二人でかき氷
セミがうるさいほどに鳴いていて、空の太陽がじりじりと地面を焦がしている。
昨日の一件がウソだったかのように愛海は歌奈子はいつも通りの様子で公園入口の噴水広場を訪れていた。
水で遊ぶ子供たちを見ながらブルーハワイ味のかき氷を口に含む。これは、いつかの半分かき氷を買ったお店で買ったものだ。
「んーおいしい!」
「でも、頭がキーンってしてきた……」
かき氷を味わっている横でイチゴ味のかき氷を食べていた歌奈子が頭を抱える。
「ゆっくり食べないからそうなるのよ」
「って言っても、これを踏まえたうえでかき氷は一気に食べたほうがおいしいと思うけどな……」
どうやら、頭痛は収まったらしい。頭から手を放した歌奈子が反論する。
「でもねー頭が痛くなるってなんか体に悪いんじゃないかって思っちゃうというか……」
「うーん。それはないんじゃない? それよりも、ちょっと歌っていいかな?」
「歌はやめてほしいかな」
いつも通りのやり取りをしながらもかき氷を食べすすめる。
「それにしても不思議だよね。削った氷にシロップをかけただけでこんなにおいしくなるなんてさ」
「確かにそうね。あまり考えたことないけど……」
ストローで作られたスプーンの上の氷をジッと見る。
削られているからかき氷という名称がついているだけで実質は水を冷やして固体になったものを小さくしただけなのだ。
そういう意味では水分補給してるのとあまり変わらないのかもしれないが、“かき氷を飲む”ではなく“かき氷を食べる”という表現をする。それは、これが固体だからなのだろうか……うん。世の中には“カレーを飲む”という人たちがいるからこの認識は間違っていないはずだ。
「なんか無駄に深く考えてるだろ」
「えっ何の話?」
心を見透かしたような歌奈子の発言に内心ドキッとしてしまう。
「いや。そういう顔するときは無駄に難しいこと考えてる時だからさ」
「なるほどね……結構、見透かされちゃってるわけか……」
「まぁそうだな。愛海の姉貴にもそんなところあるからな」
愛海はこれでもかと目を真ん丸にして歌奈子の顔を覗き込む。そして、少し笑った後に笑顔になった。
「お姉ちゃんが? あのなーんにも考えてないお姉ちゃんがねぇ……本当なの?」
「あぁ。なんだかんだ言ってあの人は何にも考えてないなんてことないと思うぞ。だって、かなり抜け目ないし」
「まぁそうかもしれないけれど……偶然よ偶然。そう見えるだけ」
「そうかな?」
愛海はかき氷の残った分を一気に口に含む。そうして空になったカップを持っている愛海に対して歌奈子のかき氷は、残っていた氷が解け始めてジュースのようになっていた。
「まぁどっちにしても夏はかき氷食べなきゃね」
「そうだな。っていつの間に食べ終えてたんだ!?」
ゆっくりと食べていたはずなのに先に愛海の空になっているカップを見て驚きを隠せない歌奈子だったが、そこで自分のかき氷が解け始めていることに気づいて急いで食べ始める。
太陽は、まだまだじりじりと地面を焼く。まだまだ暑い時間が続くのだろうと愛海はぼんやりと真っ青な空を仰いでいた。




