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7Days  作者: 八王女
8/23

2日目 act.4

【今日は マジで言いすぎた。

KIYOSHIと付き合ってることに 腹立ってしまって…

許して 絵美様

トラ】

「KIYOSHIじゃなくて 私にやきもちかよ!!」

何の迷いもなく 虎之助からのメールを削除する。

「トラのバカ。」

15畳もあるリビングに立ち ポツリと呟く。

広すぎるKIYOSHIの部屋。

私は どこにいていいのか分らず 窓辺にべったりと背中をくっつけ立ち尽くしている。

真白なフリルいっぱいのワンピースは 黒色で統一されたKIYOSHIの部屋によく映える。

映えすぎて 浮いているように見える。

そう 浮きすぎているのだ。

突然彼氏ができ それがKIYOSHIで ベンツの車に乗ったり いかにもな高級マンションにいたりしている。

それが 一般人でましてや 恋愛経験がない処女の私には 浮きすぎるのだ。

突然魔法をかけられて 王子さまと結婚したシンデレラだって

それなりの苦労があって王子様に出会えるのに

全くの苦労しらずなわけではないけど 周りと同じ苦労をして生きてきた私が 幸せになれていいのだろうか。

ただ 誰とも付き合ったことがなくて 20歳にもなって処女で可哀想だから 幸せになれるでいいのだろうか?

いやいや それはかなりキツイですよ?20歳で彼氏なしって 相当かわいそうですよ。

えっ かわいそうなの?

だってねぇ…キスもしたことないんでしょう?それ ひくし。

えっ ひくの?

男ならねぇ…ひくでしょう?ほら 虎之助も言ってたじゃない?

抱かれるの?20歳で処女のお前が??オレだったら超めんどう。

こつんと頭を窓にぶつける。

すごく効いたわ この言葉。

つまり 虎之助は私を抱けないってことでしょう?

自分で約束作っておいて じゃぁ私が21歳になったら 処女ごめん!って言われるんでしょう。

ありえないし。

私の今までなんだったの?

虎之助が好きで 大好きだから 彼氏作らず約束守っていたのに。

瞳から涙が流れた。

私 今日泣きすぎじゃない?というか昨日から ずっと泣いていない?

彼氏出来たのに 結局 虎之助に振り回されて泣いていない?

全然幸せ実感してないんじゃない?それって どうなの?

つまりはさぁ 私は虎之助と付き合わなければ 誰と付き合っても泣くんじゃないの?

「何泣いてるの?どうしたの?」

KIYOSHIが帰ってきた。

うす明りで 窓辺に立ったまま泣く私。

「電気つければいいのに こんな暗い部屋。」

やはり まっ黒部屋には 真っ白な私は浮きすぎてるのだ。

KIYOSHIだって思ってるはず。

彼女にしたものの こいつ浮きすぎだろう?と思ってるはず。

天使が彼氏にしてくれたけど

KIYOSHIは心の底ではきっと こいつとなんで付き合っているんだろうって思ってる。

「エミちゃん泣くなよ。」

KIYOSHIは真っ黒のコートを着たまま 私に近寄り人差し指で涙を拭いてくれた。

「ごめん 仕事遅くて寂しかったんだよな。ごめんなぁ。」

的外れの謝り。KIYOSHIの瞳も濡れていて 今にも泣きそうだ。

「違うよ。」

「違うって?」

「KIYOSHIが今まで付き合った彼女の中で 私が一番浮いてるでしょう?」

「えっ?何それ?」

「私 KIYOSHIが初めての彼氏なの。つまり20歳なのに キスもしたことなくて まだ処女なの。

これってひくでしょう?なんかもう この女おかしいって感じでしょう?面倒って感じでしょう?」

「エミちゃん…」

突然の告白をしても KIYOSHIの指先は暖かく 次々流れてくる涙を拭いてくれる。

KIYOSHIと出会ってまだ2日。時間にしたら 1日も満たない。

でもわかる。この人は とても優しい人だ。虎之助よりも優しくて 私よりずっと大人だ。

だからこそ こんな女は面倒だろうし 彼女にしたことも後悔するだろう。

天使が言ったのは 好きな人と付き合わせてあげる だ。

今 私はKIYOSHIと付き合っている。だから 願いは叶った。

別れるも続けるも 私たち次第なのだ。

つまり今 KIYOSHIが別れようと言えば THE END。

「面倒って 誰かに言われたのか?」

「今日 トモダチに言われた。オレだったら超めんどうだって。」

KIYOSHIの手がぴたっと止まった。

「それ 男ともだち?」

「うん…幼稚園からの幼馴染。」

「そうか…」

頬に触れていた手が離れる。

あぁ もう終わりだ。頭にはエンドロールが流れる。

「絵美は オレよりそいつのほうが好きなの?」

絵美と呼び捨てされ ドクリと心臓が鳴った。

KIYOSHIは視線を下にして 自分の額と私の額をくっつけた。

KIYOSIHの熱が私に伝わり 体全体が火傷したように熱くなる。

心臓は ドクリドクリと鳴り続けてる。

「オレ ちょっとショックだわ。絵美がオレ以外の男と そういう話をするの。」

口が動くたびに息が 私の鼻の天辺に触れる。

今までタバコを吸っていたのだろうか。息は生暖かく煙の臭いがすごくした。

私の周りでタバコを吸う人なんていなかったから その息はKIYOSHIの特別なものとなる。

「というより オレには言わなくて そいつには話してたんだ。」

今 KIYOSHIは虎之助にやいている。

その言葉が頭には浮かぶけれど 理解できない。

だって あのKIYOSHIが だ。あの虎之助にやいてるの だ。

しかも私を相手に だ。

ウソでしょう?

額をぴったりとくっつけられて 鼻には息があてられて KIYOSHIは私にやいていて…

そんな嬉しいことがあっていいのだろうか?

「オレ 絵美のこと好きだよ。」

1度と聞くことがないと思った台詞を KIYOSHIはさらっと言い額を離す。

少しだけ瞳を赤色に染めて 私を見つめるKIYOSHI。

切れ目で怖い印象を持つ視線なのに 今はとても暖かく見える。

この瞬間を 写真に撮りたい。

私を愛しく思ってる この顔を焼き付けていたい。

虎之助に見せてやりたい。

私とKIYOSHIはこんなにも思い合ってるってことを。

「他の奴が言ってることなんて信じるなよ。」

頭に浮かんでいたエンドロールは すっぱりと消した。

そして エピローグを浮かべる。

そう これからなんだ。

これから 私とKIYOSHIの物語が始まるのだ。

「ごめん。もうKIYOAHIの言葉以外信じない。」

あまあまの台詞を言うと KIYOSHIは鼻から息を出す。

そして そのまま私を抱きしめた。

KIYOSHIの両腕に包まれた私。

もちろん 男の人に抱き締められるなんて初めての経験。

でも なぜだろう。

心臓のドクリはなく トクントクンと正常な音が鳴っている。

安心する。

私はやっと 全てをあげる人が出来たんだって安心する。

私の両手が KIYOSHIの体をつつむ。

3日前まで この両手がつつむのは虎之助だと思っていた。

もちろん KIYOSHIをつつむなんて 1ミリも想像していなかった。

でも今 私はKIYOSHIをつつんでる。

後悔なんてしない。

だって 変わらないもん。

私は ずっと自分の好きな人をつつみたいと思っていたから。

私は今 KIYOSHIを好きなんだ。

そう思ったら また 涙が流れてきた。


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