【3話】扉
『学年1位になって、生徒会に来なさい。そうすれば真実を教えてあげるわ。あなたが望むもの。そうでないもの。全てをね』
昨年の秋、ある人が俺に言ってくれたこと。今日、初めて生徒会役員が集まることになった。そのため、早足に生徒会室に向かっている最中、ふと、そんなことが過った。
「真実・・・何なんだろ、一体・・・。」
あの時―――冷えきっている保健室で―――俺は、『なぜ貴女はそんなに頑張ることができるのか』と尋ねた。その時、あの人は、クリームブラウンの髪を軽く揺らし、答えてくれた。
あの時、感じた不思議な感覚は今でも忘れられない。何かに包まれるような感じ。かといって、強すぎもせず、弱すぎもせず。優しく、俺を包んでいた。あれは、一体なんだったのか。
様々な疑問が巡る中、何時しか、生徒会室の前についていた。
中からは、2人分の声が聞こえてくる。・・・喧嘩してる?なんか、妙に騒がしいんだけど。
2人分。今年の生徒会役員は全員で5人。つまり、自分を除いてあと2人来ていないことになる。
と、考えつつ、ドアに手をかけたその時だった。
「あ、あのすみません・・・」
背後から、幼げな声が聞こえてきた。先程から、周りには自分しかいないので、ゆっくりと振り返る。
するとそこには、俯き気味で黄金色の髪を小刻みに揺らしながら、身動ぎしている、小さな姿があった。
「ん?どうかした?」
優しくと話しかけると、黄金色の髪の子はゆっくりと顔をあげ、その童顔を見せながら話し始めた。
「わ、私、生徒会に入ることになった、1年の悠木シャネルって言います。え、えっと、そ、それで・・・」
慌てながら喋る少女は、人形のように整っている顔に、緑色の双眸を携えていた。少女は、先程から慌てているため、こちらからはひじょーに、声がかけずらい。
「い、一旦落ちつこ。ね?悠木さん」
そういうと、彼女は軽く頷き、深呼吸をした。そして、また話し始めた。
「ご、ごめんなさい・・・そ、それで、本題なんですけど、わ、私と一緒に入ってもらえませんか?」
言いながら震えている彼女は、言い終えると不安なのか余計に震えている双眸が、俺の顔を捉えていた。
「そういう事だったら、喜んでやらせてもらうよ。君みたいな美少女なら、俺から頼みたいぐらいだよ。
すると、少女はパアァっと顔を綻ばせ、微笑んだ。
「ほ、本当ですか!?よ、よかった~。私、人見知りであんまり自分から声かけれないので・・・」
「そっか・・・。ん?でも、何で俺には声かけれたの?」
「な、なんていうか・・・昔に、会ったことがあったような・・・気がするんです。気のせいかも知れませんけど」
と、言うと、再び顔を下げる彼女。正直、俺自身にも記憶がないため、勘違いだとは思ったが、そういうと、彼女がさらに落ち込むと判断し、言葉を濁す。
「そう、かもね・・・。いつか、思い出せるといいね。なんか、夕暮れの日にでもあって、そう・・・ッ!」
その瞬間だった。急に頭痛がし、意識が飛んでしまったのは。
連続投稿頑張ります!