一人立ちの前に
改正版です
「・・・・ルサス様、これからスピカはいかがなさいますか?」
「よう経過観察で、彼らにもそう伝えておいてくれ・・・あぁあと手出し無用で!!」
「かしこまりました」
「俺はこれから一度セントレスに向う、しばらくしたら戻るから」
「かしこまりました」
「あとマント・・・・どうしようかな」
「お持ちになっててくださいよ!長ですよね?貴方様は」
「わかったよ、じゃあまたあとで」
全身黒ずくめの男は闇へと消えていった
ルサスが出て行った部屋で一人残ったスピカは一人状況整理をしていた
「いろいろな事を押し付けすぎよ!!ルサス様は」
布団やクッションをばしばしと叩きながら大声をだした
部屋の外に待機していた騎士たちは怪訝な顔をしていた
「よしっ!まず力をためるために森に行くか!・・・・あ!ルサス様に強くなるための練習相手を探してもらおうかな」
「そうと決まればすぐに行動に移す!!」
ベットから飛び降りて服を整えるとスピカは部屋を飛び出していった
廊下にバタバタとスピカの走る音が響いていた
(あの子がスピカ?可愛いわね)
(たしかに、なんか保護慾がそそられるタイプだよね?素質はかなりあるよ頑張って伸ばしてね期待してるから)
(えぇ!?私がそれやるの?話違くない?私もそれなりの重役で忙しい身なんだけど)
(今暇でしょー?どうしてもいいからよろしく)
バンッ!!
執務室のドアが勢いよく空き、スピカが駆け込んできた
「・・・・スピカ、もう少し落ち着きなさいそれともう体長はよろしいのですか?」
突然とドアが開いたことに驚きまたスピカがそこに居た事にもテクミネは驚いた
「ハアハァハア・・・・あ・・・すいません、体調はゆっくり寝たおかげかかなり、いや絶好調です」
息をとぎれとぎれにさせながらスピカは答えた
「それは何よりです、で何の用ですか?」
手に持っていた書類を机に置きテクミネの両目がスピカを見据えた
「さきほどルサス様にお会いして話を聞きました、そこでお願いがありまして・・」
そこで一旦言葉を切り深呼吸をするとスピカは再び喋りはじめた
「私、強くなりたいです、森番としても魔族としても、けど私はまだまだ未熟過ぎて・・、ですから誰かこの国におられる魔族の方で私のお守をしてくださる方をご紹介していただけないでしょうか?」
「私に?なぜ相手が違うだろ?なぜルサスに頼まない?」
テクミネはスピカの瞳を見据えた
「・・・・・そうでしたね、わかりました自分で探してみます」
そう言うとスピカはお辞儀をすると部屋を出て行った。
――――パタン――――
「これでよかったのかい?ル・サ・ス・様?」
「イヤミったらしいなぁ女王様」
ルサスはテクミネの椅子の後ろに背をもたれさせた
「あれで本当にみつかるのか??お守役が」
ちょっと不安そうに尋ねた
「あぁ俺の部下を一人つけさせる予定だ、でもスピカが一人で行くなら自然と合わせる方向で行こうかな?」
愉快そうにルサスは笑っていた
「いくら我が国が安全でもスピカ一人じゃ危なくないか?」
「テクミネ様はいつまでも親馬鹿だなぁ」
ふざけた感じで言ったルサスはいきなり真面目な顔になり
「テクミネ、スピカは早く独り立ちさせないと駄目だ、森番としても人としても魔族としても、何かあったら絶対に俺が守るそれだけは誓う、だから今は見ててくれ」
それだけ言い放つとルサスは椅子の後ろから姿を消した
その後テクミネはスピカに事情を話し、国の事一切何もせず力を伸ばすことだけに専念することを伝え、スピカはうれしそうに返事をして昼の町へと歩きだしていった
「可愛い子には旅をさせよってか・・・・しょうがない・・・これはあいつらに回そう」
スピカの仕事を兄二人に回して、テクミネは自分の仕事に戻った。