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空を見上げて  作者: 白波
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雨の日には1

 雨だ。まるで空が泣いているように大雨が降っている。

 お気に入りの真っ黒な傘を持ち、真っ黒なレインコートを身に着けた雨霧麗子は、公園を訪れていた。


 普段であれば、この公園のどこかにとある少女の影を見るはずなのだが、その少女は呼び出しという形で学校へ行っているはずなので今はいない。


 水たまりでは、長靴をはいた二人の子供がバチャバチャと水しぶきを上げながら遊んでいた。

 一人は、戦隊物のヒーローのTシャツに短パンの男の子でもう一人は、丸っこくてかわいいキャラクターのTシャツとピンク色のキャロットスカートをはいていた。


「あーあーれんのせいでぬれちゃったじゃん!」


 スカートを濡らした女の子がれんと名前らしい男の子に詰め寄る。男の子の方はというと「あーごめんごめん」と気のない謝罪を返していた。


「これお気に入りだったのにー」

「そうだったのか……それは、そのな……」


 とうとう泣き出してしまった女の子を前にれん君は困惑し始める。


「お姉ちゃんのタオル。貸そうか?」

「お姉ちゃん……誰?」


 こちらはタオルを差し出しただけなのだが、どうやら子供たちからは警戒されていしまったようだ。おそらく、“知らない人に話しかけられたらすぐ逃げなさい”とか何とかしつこいぐらいに言われているのだろう。


「タオル渡すだけだから」


 タオルを出して子供の目線に合わせて屈む。そうすると、女の子がれん君の後ろに隠れた。

 面白ぐらいにびくびくしている二人だったが、意を決したようにれん君の方がゆっくりと歩み寄ってタオルを私の手から受け取った。


「それ、別に返さなくてもいいから」


 麗子はくるりと踵を返して歩き出す。せっかくの雨の日だ。もっと多くの場所へ行かねばもったいない。


「さぁどこへ行きましょうか……」


 この町にはある怪談がある。俗にいう七不思議というやつなのだが、町の住民……特に子供たちはそういったものが存在すると信じている。

 その中にこんな話がある。


 雨の日になると黒い服を着て黒い傘を差した女の亡霊が街を徘徊している。特に公園のあたりによくいて、服を濡らした子供を見ると近づいてタオルを渡すのだ。ここまでなら優しい女の人の話かもしれないが、それを受け取ったこどもはみんな水の事故で死んでしまうのだという……


 この町の七不思議にそんな内容の“雨の日になると黒い傘をさして歩く黒服の女の亡霊”などというものが存在するのを知らないのは本人のみである。

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