7日目 act.2
「何か聞かない?」
大学から潔のマンションに向かう途中だった。
「いいよ。何聞くの?」
「絵美に聞いてほしい歌があるんだ。」
潔はそう言って 再生ボタンを押した。
「これ オレが作った新しい歌。」
潔の歌。
ピアノで始まった音楽は バラードで出来た歌だとすぐに分かった。
「絵美のこと考えて作ったんだよね。」
私は 潔の顔を見る。
潔は 運転しているから あたり前なんだけど ずっと前の景色を見つめていた。
でも 少しだけ頬がピンクに染まっている気がした。
私は 瞳を真丸くして潔を見る。
何か話そうと思った。
私の歌?とか いつ作ったの?とか ありがとう。とか
でも それよりも今耳に入ってくる歌を聞くのが 最優先だと思い
私も 景色を見ながら潔の歌を聞いた。
Don’t cry baby
僕が悲しくなるから
Please baby need me
僕が君を守るから
Baby, smile and smile
それだけで 幸せになれるよ
色々 あったね。
色々 あるよ。
色々 あるなら
その色々も全て抱きしめるから。
だから
Don’t cry baby
僕が悲しくなるから
Please baby need me
僕が君を守るから
Baby, smile and smile
それだけで 幸せになれるよ
詩を読むように
気持を伝えるように 歌う潔に 私は涙を流す。
「泣かないでって歌のなのに 結局泣かしているな。」
赤信号で車が止まると 潔は私の頭を撫でてくれた。
潔 ありがとう。そしてごめんね。
今日で 私と潔は終わる。
でも後悔はないよ。私 潔と付き合えてよかった。
今 この歌を聴き 確信する。
初めてを潔にあげて良かった。
信号が青色に変わる瞬間 私は呟く。
「私 潔のこと好きだよ。」
潔は 知ってるよ。と言って軽く笑った。
これが 私が言う 潔への最後の告白になった。