第8話 砂漠の追撃
ホバーバイクは、無限に広がるサイオンの砂漠を走り続けた。YUTAKAとミューズの間には沈黙が横たわり、ガスのことが頭から離れない二人は、話すタイミングを失っていた。
その時、後方から爆音を上げながら迫ってくる集団が視界に入った。アンドロイドハンターたちだ。やつらが追いついてきたと悟ったユタカは、さらにスピードを上げて逃げようとするが、徐々に距離が縮まっていくのがわかる。
「おい、止まれ!」
追手の声が風に乗って届く。「くそ、追いつかれる。ミューズ、操縦を代わってくれ!」
「わかったわ」
ミューズは迷いなくハンドルを握り、ユタカと操縦を交代した。YUTAKAは腰のホルスターから旧式のエネルギー銃を構え、振り返って引き金を引く。しかし、射撃に慣れていないYUTAKAの放つ光弾は、ことごとく追手のホバーバイクを外れた。
「ちくしょう!」
YUTAKAは銃をホルスターに戻すと、代わりにスリングショットを取り出した。鉄の玉をセットし、狙いを定めて発射する。鋭い一撃が、先頭のハンターの顔にめり込んだ。ハンターは呻き声を上げ、運転席から落ちて砂漠に転がった。
間髪入れず、YUTAKAはスリングショットに次の鉄の玉を装填し、連続で発射する。放たれた全ての弾が正確に次々と命中し、ハンターたちは次々と砂漠に倒れていった。YUTAKAの顔には、追いつめられた焦りと、狙いを定めた集中が入り混じっていた。