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第一章0  『回想_破滅ノ記憶』




「――名前を」


 空を舞う火の粉が空気を焼き、言葉を発するためにそれを吸い込んだ少年の肺に軽い痛みが走った。


 ちょっと離れたところにある無理矢理力をかけられて変形したような形の壁には、無数の斬撃の跡のようなものがつけられている。


 かと思えばその壁を浸食するようにいびつな形の氷が亀裂を覆い、冷気を発しながら沈黙していた。


 それが今、少年の周りに広がる光景。混沌の坩堝の中に放り込まれた少年は、無感動にそれらを眺めていた。


「名前を、下さい」


 そしてもしこの光景に、それを引き起こした一人の()()に、名前をつけるのならば。


「――――破滅(Ruin)


 少年は気づけば、そう口にしていた。


「……ルイン。それがお前の、名前だ」


 静かにそう呟いた少年は、凪いだ心情のままに上方から円形に覗く空を見上げ、考える。


 日本と変わるところのほとんどないこの青空を、最後にみたのはいつだったろうと。


 こんなこの世の地獄のような()()()に来て初めて、こんな最悪もいいところな状況で、こんな晴れ渡った空をみることになるなんて。


 どんな皮肉だ、と少年は嘲う。


 日本にいた頃の光景なんて、今でも目をつむれば思い出せるのに。


 それはもう遠い昔のことになって、セピア色の思い出になったような錯覚すら覚えてしまう。


 でも、もしかしたらそれも当然のことなのかもしれなかった。


 その光景は、この()()()に来るつい一週間ほど前までは当たり前みたいに見れていたそれは。


 今はもう、叶うことがないのだから。

 新春あけましておめでとうございます。


 長編成り上がりファンタジー(予定)ですが、エタることなく完結まで突っ走っていく所存です。

 どうぞよろしくお願いします!

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