半分かき氷
昼間。じりじりと太陽が照りつける中、麦わら帽子をかぶった愛海は、丘の上にある公園を訪れていた。
入口あたりにある噴水広場を訪れれば服を脱いだ子供たちが水にぬれて遊んでいた。
「涼しそうね……少しうらやましいな」
口には出してみるが、実際やる気にはならない。
まず、愛海は高校生だ。それが服を脱いで噴水広場ではしゃいでいれば変人どころか変質者確定だ。学校とかで白いワンピースに麦わら帽子、茶色のサンダルを履いた若い女性がどうのこうのっていう不審者情報が発信されるだろう。
軽くため息をついてから後ろを振り向けば移動式の店舗が目に入った。
その車には“氷”と書かれた旗が掲げられていて、メニューを見るまでもなくかき氷を売っていることがうかがえる。横に置いてあるのぼりに目を移せば“牧場アイス”と書かれていた。
カバンに手を突っ込んで財布を取り出して残高を確認する。125円だ。
続いて車の方へ歩いていきメニューボードを確認した。
各種かき氷 350円
牧場アイス 200円
各種アイス 150円
半分かき氷 100円
半分かき氷というのは、要するに量が半分ということなのだろう。
とにかく、自分の所持金で購入できてよかったと喜ぶべきなのだろう。一番下の表示がなかったら気持ち的に死んでいたかもしれない。
「すいません。半分かき氷ひとつ」
「はいよ。半分かき氷ね。味は?」
店主とみられるおじさんはイチゴやらブルーハワイと書かれているボードを指差した。
イチゴにブルーハワイ、みかん、メロン、みぞれ……プラス50円でミルクもかけてくれるらしい。
「えっと、メロンで」
「はいよ。メロンね」
白と青のストライプで中央に赤い文字で“氷”と書かれ、横にスプーンを持ったペンギンのキャラクターが描かれているカップの中に削られた氷が小さな雪山を作る。
その上に緑色のシロップがかかり、先がストローになっているまっすぐなストローがさされる。
「はい。100円ね」
「はーい!」
財布から全財産に近い金額を出し始める50円玉、10円玉が4枚そして、5円玉を二枚出す。
「はい。100円ちょうどね」
「はーい!」
100円と引き換えに量の少ないかき氷を受け取る。
「いただきまーす」
さっそくかき氷を口に含めばひんやりとしていて、とても気持ちがいい。
だからと言って、一気に口に含めば頭痛がするのだろうから、それは控えておく。
「それにしても半分で100円ってずいぶん安いのね」
「まぁな。子供向けに用意してるやつだからな!」
後ろから店主の豪快な笑い声が聞こえてくる。
子供向けと聞けば、このデザインと値段は納得できる気がする。
「子供向けとはねー味は変わらないからいいけど」
「あぁ! 今度は普通のやつを買ってくれよ!」
その直後、別のお客さんが来て店主は、そちらの対応を始める。
少しの涼を楽しんだ愛海は、荷物を抱えなおして丘の方へ向けて歩き出した。




