1.追われる身
初投稿ですー
◎森の中
「はぁ…はぁ…。」
もう、どれほど歩いただろうか。
ここが何処なのかも分からない。
何処に向かっているのかさえ、分からなかった。
それでも、歩き続ける。
「逃げなくては」それだけが、私の頭の中を占めていた。
歩く。
歩く。
歩く。
鬱蒼とした森の中を。
休憩すらせずに。
だって、立ち止まってしまったら、私を殺すために、あの黒い服を全身に纏った人達が襲ってきそうな気がしたから。
森の中には魔物がいる。
先程、魔物に襲われて死んだのであろう冒険者を見つけて、全身を隠せる程のフード付きのマントと、護身用として剣をその冒険者の亡骸から外し、使わせてもらっている。
私も魔物くらいなら簡単に倒せるが、未だ、人を殺したことはない。
そのはずだ。
あの黒い服の人達は、人を殺し続けてきたのだろう。
それが、仕事なのだろう。
彼らが私に切りかかってきたときの、感情の見えない目でそれは分かった。
いくら私が戦えるといっても、人数が多い上に、殺しに特化した彼らを撃退できるだけの力は私には無い。
気配を消されでもしたら、気が付けない。
逃げるしかなかった。
周囲を警戒しながら進んでいたその時、
グラァアア…! グオォウ…!
遠くから魔物の声が聞こえた。
どうやら、戦闘中のようだ。
人の叫び声が聞こえる。
そんな危険な場所に行くのは間違っていると分かっていたが、何故か、私は引き寄せられるようにその場所へ向かった。
呼ばれてる気がした。
誰に?
分からない。
それでも、行かなきゃダメだと思った。
「今…行くから…。」
読んでくれてありがとうございます!
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