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1960年秋(4/4)

 この後、うちも古城さんの事を二人きりの時は千裕さんと呼ぶようになったんだけど、そのきっかけは市役所の運動大会やった。

うちは千裕さんの事をかっこいいと思っている。

思っているんじゃけど運動音痴な人じゃった。


 市役所では秋の日曜日に運動大会があって千裕さんは会計課チームの中でリレー選手になっていた。

運動大会の前の週の夜、二人で喫茶店に行った時に

「うちは市民課チームなんかどうでもいいから千裕さん応援する」

と言ったんだけど千裕さんはものすごく憂鬱そう。


「調子悪いんですか?」


彼は首を横に振って言った。


「まあ、当日分かると思うんだが、わしは運動音痴でなあ。本当にあり得ないぐらい苦手なんだ。チセさんだけは何があっても笑わないで欲しいな」


うちはあえて真顔を作って言った。


「約束はしかねます」

「そんな、チセさん」


オロオロする千裕さん。ちょっとかわいいかも。


「面白いと思った事を笑っちゃうのは自然です。でも、それで千裕さんを軽蔑したりはしませんよ。むしろ親しみを覚えるかも。そういう親しみを込めた微笑みはするかも」


 当日どうだったかというと千裕さんは結構悲惨だった。

バトンは受け取り損ねるし、走り出したら足が絡んでこけちゃったし。やっぱり笑ってしまった。

でもそんな千裕さんだからいいんだわ。


そう思った時、何か頭を過ぎって、あれじゃない?って思ったけど、思い出すに到らず忘れてしまった。


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