【8話】廊下
美波は、そういうと、振り向いて歩いて行った。ドアをゆっくりと開きそのまま立ち去って行った。
「それじゃ、俺達も帰るか」
流石に、殴られ疲れたのか、神流が疲れたように言い立ち上がる。つられる様に、女子二人も立ち上がる。
「そうです、暗くなる前に帰りましょうか。私、夜は苦手でして」
「そうですか?私は、どちらかというと、朝やお昼の方が苦手です」
「そう?私は、夜になるとどうしても力が抜けちゃって……いつも、怠いのよ」
なんて、女子2人がごく普通の会話をしてる間にも、神流がドアに手をかけていた。
「あ、俺も行きます」
追い駆けるように歩き出す。そんな男子2人を見た女子も、「帰ろっか」と話をしていた。
「んじゃ、電気消してくからなー」
そう言い、電気を消し神流は部屋を出た。そして、瞬よりも先に女子2人が出ていく。
女子二人を目で送った神流は窓を開けると空を見上げていた。
「さてと……早くしないとな」
ドアを閉め歩き出す。時刻は5時13分。美波との約束には、十分過ぎるくらい時間があるな。そう思いながら教室を目指した。
時間はあるため、急がなくても大丈夫だったのが、無意識のうちに早足になっていたようだった。いつの間にか、2年5B組の教室前に着いていた。スライド式のドアに手をかける。刹那。
パリィィィン
唐突にどこからかガラスが割れる音が聞こえた。慌てて周りを見渡すも何も見えない。よくわからない不安が瞬を取り巻く中、廊下は不気味なほどに暗く、静まりかえっていた。
「……ったく、なんなんだ。今の……」
誰もいない教室から鞄を取ると、今来た道を歩き出した。
1階に辿りつき、時計を見ると時間は5時20分だった。どこで、そんなに時間がかかったのだろうと、思い返しながら歩いてるときだった。
ガラスを挟んで中庭と面しているこの廊下で、瞬は突然立ち止まり、しゃがんだ。否、力が抜け、誰かの手によってしゃがまされたといった方が適切であろう。突然、膝に後ろから力を駆けられているようなものだったのだから。
「ってて……なんだよ、もう」
立ち上がろうとしたとき、ふと中庭を見た。そこには、何かが光っていた。よく見ると、ガラスには穴が幾つもあり、壁を抉っていたようだった。
「な、なんなんだよ、これ」
立ち上がり、もう一度中庭を見る。そこには、コスプレなのだろうか。黒い鳥のような翼が背中に持っている女性が立っていた。
「ってぇなぁ……やっぱし、瞬を狙いに来てたってのかよ」
突如足元から声が聞こえ、反射的に下を見る。そこには、先程空を眺めていた神流が横たわっていた。
「か、神流先輩!?何してるんですか!?」
「なにって、お前を守りに来たんだよ!」
眼前に広がる光景と、神流が何を言っているのかが、サッパリわからず、戸惑っていた。
「まったく……こんなに早く来るなんて聞いてないわよ」
目の前に美波が突然現れる。本格的に意味が分からなく混乱する。そんな中、よく見ると、美波に足元には白い文字列があった。
ちょっと長めに書きました。(自分的には
此れより長くなると、行進が遅く・・・・・・
一応、ルーズリーフに書いてますのでね^^;