくなっちゃって、やりすぎちゃったな……


「さすがですご主人様!」

「見事だな! 我の主人なのだからそうでなくては!」


 ノワールはタレ耳をパタパタさせながらニッコニコだし、アーテルは尻尾がひょっこり顔を出してブンブンってなってるし。

 こらこら君達、人間じゃ無理な事をやるのはやめなさい。


「あ、あなた達は一体……」


 それに答える訳にはいかないんだよね。


「さあ、先を急ぎましょう。時間を掛けるとまた魔物が増えちゃいますよ」


 僕はそう告げると、ノワールとアーテルの頭を軽くモフり、下層へと歩を進めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 三人ともストレスがたまっていたようで、オーバーキルぎみになってますね 眷族ちゃん達スッキリしたようで良かったです 次回も楽しみにしております
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