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宝石を巡って。  作者: みなぎしかれん
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司祭の日常。

初のれんさいなので至らない点も多々あると思いますが、宜しくお願いいたします。

ここは教会。

主である大司教様を神につかえる私達司祭が支えている。

司祭達の中でも一際能力が秀でている者達の中に私、レイナ、24歳も含まれていた。

エメラルドの髪をポニーテールにし、同じくエメラルドの瞳に白い肌をもつ。

水色が好きなので、よく洋服にも採り入れている。

でも私は自分が、そんな大層な存在だとは思っていない。

勿論、仕事は、きちんとやる。

しかし、私は他の国民達と同じ人間に過ぎないのだ。

今日は休日。

私には気になる人がいる。

と言っても恋愛云々の対象者ではない。

私より歳上のいつも一人で居るミリアさん。

仕事では必要最低限のことしか私達と話したり接してこない。

食事の時でさえ一人で召し上がってるか神に祈りを捧げているかのどちらかなのだ。

私達、司祭には大きな教会の奥に一つ一つの私室が設けられている。

ほとんどの私室は大部屋だが、私やミリアさん位になると個室になる。

神につかえる者達は常に国民達に神の教えを説き、国民達が安心して日々を過ごせる様でなければならないのが私の持論だった。

常に笑顔を絶やさず、優しさを込めて。

しかし、私がミリアさんを気になりだしたのは、ある、一件が有ってからだった。

いつもの様に外で国民達に神の教えを説き終えた私に、何処かで見ていたのだろう。

ミリアさんの方から珍しく声を掛けてきた。

「レイナ。貴女は人につかえる者なの?そんなに愛想を振り撒いて」

「愛想って、そんな......!じゃあミリアさんは何で何時も国民達に対して、その、あの、えと、つ、冷たいんです、か......?」

訊きにくいことを口に出してしまい、私の声は語尾にいくにしたがって小さくなっていく。

だが、疑問に思ってたのも本当だった。

ミリアさんは何時も国民達に神の教えを説く時も無表情で、けして笑顔を見せず冷酷事務的だったからだ。

ミリアさんは即答した。

「簡単な話よ。私は神につかえる者。人につかえる者ではないわ」

無表情なまま私にそう告げるミリアさんに私は何か放っておけない感情が湧いた。

それ以来、私はミリアさんの私室に休日向かうのが日課になった。

「失礼します」

ドアをノックし、鈴を転がす様な声で私はそう言うとドアノブを捻り、そっと開けた。

いつもなら休日の昼近くの今頃、ミリアさんの私室はカーテンがしまっていて、暗がりの中で朝寝坊しているミリアさんが、今日は珍しく明るい窓辺で神に祈りを捧げていた。

私がそっと部屋に入るとミリアさんは祈るのを止めてしまった。

「ミリアさん、ひょっとして一晩中祈りを捧げていたのですか?」

「ええ。何か胸騒ぎがするわ。私の杞憂に過ぎなければ良いのだけれど」

真剣な声で言うミリアさんに私も少し前から違和感の様なものを感じていた。

私達の国は宝石の発掘国でもあり、その為、以前から何度か他国の侵攻が有った。

その度に城に所属する兵士達がその侵攻を食い止めていたが、他国の城主の首を取らない限り、いつまでもこの状況は続くであろう。

「ミリアさんはこの国の事を憂いていたんですね」

「私に出来るのは、神に祈りを捧げることだけよ。それよりレイナ。貴女はまた何しに来たの?」

グサッとくるような言い方はいつもの事だ。

私は努めて明るく言った。

「ミリアさん、今からテラスに行きません?今日は大司教様が商人から宝石を買うんですって!私、ミリアさんと見に行こうと思って!」

「商人から宝石を?大司教様のやってることは滅茶苦茶だわ。神につかえる者が私利私欲の為に......」

そこまで言ったミリアさんは何故か口をつぐんだ。

何か思うところが有ったのだろう。

ミリアさんは頷いた。

「良いわ、行っても」

「有り難う御座います!ミリアさん、行きましょ?」

私はミリアさんを急かす様にテラスへ向かった。

テラスには大司教様の他に何人かの司祭達も居た。

私達が姿を見せると司祭の何人かはミリアさんに視線が釘付けになった。

「おう、ミリア。珍しいな。お前がこの時間に起きてるなんて」

「どうせ寝たのは、おとといの夜でしょ。それより、レイナ!見て見て!さっき大司教様が商人から宝石を買ったのよ!」

司祭の一人が手招きする。

私は興味津々で大司教様の所へやって来た。

「いらっしゃい。レイナ、貴女を待ってたわ。先ずはこれを見て」

大司教様は意味深なことをいうと私に1つの大きな宝石を見せた。

「これって......!」

一目見て、その宝石が他のと違うのが解った。

丸くて透明で中が透けて見える。

普通の宝石以上に価値が高過ぎる。

そんな気がした。

そして、次の大司教様の言葉に私は更に驚かされることになる。

「レイナ。貴女にこの宝石を預かって欲しいの」

「えっ?!こんな特別な物を私なんかが預かって良いんですか?」

「貴女にだから、預けたいの。貴女はいつも国民達の事をよく考えてくれてるわよね。この宝石が鉱山から見付かったのは、昨日」

「えっ?!そんなに早く、見付かったのが売りに出されてたんですか?」

ますますこの宝石がただものではないと思った。



最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

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