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1962年初夏・新婚旅行(5/5)

 2日目は神戸電鉄と神戸市電で国鉄神戸駅経由で三ノ宮へ戻って布引の滝とか普通の観光をして回った。


「学生時代、こういうところは来た事なかったなあ」


三ノ宮の北の山の中にある有名な滝を眺めながら千裕さんはそんな事を言った。


「地元ってそんなもんじゃないですか。うちだって灰ケ峰の展望台なんてあの時は何年かぶりだったし」


まさかあそこであんな言葉を耳にするとは思わなかったし。


「そんなものか」

「そんなものです」


そういって二人で笑った。


 この日は夕方狐泉閣に戻ってまた二人で温泉を堪能。

翌朝、荷物を抱えて神戸電鉄と神戸市電を乗り継いで国鉄神戸駅へ出て京都へ向かった。

あと2泊は千裕さんの希望で京都観光に充てた。


 そして金曜日朝、京都駅8時発の特急かもめで広島へ帰った。

行きの「へいわ」と同じ形式の特急気動車だけどなんと12輌編成で食堂車が2輌もある。

私達が乗った一等車の隣の食堂車で新婚旅行最後のランチを食べた。

広島までそんなに時間もない。

彼にお礼のつもりで旅行の感想を言った。


「楽しかった。そして新しい日常よ、こんにちわ」


コーヒーカップを傾けながら千裕さんが言った。


「チセさんの日常、大きく変わってしまって悪いと思ってる。戦争が終わって人も社会も色々と変わったと思ったけど、存外変わっとらん」


うちは首を横に振った。


「別に千裕さんのせいじゃない」

「でもわしとの結婚で変わった」


この点だけは千裕さんの方がうちよりよほど不満だった。


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