2日目 act.3
太陽がこんなに眩しく感じたのは初めてだ。
私 今無傷で生きてる。助かったんだ。
ベンチに座り ただ空を見て瞳を潤ます。
まるでリストラして第2の人生を見つけたサラリーマンみたいだ。
「イチゴオレで良かった?」
近くの購買で また買ってきたイチゴオレを 私に渡す。
やばい。
バックに太陽がいるせいか 虎之助がさらに輝いて見える。
「ありがとう。」
イチゴオレ買ってくれて。
そして 助けてくれて。
2つの意味のありがとうがあることを 虎之助は気づいただろうか。
うむ。と深くうなずくと 私の隣にどっしりと座る。
そして 自分の鼻を触る。
照れ隠しをしてるところから見ると どうやら気づいてるみたいだ。
さっそくイチゴオレを飲む。
相変わらず とても甘くて でも優しいピンク色の味。
虎之助の味だ。
「でさ 実際どうなの?」
チュルチュルと飲んでいたのが突然ズッとなった。
私は2 3回咳をする。
「どうなのって何が?」
「いや 本当にさぁ。KIYOSHIと付き合ってるのかなぁって。
正直 ウソだったらやってられないじゃん。あんな女たちに絡まれてさぁ。」
「はぁ?あんた まだ疑ってるの?」
「えっ?だって絵美にKIYOSHIだぜ。なんか豚に真珠みたいな?いや 違う。
絵美が豚って意味じゃなくて…なんていうか不釣り合い?」
「私にKIYOSHIが合わないってこと?それともKIYOSHIに私が合わないってこと?」
「ははは そんなの言わなくてもわかるだろう?」
「はぁぁぁ?」
思いっきり 眉毛をハの逆字にする。
「だって あのKIYOSHIだぜ。オレ めちゃくちゃ好きなんだぜ!それが絵美と付き合っているなんて…」
どうやら虎之助もKIYOSHIファンの1人 つまり あの女たちと変わらないのだ。
「何 それ。私みたいな一般人が付き合ってるのがおかしいの?
一般人で しかもどこにでもいそうな女と付き合ってるのがおかしいの?」
「しかも まだ処女で男に免疫がない。」
ガツンと頭にきた。
そんな単語を虎之助から聞くなんて思わなかった。
「実際さぁ お前に彼氏できたことも考えられないんだよね。お前を抱く男がいるんだぁって感じ。
オレ 絵美を女として意識したことがないから驚きなんだよね。しかも それがKIYOSHIだなんて。
KIYOSHIが絵美に魅力感じてるのかって思うし ましてやKIYOSHIが絵美抱くのかって それ考えたら笑えてきてさぁ。
ジョークじゃん そんなのありえないじゃん。」
ハハハとアメリカンジョークを話すかのように 虎之助は話す。
私はダルマ落としのようにスパン スパンと頭の一部をきれいに落とされていく。
「絵美が抱かれるって…てか 抱かれるの?20歳で処女のお前が??オレだったら 超めんどう。」
最後の1個 ダルマ落としでいうなら顔の部分が 叩かれた。
でも 顔は一番大きくて重いのだ 簡単に落とされたら困る。
そう 何も残らなくなってしまうから 落とされたら困るのだ。
スクっと立ち上がり 今度は私がイチゴオレを虎之助に投げた。
中身が半分ほど入っていたので べちょっと虎之助の服が汚れた。
ちっ ダウンジャケットか。布じゃないから拭いたらすぐに汚れが落ちてしまう。
「何するんだよ!」
「ばぁぁぁか トラの超バカ!!」
虎之助に対して怒りが沸騰すると 私は虎之助のことをトラと言う。
「私はKIYOSHIと付き合ってるの!!しかも今日なんてねぇ KIYOSHIのマンションに行くんだから!お
泊りするんだからね!だから リズリサのワンピースをこれから買って 下着も白の勝負下着買って
KIYOSHIにニャンニャンしてもらうんだから!!」
ニャンニャンって…
でも 抱かれるとか ましてやSEXやHなんて単語口に出せない。
それはそうだ。私 まだ処女ですから。恋愛レベルは中学生並なんですから。
でも ニャンニャンはオヤジレベルだろう。いや オヤジに言っても「今どき?」と言われるだろうか。
「なんだよ!自分は 相模にニャンニャンしてもらってるからって 調子こきやがって。
いいさ 私だってすぐにトラと同じ位置に立つんだからな!」
覚えてろよ!!
そう吐き捨てると 私は虎之助に背を向けた。
そして 今日着る洋服を買うために 校舎を出た。