孤独な転生~天才ガンマンは銃を持たない~
孤独のグルメ風に読んでくれると嬉しいです!
ワシ、ファンタジーな世界へ転生。
ここはどこなのだろう、陽が届かないほどの深い森、チェンソーをもった人間が出て来そうだ、早く抜け出したい。
そういや転生した死因は……
「キャァァァァア!」
突風のように木々を揺らす悲鳴、きっと美少女に違いない、これぞ異世界転生、では勇者出陣といきすか。
悲鳴をあげるお姫様は意外と近くにいた。
「あの!そこの綺麗なお方助けてください」
綺麗?そうか、美少女になってたのか……結婚と子作りができないことに少し残念。
しかしこの女性も酷い顔、顔のパーツが喧嘩してるのか配置がバラバラだ、こらなら福笑いの方がまだ可愛い。
「ひぃ!来た!」
「え?」
ワシらを囲む人はざっと100人以上はいるだろうか、これがライブだったらさながら大スター、しかし今居るのはペンライトを持ったファンではなく、剣をもったファイント(ドイツ語で敵という意味である)
こういう大ピンチの時に、チート系勇者ならすぐにやっつけられるのだが、転生をさせた女神が適当すぎるせいか説明がなかった上、武器がもらえなかった。
拳を構えてみるが力がみなぎる感じも……しない、本当に大ピンチだ。
「へ、ヘックチ!」
花粉か、構えた拳に鼻くそがついてしまった。
手の甲についた鼻くそを無意識に弾く、鼻くそは弾丸のごとく真っ直ぐ飛びじりじりと近づく絵に描いたような兵士に当たって倒れる。
夕日のガンマンになった気分、しかし完全に戦闘が始まってしまった。
脳内でなり始めるうる覚えのRPGの戦闘BGM、武器が鼻くそだけだとわかったら、今はそれにすがるしかない。
銃に弾を装填するように、人差し指を鼻の穴に突っ込み指先にでかい鼻くそをつける。
美少女のやることではないが、これも生き残るため、ガンマンはプライドも羞恥心を持ったら終わりなのだ。
「死ねやクソあまー!」
「勇者さま襲いかかってきますよ!」
「フガッ!ちょっと揺らさないで」
マシンガンのごとく鼻くそを飛ばし次々と人を倒し、あっという間に半分に、ワシの鼻の中にはどんだけ溜まっていたのだろうか……異世界ランボーの誕生である。
しかしさすがに左穴の弾薬庫もつきてしまったのか鼻くそがなくなってしまった、ほじってもほじ……あれ?
指先に伝わる嫌な感覚、動かなくなるワシを見て「どうしたんですか?」と福笑い娘が不安そうにこちらを見る。
「指が……抜けなくなった」
こちらの状況はお構いなしに剣を構えて襲いかかってくる兵士達、今は戦うことに専念しろということか……
もう片方の弾薬庫に指を突っ込み飛ばす、もしもこれが女神のくれたチート技だとしたらちーとも嬉しくないものだ……チートだけに。
だがものの数分で兵士達を倒しやっと森には優しい風がふく、戦闘にはかったが失うものが大きい。
鼻からもう右の弾薬庫から指を抜こうとしようとした、が、おかしい……こっちも抜けない、両人差し指が鼻の両穴に突っ込んでる姿は、小学校でも見ることはできないだろう。
「あのぉ……」
そんな顔をするんじゃない
「ップ……大丈夫ですか……プププ」
穴があったら今度は全身入れたい気分だ、死ぬほど恥ずかしい。
「大丈夫……ぶ!」
痛みが一瞬はしるが抜けた両指を見て思わず笑みがこぼれた、が福笑い娘は腹を抱えて大笑いする。
ポタッ、ポタッ
聞き覚えのある音と嗅いだことのある鉄臭いにおいに、思わず背筋を凍らせた。
「鼻血が出てますよ」
彼女がワシの鼻にハンカチを当てようと近づけると、噴水のように鼻血が吹き出す。
遠退いてく気力、視界が白くボヤけているせいか福笑い娘が凄く可愛く見えた、加工されまくった画像を見ているようだ……
言い忘れたが、転生前の死因は、鼻に指揮棒が深く刺さった事による大量出血だ。
「鼻死ってか?」
わしベートーベン、異世界に来て15分で2回目の死
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
今回の作品は、とあるフォロワーさんとの会話から酔った勢いで書き上げました。
今連載中の
ジャンル・ダークファンタジー
『新訳・少女と少女は鏡面世界をさまよう』
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