2 天使人間になる
今回は短めです。
目を覚ますと同時に訪れる違和感。
体が重く感じる。頭を動かすたびに揺れる黒い髪にあぁそうか、
人間という肉体を持ったからだなということを理解する。
さっきまで見ていた黒髪と揺れる黒髪が一致して私は女の子になっていると理解した。
(んっ?…ちょっと待て?冷静に理解したはいい…だが…)
「…女の子になった?どういうことでしょうか?」
女の子になったきっかけになったと考えられるのは、さっき聖様が女の子の魂に手を触れ、
私に触れて天使の力を使っていたことだ。
てっきり、私が女の子の魂を持って行きやすくするために私に触れていたのだと思っていたのだが…
(聖様はなぜ?私にこんなことをしたのでしょう?)
女の子から出ようと思い唄を歌うが、全く魂に鎖がつくように体に繋がれていて抜け出せない。
聖様に聞こうにも、いない。多分女の子を天界へ届けているのだろう。
こうなったら、少しでも理由を探りたい。それに手始めにこの女の子が言っていたことも気になる。
そう思った私は日記というものを探し出すことにした。
なぜ日記を探そうと思ったのか、それは人間は記録を書くことが好きなのだと、聖様から聞いたからだ。個人差はあるらしいが、とある人はことあるごとに記録を書きのちにそれが伝記となったといったこともあると聞く。
つまり、記録を書いている書物、日記というのはその人を知るのに有力な書物だと私は思っている。
早速探すため、ゆっくりとベットから足を出し、床に足を出した。思った以上に床はカーペットがふかふかで天界と同じように素足で移動しても問題はなさそうだ。床に足を着くと思った以上に自分が小さかったことに気づいた。
ベットの横にいるとベットが自分の腰あたりにある。
「なるほど…思った以上に背が低いな」
見た目以上にこの少女は幼かったようだ。
さて、周りを渡すと本棚はあっさりと見つかった。
そこに茶色い少しインクで汚れているような皮の表紙の本があった。手に取ってみると少し崩れた文字でアリア ・イザベラと書かれていた。
(アリア・イザベラ……この女の子の名前なのかな。)
焦る気持ちを抑え開いてみる。
開くと、しばらくのページは絵と少しの字が書かれていた、時代的には3歳くらいだろうか。少しずつ、ページをめくっていくと絵の割合が減り文字が多くなってきた。何気なく眺めていたのだがそこに思わず惹かれる言葉が出てきた。それは、迷宮のラビレンスという言葉だ。
どうやらそこに出てきている人物に憧れ、なりたいと憧れていたらしい。ときどき、頭が良くてカッコいいなんてとっても素敵王子様だわとか、私もあのヒロインみたいにそんな方と仲良くなりたい、そういったことも書かれていた。
私には正直なぜそう思うのかよくわからなかった。
とりあえずその本を読めばなぜそう思ったのかわかるのだろうと本棚を探すとあっさりと見つかった。
というか、ほとんどその本で本棚は埋まっていたと言って間違いない。
そして、私はイザベラが読んでいた本へと手を伸ばした・・・。