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多分このラブコメは根本的におかしいのかもしれない  作者: UMA未確認党


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第19話 花子さん登場

 ある日の放課後。なぜか俺は、女子トイレの前に立っていた。


 横を見ると舞香がいる。さらにその横に愚太郎と琴音。


「いや待てよなんで俺はここにいるんだ」


「花子さん呼ぶからだよ」


 愚太郎が当然のように答える。


「軽いな!?一応あれでも七不思議だぞ!?」


 琴音が洗面台の隣で腕を組みながら返事をする。


「だから挨拶するんでしょ。花子さんはこのトイレに生息してるの」


「いやゲームかよ!」




 舞香は俺の方を向いて言った。


「私たちは学級委員なんだからクラスの頼みはちゃんと聞かないと」


「まぁそれはそうだけど、これは流石に対応しなくても良いと思うだけどね」


 俺のことを無視して琴音が扉にそっと手をかける。


「……一緒に入る?」


「いや待てここ女子トイレだよ!入れるか!」


 舞香が振り返って言う。


「……怖いから来て」


「そ、それだけはご勘弁願いたい」


 結局、俺と愚太郎は扉から中だけを見て待機することになった。


 中から声がする。




 コンコン。


「花子さん、いますか?」


 舞香の落ち着いた声。静寂。


 コンコン。


「花子さん、私だよ出てきて」


 さらに静寂。


 次の瞬間。


 ギィ……


 ゆっくりと、誰も入っていないはずの個室の扉が開く音。


 え?来た……!


 ゴクリと息を飲む。


 小さい足音が近づいてくる。




 そしてトイレの中から出てきたのは……


 8歳くらいの和服の女の子だった。


「……」


 沈黙が続く。


「…………え?」


 思わず間の抜けた声が出る。




 黒髪のおかっぱに赤い和服。


 小柄で、どこかぼんやりした表情。


 どう考えても小学生だ。


「……呼んだ?」


 普通に喋った。


「いやちっちゃ!」


 俺は驚いてそう叫んでしまう。


「ちっちゃって言うな」


 花子さんはじっとこちらを見る。


「……私は花子だよ」


「自己紹介してきた!?」


 舞香はしゃがんで目線を合わせる。


「……花子さん久しぶり」


「うん久しぶり舞香ちゃん」


 え?知り合いなのか!


「この学校にいる人なら見たことある人多いから」


「うんそうだね!」


「ウチは小学校の時以来かな」


 舞香は当然のように答えるし、愚太郎や琴音も頷く。




 これじゃまるで俺だけ花子さんのことを知らないみたいじゃねぇか。やっぱ昔からいる奴らと情報量が違いすぎる。


「……てかどうして小学生なのに高校のトイレにいるんだ?」


 俺が核心を突くと花子さんは少しだけ首をかしげて。


「……なんとなく居心地いいから」


「理由が軽い!!」


 即ツッコミ。


 それを聞いて琴音が笑う。


「ウケる。居心地いいの?」


「……ここは静かだから。小学校は男女問わず動物園だし」


「意外とちゃんとした理由があった」


 愚太郎が頷く。


「高校は人が少ない時間もあるからね。僕はバカだけど流石にトイレでふざけたりはしない」


「そりゃそうだけどいちいちお前が解説すんな!」




 花子さんは少しだけ歩いて、洗面台の前を通り過ぎる。


 鏡に姿が映っていない。


 あ、ちゃんと幽霊なんだな……だから鏡に映らない。


 少しだけ今目の前にいるのが怪異の代表格、花子さんなのだと言う実感が湧く。


 その時俺にテクテクと近づいて来た。


「……おにいさん初めて見る顔。新入生?」


「あぁそりゃそうだよ。俺は隼人って言うんだ」


「ふ~ん。よろしくね」


「……隼人くん」


 舞香が振り向く。


「なに」


「……この子かわいい?」


「う、うん確かに可愛いと思うよ」


 花子がじっとこちらを見る。


「ロリコンはお帰り下さい」


「はぁ?俺はロリコンじゃねーし!」


 何で俺がロリコン呼ばわりされなきゃならないんだ。ただ女子トイレで幼女と話しているだけだぞ。十分アウトか。


 愚太郎が笑う。


「ちゃんと仲良くなってるじゃん!」


「どこがだよ!」


 振り返って叫ぶ俺に花子さんは少しだけ近づいてきて。


「……用があったらまた呼んで」


 そう言ってトイレの個室の奥にふっと消えた。


 個室のドアが、静かに閉まり、元の静かなトイレに戻る。


「消えた!?……なんだったんだ今の」


 頭を抱える。横で舞香が立ち上がる。


「……隼人くんにも小学生の友達ができたね」


「いや花子さんは友達じゃないというか高校生にもなって幼女の友達は要らないです」


 琴音があくびをする。


「これで七不思議は一つクリアだね。他の七不思議も変なのばかりだから注意しな~」


「ゲームみたいに言うな!!」


 でも。……まあ怖くはなかった。


 花子さんかぁ……また会ってもいいかもな。

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