3 上司に頼まれました。
「…ア…アリ…アリア…聞いてますか、天使!」
はっとして意識が浮上するとともに、手から本がこぼれ落ちた。
「…!?はぅい聖様!」
噛んで間抜けな返事が言葉として出てくる。
「相変わらず、夢中になると周りが見えなくなるのですね。まったく、あなたはもう天使ではなく今、入っている女の子であるアリア・イザベラとなったのです。今後、アリアと言われたら返事するようになさい。」
…なんだか分からないが、怒られてしまった。
が、わかったことがある。やはりこの女の子の名はアリア・イザベラのようだ。
「申し訳ありません。」
(ってそうではない。私は聖様にお聞きしたいことがあったのだった…)
はっと思い出し、聖様の目をじっと見るように身を乗り出す。
「…聖様、なぜ私はこの女の子になっているのでしょうか?それに天使ではなくアリアになれって?どういうことですか?」
アリアにぐいぐい近づかれたせいで、聖様は仰け反り、これ以上近づかれまいと聖様は手でガードし、焦ったように述べた。
「落ち着きなさいアリア。とりあえず、その件についてと彼女の魂について君に説明しに来たんだ」
納得して天使は聖様から離れる。
(確か説明って何でしたっけ……?あっ思い出しました)
「あぁ、なぜ人間で未だいるのがおかしいのかですね」
そう呟くとなぜか少し顔をしかめる聖様。
「アリアもう少しオブラートに包めないか、直球すぎる」
(なぜそんなこと言われなければならないのか疑問だ。)
「私はただ事実を述べただけです」
そう言うと、なぜか、聖様はその場で膝を抱えてうずくまり、
「はぁあ。確かに事実。そうだね…」と涙目でため息をついている。
(こうなった聖様はめんどくさい……仕方ない)
「聖様…先ほどは言いすぎたようですね。すみません。立って続きをお話ししてくださいませんか?」
聖様は、埋めていた顔を上げ、
「そこまで言うなら仕方ないな……」と勢いよく立ち上がる。
「さて本題に入ろう。まず、未だ人間でいたのが不思議だと言ったのかという件だね。
天使と人間は魂が少し異なった構造をしているのは(アリア)は知っているね」
聖様に指をさされたので、手を上げて答える。
「はい。聖様から頂いた人間解説本に書かれておりました。確か、人間は神に似せて、一から作られている状態、天使は神の一部から創られた分身であっていますでしょうか。」
聞いて、力強くうなづく聖様。どうやらあっていたようだ。
「そう、それでいうと既に天使には人格が形作られ悪にも立ち向かえるが、人間はまっさらな状態のため経験を積んだりきちんと人格が定められてない状況で悪に染まると悪の存在…つまり、人ではない状態になってしまうんだ。今回のアリアはそれをもとにするとまだ形が作られていない幼い魂の状態だった。その状態で黒い魂の状態になっていたんだ。わかるかな」
「はい。つまり、元アリアの魂は人間でない悪のぞんざいになっていてもおかしくはなかったとそういうことですね。聖様」
「そう。そういうことだよ」よくできたと、頭を撫でてくる聖様。
「では、気になることが一つ。なぜ、元アリアの魂をそのままに直してやれなかったんですか。私がアリアに入らなくても良かったのではないでしょうか。」
撫でるのをやめ、聖様は少し寂しそうな表情でいった。
「そうはできなかったんだよ。原因|が全くわからなかったからね」
(原因不明?……今までならすぐにわかったはずなのになぜ?)
「原因がわからない?どういうことなのでしょうか?」
「黒く染まった魂を直すのは実はすぐできるんだ。だが、それを黒くならずに保つためには原因を探り環境を整えなければならない。まぁ、汚い川を綺麗にして住めるようにし、絶滅危惧種を守るみたいな感んじだよ」
「絶滅危惧種とは私にはわかりません。ですが、一度悪に染まったものを直し、戻しても悪に染める環境のままだとまた悪に染まってしまうということなのはわかりました。」
「…あぁ絶滅危惧種はわからなかったか。でも、理解してくれたようでよかったよ。それで君がなぜアリアに入っているのかということと関わってくる」
真剣な目でじっと聖様は私と目を合わせた。それに私も負けじと見つめ返す
「それはどんな要件でしょうか」
…ふっと聖様は笑う。
「そう、原因を探って欲しいんだ。」
「原因ですか、それは構わないのですが…。助けてほしいと言っていたことはどうするんですか?」
「女の子…元アリアが言っていた知恵を求めた者を助けてほしいと言っていた件か。…それなら断言できる
あれは原因とおそらく関係している事柄だ。」
「原因と関係しているですか…。なぜそうと断言できるのでしょうか。」
「天…うぅん、アリア…君も見ただろ、助けてほしいと彼女が口に出した瞬間、瘴気が増したのを…それを女の子が黒く魂が染まったのと関係しないわけないだろう」
咳払いし、そう言った聖様をじっと見て本当にそうなのか、何か違っところはないかじっと見るが特に変なところはない。
「聖様がそうおっしゃるなら信じます。」そう、信じるしかないのだ。
「…そう、信じるものは救われるだよ。アリア」
キリッとした顔で言ってくる。聖様。
確か、その言葉は聖なる言葉が書かれた書物に書かれていた。神様の教え…だったはず。
「聖様、神様の言葉を都合よく利用しないでください。」
注意する私なのだった。
→次回、上司は何をやっていたのか?がわかるかも…。
※聖様視点に入ります。