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ビッグバンにござるっ!

数日後、

ゲームは物語の終盤へと差し迫っていた。

誰もがハンカチを片手にその画面を眺めている。つまり、ゲームの世界にオタクも、異世界人も関係なかったとのことなのでござるなっ!


 そして今、主人公の命と引きかえに、ラスボス魔王を討ち果たす究極魔法”ギガンテ”を主人公が放つその場面でござった。

 主人公が強い信念のもと、仲間が引き留めるのにも足を止めずその命を差し出す。


「いつ見ても感動じゃのぉ(涙)」


「ええ、涙なしには語れませんよね(涙)」


「・・・・(食い入るように画面を見ている)」


二人と一匹は感涙にむせびながら画面を凝視していた。


そして・・・今、究極魔法が・・・放たれた・・・。


「バサラーー(主人公の名前)」


「バサラーー(主人公の名前)」


「・・・・?」


画面いっぱいに魔王を倒す魔法のエフェクトがかかり、画面が白くフェードアウトする。


いつ見ても、この演出は・・・神だよなぁと思ってしまうでござる。

せんぱいも同意のようで、涙ながらにその画面を見ている。満場一致、そう満場一致でこの場面を素晴らしい演出だと認めていた・・・・人間派という条件付きではあるが・・・・

よくよく周りを見ると、どうやら一匹釈然としない表情を浮かべているものがいるようでござった。


「・・・ご主人様・・・」

見てすぐにわかる、不満たらたらの顔

「・・・なんでしょう?」

「これが・・・究極魔法・・・?」

「・・・そうですが・・・。」

「・・・・・・。」


「・・・・・・。」


「・・・・・・。」


「ご不満が・・・ございますでしょうか?」

「・・・ふむ。」


そのものは、すっと立ち上がった。


「お二人ともついてきていただけますか?」

俺とせんぱいは、顔を見合わせた。





 屋上に出てきた俺たちは、ヲルビダさんを見る。

「ヲルビダよ・・・どうしたのだ・・・?」

ヲルビダさん、グラウンドの喧騒を背景にこちらにくるりと振り返ると、口を開く。

つられてグラウンドを見ると、運動部の人たちが各々部活にいそしんでいた。

拙者は、ヲルビダさんに視界をもどす。やはりいつものごとく、無表情ではあるのだが・・・

「いえ、面白いゲームをさせていただいたお礼に、私も、何かお礼をしようかと思いまして・・・」

その瞳、鈍く光ってござった。


「「?」」


そして、その悪魔目をつむって、何かを唱えだす。


「abei da lie mieli soijhi koiooiekjosi・・・」


静かにその声は屋上に響いた。


ヲルビダさんの足元に、妖しく光る幾重もの幾何学模様の魔法陣が展開された。


両手を前へと突き出す。


と、膨大な量の魔力(?)の渦がヲルビダさんの周りに集まりだした。


ヲルビダさんの体が薄い紫色のオーラに包まれて、


幾重ものスパークが体を包む。


ものすごーーーく・・・・嫌な予感がした。


「せんぱい・・・なんか・・・まずくないですか・・・?」


「奇遇じゃな・・・私も・・・そう思っておった・・・」


2人目を合わせるのでござるが、その間にも詠唱が終わりを迎える。


その悪魔、妖しく目を光らせながら・・・


「魔法とは・・・」


叫ぶ


「こういうものを言うのです!」




瞬間




――ドゴォォォン!!!!――




まるで核爆弾をぶっ放したかのような咆哮をまき散らしながら、特大の火の玉が頭上の天空めがけてぶっ放された。


火の玉は天空を切り裂き・・・


雲を超えて


盛大に爆発した・・・


雲を吹き飛ばし、一瞬世界が暗黒に染まる。


世界が余波である爆風で吹き荒れ、耳をつんざく轟音が、世界を覆っている。


月が若干かけて見えるのは、気のせいなのだろうか・・・?


ふぅーとすっきりしたという顔で悪魔は一つ頷いて見せるのだけど・・・


案の定、俺とせんぱいは、飛び出しためん球を引っ込めるので、精一杯だ。


「「・・・・!」」


え・・・これって・・・まずくない・・・


「あ・・・一応、この現象の目撃者はすべて魔法で、記憶を消去しますので・・・ご安心を・・・」


次の日、その日の球がニュースになることはなかった(月の形も戻っていたでござる)。


――続く――

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