表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/31

1962年初夏(3/3)

 山の上の集会所までやってきたうちの学生時代の友人達は思った以上の反応をした。


「ちーちゃん、結婚するとは思ってなかった」

「チセが結婚するならきっと同い年ぐらいだろうって思ってたけど10って。うちでも5つしか離れてないのに」


 結婚に驚いているのはうちも同じなんだけど、年上をうらやましがる子がいるとか思ってもみなかったわ。


 横手さんはうちの顔を見て開口一番、


「チセ先輩、独身の男の同級生は呼んでないんですかあ」


と言ってきた。本気でこの子、ボーイフレンドを探しているらしい。

千裕さんのお友達は皆さん結婚してるし。期待に添えなくてごめん。


 千裕さんの学校時代の友人の方々は皆さん大喜びしていた。


「やっと不良債権が片付いた」

「最後の独身主義者が降伏した。これで俺らの戦後は終わった。もう終わらないと思ってたぞ」

「あいつはしっかりし過ぎてるんだよ。家事とか料理とか昔から平気だし」


そんな事を言われまくっていた。

挨拶して回っていると広島市内で自動車運転教習の学校の経営をしている人を紹介された。


「中学校の時の同級生で松代といいます。うちは女性向けの教習も力入れているのでチセさんが取る気になったら是非」


彼は苦笑して説明してくれた。


「わしの行っていた中学校は地元の酒造家が作った学校でね。いいところのお坊ちゃまが多いんだが、彼は広島にいられなくなって親父さんに無理矢理入れられたんだよ」

「……広島にいられなくなった?」


それは穏やかじゃない。


「こら、千裕。適当な説明するんじゃない。少なくとも悪さしたとか人妻に恋していられなくなったとかそんな理由じゃないぞ」

「仲が良いんですねえ」

「何、腐れ縁じゃ」


そんな事を二人で行って大笑いしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ