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高校の日常 淡海side
淡海side
「淡海!」
大きな声で目が覚めた。目の前には栗色のふわふわの髪に、少し吊った大きな目の男の子。
「あー、律」
あくびをかみ殺しながら伸びをした。
「なにぼさっとしてんだよ、水着買いに行くっつたろ!早くしねーと、欲しいのが無くなるんだよ!」
律が私のノートをカバンにつっこみながら言う。
「なになに?お前ら一緒に水着見に行くの?」
放課後、教室に残ってた男子たちが、にやにやしながら冷やかしてきた。
コイツらが考えてるような意味で見に行くんじゃない。いかにスピードの出る水着を見つけるか、フィット感とか、メーカーとか、そういうの重視であくまで競泳の目線でみるんだから。
「アホか、ビキニ見に行くんじゃねーんだよ。」
律がガリガリと頭を掻いて、行くぞと目線を送った。
早足で外に出る律の手には、私のカバン。リュックも持ってくれている。
『さりげに優しいんだもんなぁ。』
これ以上待たせないように、残った子たちに手を振って律を追いかけた。