6.過去話 始まり
今回は少し短めです。
気が付くと、そこは薄暗い部屋だった。
部屋の中には、体の一部が変質している子供が10人くらいいて、その全員が虚ろな目をしている。
腕が鱗で覆われている子供や、足が肥大化している子供、顔の半分近くが焼け爛れたようになっている子供もいた。
「……………何……これ……。」
これが私の最初の記憶。
あそこでの生活は、それはもう酷かった。
朝起きると、部屋の隅に朝食のようなものが置かれていて、それを食べる。
その後は、やってきた大人に一人一人別の部屋に連れられて、何やらよく分からない液体を投与される。
台の上に寝かされ、大人達が私の体を調べていく。
検査が終わると、今度はとても広い部屋に行き、そこにいる魔物と戦わされる。
一番最初にこの広い部屋に連れていかれたときは、訳が分からなかった。
なぜ、部屋の中に魔物がいるのか。
なぜ、私をここに連れてきたのか。
その答えは私の隣にいた大人の言葉によって知らされた。
「戦え。」
そう言うと、その大人は魔物の動きを封じていた魔法を解除し、私を置いて部屋から出て行った。
私は戦った。
訳が分からないまま、戦った。
普通なら、魔物に殺されるに決まってる。
でも、どうやら私は普通ではなかったらしい。
私は殺されることなく、魔物を倒した。
魔物と戦った後は、また先程の部屋に連れられ、検査する。
検査が終わると、最初にいた部屋に戻され、朝置かれていたような食べ物なのかも分からないものを食べる。
そして、固い床の上で寝る。
この生活が毎日続いた。
最初は、記憶がない上にこんな毎日で混乱し、何も考えられなかった。
でも、次第にこの生活にも慣れ、考える余裕が出てきた。
まず、自分の姿をみる。
歳は12歳くらい。
白い髪。
胸に埋まっている赤い宝石のような何か。
明らかに普通じゃない。
それに、こんな生活をしているのに、辛い、苦しい、といった感情が湧いてこない。
感情も欠落しているようだった。
時折、私には声が聞こえる。
聞こえるといっても、頭に直接声が響くといった感じだ。
『カエセ』
この声が何なのかは分からない。
分からないけど、私にとって良くないことだということは分かる。
私はいつの間にか、記憶が無いばかりではなく、狂っているようだった。
そのことに今まで気が付かないくらい
壊れていた。
やっと更新できました……。
今回は、第5話でほんの少し触れた少女の過去の話です!
過去話は次回に続きます!