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7Days  作者: 八王女
17/23

6日目 act.4

虎之助と別れて 家に帰ったら 考えるのが嫌になった。

明日で7日目だというのに 明日で最後の1日になるというのに

紫音の泣き顔を浮かべたら 潔に会いたい気持ちがなくなった。

いや会いたいけど 私と潔がいる間 紫音は何考えているんだろうと思ったら つらくなった。

虎之助のことだって あの告白を「うん。」って言えば良かったかも知れない。

だって 潔と付き合えるのは明日までなんだから

明後日になれば 私には彼氏と呼べる人はいなくなるのだ。

虎之助だって相模と別れて フリーになったんだから 何の問題もなく付き合えるんだ。

でも うんと言えなかったのは やっぱり相模の泣き顔があったから。

今だって 絶対に相模は虎之助が好きだ。

好き過ぎての 虎之助の頬の痣だ。

これからも ドシドシと虎之助に対して行動するかも知れない。

そしたら 虎之助だって 相模に参って復縁するかも知れない。

なんだか 誰かと付き合うことにより 誰かが泣くと思うと 恋愛って怖いなぁ。

私 誰かの泣き顔なんて見たくないのに。

じゃぁ 誰とも付き合わず 一生1人でいる?

それ すごく寂しいじゃん。

潔と付き合って 恋人の温かみを知ってしまったんだ。

私はこの先 恋人の温かみを感じないまま生きていけるのだろうか…

できない。

じゃぁ 誰かを泣かすのか?

それも できない…色々と考えていたら いつのまにか寝てしまった。

すると 夢の中で知人に出会う。

それは潔でもなければ 虎之助でもない。相模でもないし 紫音でもない。

現れたのは高校時代の友人だ。

真白な世界に 友人はにっこりと立って 私を待っていた。

「久しぶりだね エミ。」

そういえば 友人は不倫をしてまで先生と付き合っていた。

友人のせいで たくさんの人が泣いたと思う。

まず先生の奥さんは絶対だし 先生には娘がいたからその娘も泣いた。

結婚したけど 友人や先生の両親はどうだったのだろう?

もしかしたら 両親も泣いていたかも知れない。

でも 友人は先生を選び続けた。

それはなぜ?

友人も苦しかったに違いないのに 何度も泣いていたに違いないのに

それでも 先生と付き合ったのは…

「答えは簡単よ。」

友人は ニッコリと笑顔で言う。

「私は 先生が大好きだから 先生といたかったら 他に理由なんてないわ。」

そうなの?そうかぁ そうだよね。それが妥当だよね。

「エミ 納得してないでしょう?でもさぁ 誰もがハッピーな恋愛なんてないんじゃないかなぁ。

誰かに恋したら やっぱり誰かが傷つくのは絶対じゃない?」

それ すごく分かった。

「でしょう?だからエミ あなたは誰かが傷ついても良いっていうほどの人みつけなきゃ だめじゃない?」

えっ そうなの?それって すごく我ままじゃない?

「うーん?でも恋愛ってそう言うもんじゃない?他人の利益考えたら 誰とも付き合えないよ。」

まじかい。でも確かに そうだよな。

「あと 私ずっと気になってたんだけど。」

え?何何?

「もしね 私が天使の願いで 好きな人と付き合えたら ラッキーて思うんだよね。」

自分何もしてないのにいいのかなぁって思わないの?

「思わないよ。だって 好きな人と苦労せずに付き合えるんだよ。超幸せ者じゃん。」

そうか…全く考えられなかった。

「ってことは。つまりエミは そう思えるほど好きな人いなかったんじゃないの?」

虎之助も違うってことなの?

「完全に好きじゃないってわけではないと思うけど…それに関しても私が思うことがあるんだけど。」

え?まだあるの?

「うん。私 約束のために何十年も待てないよ。行動しちゃうよ!エミは何十年も待っていたみたいだけど。」

そうかなぁ。

「そうだよ!好きな人が隣にいつもいるんだよ!もう言いたい放題じゃん。私 高校の時は先生に毎日言ってたよ。

先生にマジで怒られたけど。でも今は立場逆転ですけど。」

いいなぁ。私もそうなりたい。

「なれるなれる。」

本当?私も それくらい好きな人がいるの?

「いるいる。どこの誰かはわからないけど 絶対いるって!」

絶対なんて 言うけど…いないと思うよ。

「いやいや 絶対いるって!!だからエミ 悩まないで。結局は好きかそうじゃないかの世界なんだから。

こうなったのもエミの好きな人は 虎之助でも潔でもなかったからで済むんだから。」

そんな簡単なことでいいの?

「じゃぁ 逆に聞くけど 他に理由があるの?」

数秒の沈黙。

ない気がした。

「でしょう?確かに 絵美は潔が好きだと思うよ。でも 紫音の涙で諦めてしまう程度の好きだった。

虎之助にいたっては 好きだけど潔に比べたら潔が好きなんでしょう?だから虎之助も好きでも 好きじゃない。」

ふむふむ そうか そうなんだ。

「エミ…恋愛量減っちゃったね。」

うん そうだね。減っちゃった。でも なんだろう。ちくしょうとか 減らしたくなかったとか 後悔はない。

「へぇ 後悔してないんだ。じゃぁ エミは行動したんだね。」

行動した?私が?

「うん。自分で言ってたじゃん。行動してたら 後悔はしなかった。って。」

そうか 確かになんだかんだ言って 行動していたかも。

潔に好きでいてもらうために この関係を持続するために 行動していたかも知れない。

「でしょう?確かに人から見れば してないって言われるかもしれないけど。エミがそう思えばいいと思うよ。」

うん なんかちょっと安心したかもしれない。んで 元気出た。

「本当に?良かった。」

ありがとう 友人。

「いいえ。後1日好きなようにしなよ。」

うん そうする。

私の中にあったモヤモヤとさせて重くなっていた 灰色の煙。

それが高校時代の友人によって キレイになくなった。

これで最後の1日は 自分のやりたいようにやれる気がした。

まるで1週間以上の便秘が解消されたみたいに

すっきりと笑う私を見て 友人も口元を緩めた。

「あとね エミ。最後に1つ気になってたこと。」

えっ?まだあるの?

「うん これが1番気になってたことなんだけど…エミも薄々気づいてるんじゃない?」

ん?そんなのないけど…何?

「あの天使だけど。」

頭にポンと天使が現れる。

黒い髪に真白いワイシャツ。ヒョロヒョロとして話す関西弁の天使。

その天使が あの銀の線が入った瞳で私を見る。

「あれ 天使に見える?」

見えない。

即答で答える。

「でしょう?あれ 天使じゃないんじゃない?」

友人がそう言うと パチンと友人が消えた。

真白い空間に私だけが残される。

たぶん 私が起きなければいけない時間が近づいているのだろう。

だからこの世界もお終いなのだ。

だんだんと 意識が現実世界のほうへ行く中

私は友人が言った言葉をもう一度言う。

あれ 天使じゃないんじゃない?

じゃぁ あれ何?

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