第15話 有能猫 ショコラ
四人の狂人の授業を受けて、やっと昼休憩になった。
俺には昼飯を食べるような友人がいないのでボッチで便所飯。と見せかけてすぐ近くに愚太郎がいる。
「でもよ~。今週のジャンプは明らかにおかしいよな。普通に考えて実を食べたからって人の腕が伸びるか?」
「それはマンガだからだろ!」
「マンガですか……すぐ読んでしまって困りますね。日刊更新にしてくれないでしょうか?」
吾愛は漫画家を過労死させる気か。ただでさえ日刊更新は小説でもきついって言うのに。
あぁそれはこっちの世界には関係なかったな。
隣を見てみるとそこには舞香と琴音率いるギャルたちがいた。舞香はチラチラと窓の外を見ている。
「一体どうかしたのか?」
俺が彼女に尋ねてみる。
「今日はショコラ来るかな」
ショコラ?そう言えば入学式の時にいた猫か。学園に住んでいるとか言っていたが……野良猫だろうし来るのか?
「あっ来たよ~」
琴音がそう俺らに振り返って言う。
舞香と愚太郎は窓からベランダに出ていた。俺は窓枠に腰掛けてその様子を見ていたが、そこにいたのは黒い猫だった。黒猫は不吉と言うけれど見た目はどっちと言うか丸々としていて可愛らしいマスコットに近い。
「やぁやぁ!ショコラ」
「ショコラご飯食べる?」
そう言うとショコラは口を開いた。
「やぁ。皆さん進学おめでとう!」
……
猫が喋ったぁ!!!!!お化けだァァァ!
俺は窓枠から転げ落ちた。ベランダの叩きに頭を打ちそうなところをコングの腕に支えられる。
「おいおい大丈夫か?猫が喋ったくらいで倒れるなんて」
「喋ったくらい?普通猫喋んねぇだろ!」
俺が反論しているのを聞いたのか、ショコラが近づいてくる。
「窓から落ちるとはうっかりものだニャ~。見ない顔だニャ、内部進学か?」
「そうだよ!」
俺が言うとショコラは自慢げにこういう。
「僕の名前はショコラ!今年から高等部には基本火曜~水曜に居座ることになったのでよろしくニャ」
「そんな帯番組の曜日レギュラーみたいな設定なんだ」
「まぁ曜日レギュラーのようなものだと思って貰えれば良い。僕はあちこちから呼ばれている人気者だからバランスよくご相伴に預からないと」
そう言ってショコラは胸を張る。要は他人に寄生してるんじゃん!
「……今日は煮干し」
「分かってるな」
ショコラは舞香に煮干しをあ~んされる。羨ましい!何でこの猫風情が舞香にご飯を貰ってんだよ。まだそんなに生きてない若輩者のくせに。お前も若輩者だろとかは止めてね。
誰も「なんで喋るの?」とはもう聞かない。
先生も生徒も普通に接してる。
勺を持った六条先生が歩いて来た。
「いと愛らしき猫にて候」
「六条殿、今日はかつお節ないのか?」
「無いが。代わりにちゅーるを授けよう」
六条先生が懐から餌を出してくる。
「ははぁ~ありがたき幸せ」
ショコラが六条先生に平伏する。それは平安時代なのかな?てか猫と平安貴族で会話成立してるのが怖いわ!
「てか何で猫が学園にいることを許されてんだよ。誰も突っ込まないし」
俺が突っ込むと、舞香が振り返って言う。
「ショコラは生まれも育ちもここで学園内のことをよく知ってるから」
「そうそう。僕はこの高校1年の世代のことなら小学校の頃から知ってるよ」
「もうそんな長きになるか」
六条先生も全く疑わない。
「そう言えば次の2年の授業で猫の話が出るから協力を頼みたき候」
「あ~はいはい枕草子だニャ」
ショコラはどこかからメモを取り出し、そこに何か書き始めた。
「え?文字書けるの」
「書けるどころか拾ったPCも扱って猫ブログ書いてるぞ。後外の猫とも通信してるらしいよ」
愚太郎がそう言う。器用すぎだろこの猫!
「今はマリンちゃんへの恋文をしたためているところニャ」
「マリンチャンって?」
「この街にいるメス猫にゃ」
少なくともこれができる猫が複数いることになるけど大丈夫なのダ~ヴィンさん!




