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7Days  作者: 八王女
18/23

7日目 act.1

そもそも あの天使には謎がいくつもある。

その1 私の名前を知っているのはなぜ?

その2 私の過去を知っているのはなぜ?

その3 私と潔を付き合わせてくれることができたのはなぜ?

「その4 私にお礼をしたがるのはなぜ…」

ハタハタオムライに乗っかっている アメリカ国旗をゆっくりと取り除く。

場所も時間も席も全て天使と会った時と同じ。

そして今 あの時と同じハタハタオムライスを食べている。

けれど天使は現れない。

最後の日だし来ると思ったのに。

アメリカ国旗をハタハタと動かす。

結局 あの1度だけ現れた天使。

もう2度と会うつもりもないのだろうか。

私 このままいろんな謎を持ったまま 明日は普通に戻るのかな?

案外 記憶も消されたりして。

まぁ消された方がありがたいかもね。

パタパタとアメリカ国旗を強く回しながら考える。

「何してるの?」

目の前に男の人が立つ。

私は 男の人があの天使かと思い 慌てて顔を上げる。

「それ 絵美が車で話してたハタハタオムライス?」

そこには黒いニット帽子を深くかぶった潔がいた。

「おいしそうだね。オレにちょうだい。」

最後の潔とのデート。

場所を潔に任せたら 私の大学となった。

10代で音楽を始めた潔にとって 大学は憧れの場所らしい。

この空に近い食堂。

そこにあのKIYOSHIがいるなんて誰も想像つかないのだろう。

しかも 格好が黒のニット帽に

慌てて買ったユニクロのグレーのトレーナーで ズボンは紺のスエットボトム。

いつも革ジャンが似合います。のKIYOSHIからは想像つかない格好をしている。

私も最初会った時は 笑ってしまった。

「安いし うまいし 食堂いいな。」

潔はパクパクとハタハタオムライスを食べ そして先ほど買いに行っていたうどんも食べる。

結構 食べるんだよね 潔。

華奢な格好してるのに 意外だ。

「絵美も食べろよ。」

スプーンにオムライスを乗せると「あ〜ん」と言いながら 私の口元にスプーンを運ぶ。

私は 何度も食べてるよ。と思いながらもオムライスを口にする。

「おいしい。」

潔が運んでくれたオムライスは いつもと味が違う。

「だろ?」

だろ?って それ私が買って来たんだけどな。

相模が来た時に見た不安げな顔といい この自己満てきな笑顔といい

潔は少し子どもっぽいところがあるかも。

こういうところ きっとTV見てたりとか音楽聞いたりしてるだけじゃ わからないんだろうな。

大学が憧れの場所で

学生になりすますために トレーナー着たり

大食いだったり 子どもぽかったり

今日だけでも こんなにも新しい発見がある潔。

新しい発見を見つけるたび 私はまた潔を好きになる。

でも 新しい発見も今日で終わり。

潔とは今日で終わりなんだ。

少し瞳が熱くなる。

けれど 今日は泣かないで別れようと決めたんだ。

私は瞳に力を入れ 涙が流れそうなのを止める。

そのため少しだけ視線が強かったのかもしれない。

自分の顔ばかりを見る私に 潔は少し笑みを作った。

「何?オレの顔おかしい?」

「いや…その…瞳もいつもと違うなぁって。」

まさか 今日の別れを惜しんでます。なんて言えない。

私は 茶色になっている潔の瞳を指摘した。

「あぁ 昨日さぁ プロモ撮影のために買ったんだよね カラコン。」

「似合ってるよ その色。」

「まじで?ありがとう。絵美もしてみたらいいじゃん カラコン。」

「えぇー無理無理。私 コンタクトでさえ 入れたことがないのに。」

「絵美なら似合うって。グリーンとかレッドとか。」

「グリーン?レッド?そんなに色にバリエーションあるの?」

「あるある。目がハートになるのとかあるんだぜ。」

「えぇ〜まじで。」

瞳は丸でしょう。ハートとかにして いったい誰に好意をふりまくのだろうか…

いやファッションなんだから 好意は関係ないだろう。

「それがあるんだよねぇ。そんな目で見られたら忘れられないだろうな。」

うん 忘れない。てか インパクト強すぎでしょう。

たかが瞳にどれほどの個性を出すのだろうか。

瞳 個性 ハート型…私はふと1つの瞳を思い出す。

「ねぇ潔 銀の縦線が入ったカラコンってある?」

この発想の原因はもちろん あの天使だ。

これで ある。 と言われたところで その先は何も浮かばないけれど

でも なぜか引っかかるのだ あの瞳。

「銀の縦線?それって どんな感じなの?見たことないんだけど?」

恐らく潔は 数字の1みたいに細い線を考えているのだろう。

「なんて言うんだろう ちょっと真ん中はぷくっとしてるんだけど…」

私は あの天使の瞳を思い出し 言葉にする。

「ぷくっと…それって キャットのこと?」

「キャット?」

「そう猫の目みたいな カラコンじゃないの?」

猫…

そうだ あの天使の目 猫の目してるんだ。

って ことは化け猫?

いやそれは違う気がする。てか 化け猫って女じゃないの?

でも なぜか猫はあってる気がした。

それはなぜ?

猫 猫 猫?

とポツリと呟き始めた私。

潔は 少しだけ瞳を細め

「何 猫猫言ってるの?そろそろ行こうか。」

ガコンと音を大きく鳴らしイスを引くと 立ち上がった。

いかん いかん。

天使の正体がわかろうがわからまいが 潔とは今日で最後なんだ。

潔のことに集中しなきゃ。

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