別の密会
改正版です
「私、一人暮らしがしたいです!」
スピカは王の部屋で宣言した
「それはまたどうして?」
静かにしかししっかりとアクベラスは聞いた
「父上様、私は魔族としても森番としても強くなりたいです、そこで私が考えたのはこの城を一旦離れることです」
スピカは自分が一気に話してしまわぬように一言一言噛みしめるようにして話した
「この城はこの国を守る者が住む城です、ゆえに騎士がいて何不自由なく暮らしていくことができます、私は怠けられるからという理由とかではなくてこの城がこの生活が好きです、しかし好きな場所にずっといては自分が変われないと思いました・・・・強くなることは自分の身の回りの事が出来なくては、そして自立した生活が大前提だと私は考えました、ですから私が強くなれるまでこの国の郊外で一人で暮させては頂けないでしょうか?」
ふぅと息を付く
「で、強くなるまでとはいつまでかな?」
アクベラスは娘の成長を感じつつふんわりとスピカを包むように言葉を発した
「それは・・・・よくわかりません、修行してくださる相手もまだ見つかっていませんし、町に出て探す予定ですが」
とたんに言葉を濁し始めたスピカ
「では強くなったかを見極めるのはこちらで舞台を用意しましょう、年に一度城に帰ってきてこちらが用意した魔族と闘って見極めましょう」
ルサスから大方の話を国王夫妻は聞いていたので話はすんなりと進んでいった
「ではスピカ、テクミネにばれると話が面倒になるので今すぐに必要最低限の荷物を持って誰にもばれずにここを出ていきなさい」
いつになくはきはきとした口調でアクベラスは言い放った
言葉の裏には見つかるくらいなら強くは成れないよ
スピカにはそう聞こえた、娘が自分の言いたい事をきちんと理解してくれた事に満足したアクベラスは自分の机から透明なブルーの玉がついたネックレスをスピカに渡した
「これを常につけていなさい、私からの餞別だスピカ頑張ってきなさい」
「ありがとうございます、行ってまいります」
受け取ったネックレスを首にかけるとスピカは元気よく返事をして部屋を後にした
(これでまた一人さぞかし立派な魔族の仲間ができるわけだ・・・魔族長殿?)
(そんなこと言わないでくださいよ、あなただって通った道でしょ?)
(俺は男だから、スピカは女だしまぁ俺のネックレスを渡したから大丈夫だろうけど)
(親馬鹿ですか?アクベラス様気持悪いですよ、まぁ貴方のネックレスをもっていれば安心ですけどね)
(そういえば、いつ合流させるの?今出て行ったけど?)
(アクベラス様がいきなり言いだすからびっくりしましたよ、ですがそっちの方は大丈夫です)
(さすが魔族長だ関心関心、まだお若いのに頼りがいのある・・・・・)
(推薦したくせに、じゃあ私はここで失礼しますよ)