スピカの無理
改正版です
スピカは海底から浮上するようにゆっくりと意識を取り戻した
グゥ~とお腹が鳴るも気にとめない
今意識の中心にあるのはこの部屋に張られた結界の感じ
(この結界リアファが死んじゃった時と同じ感じ、しかもあの時よりもかなり強力…)
スピカはお風呂から出ると用意されていた寝具ではなく、森の色をしたワンピースを着てドアの前に立った。
(この結界完璧・・・・隙がないわ、でもこの結界いやな感じがする。リアファと同じ結界・・・)
結界に手を触れて確かめた
結界の反発で手が痛めつけられようが気にしないといった様子だ
スピカは知らず知らずのうちに涙を流していた
そして全神経を集中させて結界の小さな綻びを見つけると、力技で破り張った人にばれぬようまた結界を張り直した
しかしスピカは昼間の精神状態と体力・先ほどのなれぬ結界と結界破りで昏睡寸前だった
そんなスピカを突き動かしていたのはほかならぬリアファへの気持ちだった
スピカは人っ子一人いない町中を全力で走りぬけた
――――――――――――やられたな
タッチの差でスピカの部屋についたルサスは思った
自分の張った結界は完璧だったはずなのにものの見事にスピカに破られてしまった
(誰かが何かしたかな?ぶつかりでもしたか?)
自分の結界を触り入念に調べて行くと今のスピカの状態が手に取るようにわかった
(あいつ結界を力技で・・・・しかもそのあとにカモフラージュ用とは、そのせいで昏睡寸前・・・・やめてくれよ)
すでにスピカの行く先まで分かっているルサスはスピカと同じく森へと急いだ
森の中に入ると真っ暗なのに何故が歩ける・・・・いつもは無理なのに
これも森番の力?
真っ暗闇の中を裸足のスピカはある場所へと向かって歩いていた
――――――――リアファの死んだ場所へ
暗闇は容赦なくスピカの心の弱いところに入って行く
《どうせ偽物だろ》《覚えさせられ・・・・・》
その度に倒れそうになる体をなんとか支えながらやっと場所についた
がそこは荒れ果てていて、毎日スピカがお供えしている花すらなくそこは酷く荒らされていた
酷くショックを受けたスピカはその場でついに倒れてしまった
森に入ると何やら森が落ち着かない雰囲気だった
(いやな予感がするな・・・俺の結界から推測すると行った場所はリアファ様の・・・)
ルサスは本能的に足を速めていた
森は真っ暗であるが夜目の利くルサスには何の問題もなかった
若いころに比べ闇に自らを囚われる事もなくなり安心して様々な場所を歩けるようになった
(だがスピカはまだ若い、闇に囚われると厄介だからな・・・・)
少し自分にも闇が入ってきたなと感じたルサスは気を集中させて先を急いだ
あっ!!!!
リアファの死に場所にたどり着くとスピカが倒れていた
顔は顔面蒼白で体も冷たくなりかけていた
ルサスは自分の来ていた魔族長のマントでスピカを包み込み、死に場の映像を記憶させると足早に森の入口へと向かった
スピカを連れていることで闇が先ほどよりも多く自分に襲いかかってきてルサスでも危なかった
やっとの思いで入口につくと
「魔族長ルサス・イザカルの名において本日は第39代森番スピカの代行をいたす」
そう言い放つと呪文を呟き、森はいつもの静寂さを取り戻した
しかし相変わらずスピカの容体は酷く急いで城へと戻った
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