約束された勝利の券をもって買い物に出よう
ゾンビの一日はラジオ体操で始まる。
「腕を前から上にあげて大きく背伸びの運動から・・・はいっ!」
健やかな朝ですね。
きらめく朝日がまぶしいです。
「いち、に、さん、し、ご、ろ」
朝日を浴びることにより人間の体内時計の時間は整えられ、脳がスムーズに活動を開始しするそうだ。
25時間周期は嘘らしいが、『ビタミン何とか』やら、『何とかホルモン』などが分泌されるよ!
みんなも朝日を拝んで元気に一日を過ごそうぜ!
あ”あ”あ”・・・太陽まぶちぃよぉ”
吾輩はゾンビである。
ゾンビとは日光に弱い生き物であるというのは吾輩の談。
紫外線はお肌を焼き、表皮の細胞を殺しつくす。
そう、紫外線はゾンビの敵・・・
というのは昔までの俺だ。
最近はストレッチやお肌ケアの甲斐もあってか、代謝も良くなり運動などもそれなりにこなせるようになってきた。
(なにせ同居人にこき使われていますのでねぇ、ええ)
去年の夏はお外に30分もいたら熱中症気味で、その割にはお肌が真っ赤に腫れ上がり
薄皮が1枚めくれるほどであった。
体のコンディションもだいぶ良くなってきているが、相変わらず寄生虫クンは俺の左目で生活を続けているらしい。
ここ最近はそうでもないが、去年は
「そのうち寄生虫に体の内部から食い尽くされて突然死してしまうんじゃなかろうか?」
という不安で夜も眠れないことがあった。
今は割と楽観的だ。
無事体の調子が戻ってきたことだし、たぶん大丈夫さ~♪
いけなかったら、そん時考えりゃええんだ~♪
体操のリズムがずれてるけど~♪
気にしちゃ生きてられねんだ~♪
以上、第二は省略ッ!!
つーわけでスタンプカードが埋まったから、今日は贅沢しようぜ?
先日から大事に大事に冷やしていたプリンちゃんを冷蔵庫から取り出して・・・
「はむ・・・はむ・・・うん、まぁまぁね(゜▽゜*)」
「ギェア‟ア‟ア‟ア‟ア‟ァァァァアァァァァア‟?!」
鶏を捕まえて1週間・・・
卵を待つこと1週間・・・
牛乳をいただく為に、わざわざ生存者のコミュニティへ
それはそれは売られる前の小鹿の如く、いきなり銃で脅されやしないかとビクビクしながら訪問し・・・
やっとのことで作りあげた努力の結晶たるプリン伯爵が、あろうことか女狐めにかすめ取られていた。
ふざけるなよ、居候風情が!
そのプリンを誰のモノか分かってて食っているのか?
いいか、食っていいのは食われる覚悟があるヤツだけだ。
俺のプリンに手を出したことを、今に後悔させてやる。
俺の頭がバイオレンスな感じで、いい感じに沸騰してきたら
こちらに気が付いたのか同居人がジトっとした目線を向けてきた。
「・・・何見てんのよ?あげないからね」
「おい貴様、それは吾輩のために作られた至高のおやつであったはずだが、
なぜ貴様が食べている。
事と次第によっては―」
「なに勘違いしてるのよ、アンタのは冷凍庫でカチコチに冷えてるんですけど?」
ふむ、よく器を見れば確かに吾輩が作りあげた宿願たるプリンではないようだな。
まったく、驚かせやがって・・・ん?
「え?ちょ、ちょっと待ってくださいよ?
今『冷凍庫』とおっしゃいましたわよね??アナタ」
「さっきからアンタの口調ちょっと気持ち悪いんだけど・・・
ちゃんと『冷凍庫』に入ってましたが?」
え?え?
まさかまさか?
まさかまさかまさか??
「あろうことか『冷凍庫』に入れるだなんてそんなひどい事」
「してませんしそんなこと知りませんが?
いい加減変な顔でにらんでくるの止めてくれませんか、気持ち悪い」
嗚呼、世の中ってなんて残酷なのだろうか?
『冷凍庫』を確認してみると、やっぱりというか案の定カチンコチンに固まったプリン大先生が・・・
あっ、いけねwww
早く冷えたらいいよねって朝チルドに入れたつもりが間違えちゃったみたい(ゝω・)
なんやかんやで歯を磨いたり、無線を傍受してみたり
ご飯の仕込みをしているうちにすっかり忘れちゃってたヨ
やっちまったZE!
はぁ、しゃあないか。
プリンアイスで食べるしか・・・レンジで溶かす・・・うん、ちょっと朝は電力量的に厳しいな。
仕方ない、少し待って考えよう。
体のコンディションも大体良くなってきたように、生活面でも大体調子を取り戻しつつある近頃。
電気は自家発電で使用可能にしたし、ポンプを動かせるようになったので水道も復旧した。
地下水を使用しているとはいえ、タンクを経由したり大型の浄水器を通したので、ほぼ上水道並みの水質が確保できるようになった。水圧の関係で家の数か所しか回せてないが。
電気が使えるようになったからミリタリーショップの防犯対策グッズを用いて家の周りに監視網を置いてみたり、警報装置を置いて見たりと、まあ理想的な要塞ができたと思う。
あと解決せにゃならん問題はずばり今後の食糧についてだが、まだ非常食系統は丸々1年分近く所有してるんだけど、いかんせん彩りがないだろう?困ったもんだ。
と、思ってましたがーしかし、
実は先日、生存者の集団がたむろしている町の複合商業施設に足を踏み入れたのだが・・・
うん、バイオハザートを逃れた生き残り集団にゾンビが突っ込むなんて・・・て本当は思ってました。
でもまあしかし、しかしだ
このまま生存者の同行も確認せずに、周りを遠ざけて生活することも危険じゃなかろうかと。
そんな不安もあったわけさ。
そんで、ものは試しとアマチュア無線機を引っ張りだして網を張ってたところ
其処は現代人、こういった情報共有に関しては過敏になっているのか、出るわ出るわ発信源の数々。
驚いたのはすでにパケット通信網が構築され、チャットで活発に意見交換が行われていた事だ。
音声でやり取りをして牛乳を融通してくれた人からソフトウェアの入ったCDを頂いたので俺もやってみる事にした。
えーと、なになに?
このソフトウェアでは複数の帯域の電波を並列して相互通信を行う事により、複数人でのチャット交流が行えます・・・?
その為にはコマンドプロンプトから無線機のドライバを開いて・・・??
マルチチャンネルでの通信用に新たに使用する周波数をせっていするひつようガ?
なんだこれ、よくわがんねwww
取り敢えずハウツーのイラストに従っとくわ。
あ、案外簡単だったわ。
30分ででけた。
アレだな、ホムペ全盛期の頃の手作り感が感じられる画面だな。
HTMLだのフラッシュだのでゴチャゴチャしていないのが逆に新鮮だな。
そもそもインターネットじゃないしな。
某掲示板の用にツリー構造でいろんなメニューが出ている。
取り敢えずこの前教えてもらったチャンネルのメニューを選択しよう。
【生活全般部屋16855】:自分の生活している地域の状況(ゾンビの目撃情報、暴徒や治安状況など)や
物物交換の情報など、生活情報の交換を行う部屋です。
☆プラチナ さんが接続しました☆
洋食 :まあうちんところはボチボチってところだ
田中んち :へ~
便利屋 :やっぱり石油がそろそろほしいか・・・
プラチナ ☆こんつぁー
洋食 :おいす~
便利屋 :ちわー
和食 :こん
田中んち :こんちゃあ^^
芸術家 :○×県のY市海沿いの製油所なんだけど、どう?
便利屋 :うちK市だからそこまでの足がありゃあなあ・・・
田中んち :足を動かすガソリンがねぇwww
プラチナ ☆K市だったらギリギリ融通できるけど?
プラチナ ☆というか何の話だこれ?
芸術家 :ほら、そろそろ燃料関係がヤバいでしょ>プラチナs
便利屋 :まじすか?!>プラチナs
芸術家 :んで、精油所の原油を精製して使えないかなって
プラチナ ☆この前ミルクいただけたのでね、お礼
プラチナ ☆使ったら最後、プラグ被りまくるがなw
便利屋 :アリガトウゴザイマースッ!!オラィ
和食 :人手足りてないのよな
プラチナ ☆というかその話、一枚かませてください>芸術家s
あ、ちなみに俺のハンドルネームは『プラチナ』だ。
我ながらすごく安直だと思う。
そして相変わらずのレスの遅さ、無線だから速度おそいのな。
便利屋 :こまけぇこたぁいいんだよ
芸術家 :え、まじで!?ええのん?>プラチナs
便利屋 :俺んとこもおかげさまで参加できそうだ
芸術家 :おー、ありがとう
芸術家 :頭数多いんであんま量に期待できないかもだが
和食 :ワシは遠くて無理とかwww悔しいのうww
田中んち :(ちゃっかり参加してて)すまんなw
芸術家 :精製でけたら、みんなで分配するで!
洋食 :エンスト地獄から解放されるはwww
便利屋 :w
スズキ :www
和食 :(´・ω・`)ショボーン
洋食 :ドンマイwww>和食s
和食 :くぅ・・・洋食と和食のどこでこんな差が
スズキ :という和食んとこどこなん?
和食 :S市在住
和食 :S市在住
スズキ :地味にt
☆和食 さんが切断されました☆
☆スズキ さんが切断されました☆
スズキ :%E5%9C%B0%E5
スズキ :%91%B3%E3%81
スズキ :%AB%E9%81%A0
スズキ :%E3%81%84%0A
便利屋 :電波悪いな・・・
田中んち :仕方ないね、UHFだし
芸術家 :帯域移るか?
便利屋 :レスポンス落ちるから嫌
便利屋 :てかプラチナs、当日携行缶で油渡してもらっていい
プラチナ ☆構わんけどいつ?雨天順延??
☆和食 さんが接続しました☆
芸術家 :%EF%BC%98%E6%9C%88%EF
芸術家 :%BC%92%E6%97%A5%E3%81
☆芸術家 さんが切断されました☆
☆便利屋 さんが切断されました☆
☆田中んち さんが切断されました☆
ページを更新できません。
芸術家 :%82%E3%81%9F%E3%82%8A
芸術家 :%E3%81%AB%E3%81%97%E3
芸術家 :%82%88%E3%81%86%E3%81
芸術家 :%8B%E3%81%A8%0A
メニュー画面に戻ります。
あ、落ちた
さてさて、どうしたものか・・・
説明書きを読むと、ホスト側の接続が確認できない場合その部屋の人たちとは通信ができないと書いてあるので、きっと電波が途切れたのだろう。
今や無線の連絡網が盛んに飛び交い、音声通信では混戦やら割り込みなどが日常茶飯事だ。
その点、データ通信でなら、例えば大事な場面で
「こんな時に言うのも何だけど私、あんたの事が―ガガガ」
「え、なんだって??」
「・・・ううん、なんでもない!」
などというラブコメ展開やら
「実は、ずっと前から君のことを「牝牛」みたいだなって思って思ってました。
僕と「ほら、しっかり揉んで出して!」ください!」
「死んでもいやぁぁああ‟!」
「ちがうッ?!今のは「家畜が」勝手に」
「あなたってそんな人だったのね・・・別れましょう」
「だから「乳」がぁぁぁーう!」
みたいな致命的な割り込みがなくて済むわけだ。
入室してからの通信のログもアプリに残るから議事録的にも使えるしな。
聞き間違え、聞き逃し、連絡ミスといったトラブルが防げるから便利だと思う。
だがしかし、かつて世界を繋いでいたワールド・ワイド・ウェブほどの広がりがある連絡網ではないので
ここいら近辺でのローカルな情報しか行きかってないことが残念だ。
とりあえず時間をおいて部屋が立て直されるのをまちますか。
さてさて~そろそろプリンは溶けたかな?っと。
ふむ、ちょっとシャリシャリしてる・・・。
話は戻るが、なぜ今更生存者のコミュニティに首を突っ込んだかと言われると
無線経由の情報によれば頻繁にゾンビの発見がされない程度には絶対数が減ってきているので
人数がいれば比較的安全に外を散策できるということと、
それに伴い、食料の確保も予想していたよりスムーズに行えているので
恐喝、略奪などの暴力行為が横行している地域は意外と少ないようだった。
一部つっぱりの利いたヤンチャな連中も所々にいるようだが、有り難いことにそういうおかしな連中は見た目だけでソレだとわかる様なので、見かけたらすぐ引き返せばよいという世話のない話。
そのせいか最近生き残り連中の間では人影を見かけたら大きな声で『挨拶』を行って、
生存者か、ゾンビか、頭のおかしな連中かを判断しているらしいと来たもんだ。
今度生存者に出会ったら大きな声で『コンチワー』と言っておこう。
流石のエリートゾンビ連中も挨拶までは覚えまい。
いやね、ほんとね。
最近の生き残りゾンビは賢過ぎて困るんだよな。
プルタブついてる缶詰なら平気で開けるからな、あいつら。
あ、あと最近見かけたゾンビで見られた修正でとってもびっくりしたこと。
あのさ、ゾンビがさ・・・
着 替 え し て た わ !
ありゃ、驚いたね。
今まで変に小汚い連中がいたら、それは高確率でゾンビだった。
その考え方を根底から覆す事態だったよ。
人間、まずは身だしなみからとは言ってみるもんだ。
この事実により、最初から近寄られもしないおかしな連中たちは、
ゾンビ達よりも身だしなみが悪く、比較的常識はずれということになる。
同じ人間としてドン引きだねッ!
あ、俺はゾンビだったか・・・
とりあえず対策として街中などで生存者を見かけたら『挨拶』をしてコミュニケーションをとることが既に一般的になってきている。
こちらから敵意がない事をアピールしつつ、コミュニケーションのとれる相手かを確認する。
返事がないと異端扱いとはね。怖いもんだよ。
行き成り挨拶されたらむしろこっちのほうが怖くないか?絡まれてるみたいでさ。
いや、この考え方が卑屈なだけか。
とりあえず生きてる人間にとって、現在の状況はそう深刻でもないようなので、長い目で見れば
感染者も消え、再び人間社会が息を吹き返すことになりそうだったので、
今のうちからコッソリ自然と溶け込んでおけば変に勘ぐられることもないんじゃなかろうか?と。
そういった次第で生存者とは付かず離れずの関係を取っておこうと思う。
おや、復旧したかな?
【生活全般部屋16855】
☆プラチナ さんが接続しました☆
☆便利屋 さんが接続しました☆
プラチナ ☆ただいま戻りやした
便利屋 :お?つながった
芸術家 :お帰りなさいませ、我が労働力達よ
スズキ :嫌な歓迎のされ方だなwww
便利屋 :お、プラチナsいるじゃん
芸術家 :まぁまぁ、みんなで力を合わせてガソリン作ろうぜ!
便利屋 :途中で落ちたからもっかい書き込んどくけど
便利屋 :8月2日にK市の牧場近くお願いします。
☆洋食 さんが接続しました☆
便利屋 :ちな雨天決行です。
洋食 :おのれ民衛の連中め、帯域占領しすぎだ!
スズキ :おかえり洋食
プラチナ ☆了解したッ(`・ω・´)キリッ
プラチナ ☆洋食食わせろください
芸術家 :10時から30分間、801MHzで告知ながして
芸術家 :るんで、トンツーだからこのアプリで解凍して
洋食 :すまんなプラチナ、この洋食は一人用なんだ
芸術家 :%E6%83%85%E5%A0%B1%E7%A2%BA
芸術家 :%E8%AA%8D%E3%81%97%E3%81%A8
芸術家 :%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AD
スズキ :現地集合、現地解散、おやつは300円までだゾ?
ã¾ã³å :èé£ã¹ãã
スズキ :おおヤベェらぐったwww
便利屋 :誰だ今の?
芸術家 :確認してくださいね>プラチナs
芸術家 :部屋が不安定なのでいったん解散で
洋食 :50人ぐらい参加するから大丈夫だろ
スズキ :おいすー
洋食 :うすたー
プラチナ ☆あんよー
便利屋 :分からなかったらうちに来てくれてもよろしくてよ?
☆スズキ さんが切断されました☆
便利屋 :んじゃおさきー
☆洋食 さんが切断されました☆
☆便利屋 さんが切断されました☆
☆プラチナ さんが切断されました☆
ページを更新できません。
メニュー画面に戻ります。