カノープスと言う国
改正版です
「おい!いつまで歩くんだよ?」
体全体を覆うような長い黒いマントをまとった金髪の男が訊ねた。
「ここが一番の近道ですから。」
金髪の男と同じマントをまいた黒緑色の髪の男が答えた。
「どこがだ!こんな偽の森の中なんか歩いて、木や草が茂り過ぎて馬一頭すら入れないじゃないか。」
「はぁだからこれだから・・・・。」
「なにが言いたい?」
「・・・・なんでもありませんよ」
男はその男の言葉を受け流し先を急ぐため歩調を速めた。
「なぁ、なんだか体全体が痛くなってきたん・だ・・・が?」
男は不思議そうに前を歩く男に訊ねた。
前を歩く男はただ微笑みひとつ頷いた。
「あの子も成長したね・・・・」
と一言何かを呟き進路をいきなり変え、森から抜け出して森の外の道を歩きはじめた。
「おい、今度はなんだ?さっきの方が近道だったんじゃないのか?」
「大丈夫ですよ、少し到着が遅れてしまうだけですからまぁ時間的には全然余裕ですし」
そして二人は目的地でもある小さな国に辿りついた。
「国には辿りついたが・・・、ルサスどうしてさっき途中で森を外れたんだ?」
訳が分からないといった様子で金髪の男は尋ねた。
黒緑色の髪の色の男は嫌そうな顔をして答えた。
「失礼ですが今のアラフス様とは全くの関係がない故説明はまた今度とさせていただきます、というか知っても意味ないしな・・・・」
最後の方はほとんど息と同じ音でしか言われなかった。
「さぁ着きましたよ、この世界で唯一真性の“森”を所有する国カノープスの城に」
ルサスは大げさに両腕を広げた。
「複雑だよな、その森を守るためにわざわざ隣国と縁組を結ぶなんて」
「あちらの方も“森”を守るために必死なんでしょう」
その事実は至極重大なことなのにルサスの口からは何でもないかのように流れ出た。
「女王陛下、セントレス国のアラフス様とルサス様がご到着なされました」
「わかった、そうだな第一の間に案内して差し上げなさい」
凛とした透きとおるような女性の声が部屋に木霊した。
「女王陛下ジハール国のアセルス様とサイダク様がお見えになられましたが・・・いかがなさいますか?」
「ついでだ、そ奴らも第一の間に案内しておけ」
「ということは、ついに決着をつけるおつもりなのですね?」
使いの者は少し不安げに尋ねた。
「なにも案ずるではない、この縁組は第二王女ネカルとのもので先代の森番がお亡くなりになられて森も安定していない、今ここで経済的に安定を他国に求めただけですよ・・・不安ですか?」
女王は安心させるように微笑えんだ。
使いの者は安心し一礼するとドアにむかい歩きはじめた、ちょうどそのタイミングで息を切らせたもう一人の使いの者が部屋に入ってきた
「女王陛下大変です!ネカル様がこの城のどこにもおりません、村の者の話によるとまた馬を走らせ自分の領土へと行ってしまわれたようです」
「あんのバカ娘が・・・」
女王は疲れたように立ち上がりまわりにいたものに一声に指示を出した。
「第一騎士団は第一の間の警護をせよ、あと第三騎士団はネカルを探してこい、あぁあと一人森へ様子を見に行ってくれまだまだ不安定だからな、私はこれから第一の間に向かう城の警備も怠るなよ」
テクミネはヒールを鳴らしながら颯爽と第一の間に向っていった。
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